夜も更け
からから。
窓を閉めた。
「はぁ」
いつの間にか。
あれだけ騒がしかった心臓は。
静かになっていた。
窓から差し込む。
わずかな外の明かりが。
暗い部屋の中を。
淡く照らしていた。
その中で。
机の上の丸まった。
紙切れに目がいって。
そっと。
それをつかんだ。
ゆっくりとベッドに上がって。
壁に寄りかかって座り込む。
口を結んで。
くしゃくしゃの紙を広げる。
「はぁ……」
私はスマホの光を頼りに。
その文字を登録する。
そして。
「北見です。大丈夫ですか? 星見えましたか?」
メッセージを打ち込んだ。
また。
ドク、ドク……
鼓動が強く。
頭で響きだす。
送信ボタンを押す指が固まって。
「はぁ……」
なんでだろ……
でも。
夜に一人で出掛けるとか。
心配だもんね。
大きく息を吸って。
ポチッ。
送信ボタンを押した。
壁に凭れたまま。
ずるずると横になる。
そのまま。
両手で持ったスマホの画面を見つめる。
ピコン。
ビクッとして。
そっと。
画面を押した。
『ありがとう! 北見さん連絡くれて、すごく嬉しいよ!』
『星きれいだよ! すっごい! 空が星だらけだ』
『少し上の方に行けそうだから、行ってみる。連投ごめんね。でも、連絡くれて本当にありがとう』
え?
あ?
むくっと。
体を起こす。
髪を耳にかけて。
手早くメッセージを打ち込む。
「え? 山に入るの危ないよ。止めた方がいいよ」
『大丈夫。運動神経はいいから。上手く撮れるか分からないけど。写真撮れたら、明日送るから』
!
「でも、本当に危ないから」
『心配してくれてありがとう。じゃあ、また明日ね』
あっ。
え……
「うん。本当に気をつけてね」
確かに。
神社の裏に。
少し高台みたいな所があるけど。
夜は真っ暗になる。
明かりもないのに。
大丈夫かな……
もぞもぞと布団の中に潜り込んで。
よこむきに丸くなる。
彼のことが気になったけど。
みーちゃんとのダンスユニットの名前を考えた。
二人の名前が入った方がいいかなって。
漢字はなんか固そう。
カタカナはありがち。
だから。
平仮名がいいかなって。
思い付いたのを。
スマホにメモしていった。
みずはづき。
とか。
みーはー。
とか。
みずき。
とか。
はみ。
とか。
そして。
ピン!
てきたのが。
はみんぐ。
なんか。
語呂的にも。
踊り出しそうな雰囲気あるかなって。
もう22時になりそうだったけど。
早くみーちゃんに教えたくて。
意見を聞きたくて。
「みーちゃん。遅くにごめんね。ユニットの名前考えたんだ。『はみんぐ』って。どうかな? 二人の名前を入れてみたの」
よし。
でも、寝ちゃったかな。
私はスマホを枕元に置いて。
体を仰向けにする。
天井がうっすら明るい。
あっ。
カーテン閉めるの忘れてた。
布団をはいで。
「よっ」
体を起こして。
窓のそばまで歩み寄る。
ん?
点滅した赤い光が近づいてくる。
なんだろ?
からから。
少しだけ窓を開ける。
ひんやりした空気が頬に触れた。
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