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西野家について分かったことをまとめようと思う。
「まず、娘が一人と父母の三人家族、両親は共働きであり、父である芳樹は土木工事作業員、母、加奈子は大手化粧品企業の係長」
紙に書かれた文字を指でなぞりつつ、音読する。
「芳樹は、過去は大手企業のエリートコース、出世街道まっしぐらであったが、たった一つのミスで挫折、左遷。見下していた同期の連中にこき使われることに嫌気がさして辞職した。この頃から、当時八歳であった娘、美弥に暴行を加えはじめる」
一枚目の端までいったので、紙を火にくべた。たちまちのうちに焼けて無くなってしまう。
次、二枚目。
「住所は白木丘市〇丁目〇番地14、道路を挟んで正面が明野、同じ方向を向いて左側が佐藤、右側が長谷川。後ろの家は現在空家であり、斜め両後ろも同様」
まさか西野美弥がいる拠点でこんなことをするはずもない。ここは一人カラオケ用の個室だ。ほぼ田舎みたいなものである白木丘に、どうして一人カラオケの設備があるのかは不明だが、ありがたく使わせてもらう。
「家が留守になる時間帯は午後五時から九時の間の四時間。五時は芳樹の出勤時間で、九時は加奈子の帰宅時間だ」
埃みたいな味がする安っぽいコーラを飲み干し机の上に置く。からん、と涼しい氷の音。
「また、周囲の家も五時から六時までの一時間は九割の確率で無人となる。平日は特に確率が高く、ほぼ無人と言っても差支えないだろう」
二枚目も火にくべる。
灰皿の上でどんどん灰になっていく紙を見下ろしながら、嫌な記憶を振り払った。――自分が灰皿と呼ばれていた、薄ぼんやりとしか残っていない、過去の記憶。西野美弥の背中を見てしばらくしてから、思い出した過去。
「さて。俺はこれからどうすれば、西野家から五百万円をせしめられる? 考えろ。西野家が俺に五百万円を払う理由はもう考えてある」
西野家が、西野美弥が大切である、家に帰してほしい――そう思えば良いのだ。
「どうやって?」




