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えびでんす。  作者: 紅アルペジオ
始まった、春
2/22

evidence 2「争奪戦…?」

その後、用事があると言った榎本さんと別れて。


俺は正哉と帰り道を歩いていた。


「…てかさっきから気になってたんだが」


「なんだ想介」


「参謀長って何だよ?軍隊じゃあるまいし」


「よくぞ聞いてくれた」


正哉はメガネをくいっ、とするような動きを見せて、言いはなった。


「文字どおり、バンド全体のバランスを保ち、かつ時に攻めこむ…」


「要するにドラムスだよな」


なんというか、かっこいいような、悪いような。


「まあそういうこと。…っと、俺こっちだわ」


「おう、じゃあな」


交差点で正哉と別れる。


走っていく背中に向けて、言ってやる。




「絶対に負けない」と。




俺の所属するメディ研、正哉の所属する軽音部。


どちらも部員は少ないので、一歩間違えれば廃部の可能性がある。


その点で、榎本さんの存在はでかい。


というか本音は、部うんぬんよりも榎本さんと親しくなりたいわけで。


「絶対に負けない」というかっこいいセリフもやけにスケールが小さく聞こえる。




だが、いわばこれは、争奪戦。







「ただいまー」


家のドアを開けると、「おかえりー…」と力ない声が帰ってきた。


リビングに向かうと、ソファーの上に転がっている生き物が。


「…想介ー…牛乳買ってきて…」



―まあ母親なんだけどね。つーかおつかいかよ。




「買い物は主婦の生業だろ…自分で行けって」


「やだー…なんか頭ガンガンするしー」



なんとまあ、面倒な。


土方朋美。母親。四十一歳ながら抜群のスタイル。いわゆる美魔女。


この土方家を陰で支える存在であるが、ちょっと変人だ。


「しゃーねぇ…お使いついでにまた行ってくるか」


「本当に好きだよねーそれ」


朋美は言ってるけど。


「生業なんだよ…俺のな」







金を受け取り、自室へと向かう。


カバンを置いて、代わりにあるものを手にする。


去年買った、一眼レフのカメラ。コンパクトながら、使い勝手がいい。


「あ…カーテン開けてねえや」


部屋が薄暗いので、カーテンを勢いよく開ける。


と、同時に。


まさに春、といった暖かくて優しい光が部屋に差し込んだ。


窓の向こうには、清々しく晴れ渡った青空と、都会なんだか、田舎なんだか微妙な線の街並みが広がっている。


「すごく画になるな」


そう思い立ち、カメラを構える。


パシャリ、とシャッター音と共に。




その瞬間、が焼き付けられた。




To be continue...

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