第76話:凛華の焦燥、志乃の冷徹。共鳴の質を巡る激突
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新旧ヒロインによる、阿久津君を巡る「共鳴の質」の激突。
志乃の挑発に、プライドを燃やす凛華の激しい焦燥と執着をご覧ください。
放課後の音楽室。そこに漂う空気は、かつてないほど鋭利な殺意を含んでいた。
佐藤凛華は、鍵盤の上で震える自身の指先を、忌々しげに凝視している。
「……粘膜接触。あんな、はしたない小娘が、阿久津君と……っ」
志乃から突きつけられた事実は、凛華の誇りをズタズタに引き裂いていた。
自身が積み上げてきた「高潔な音楽の絆」が、志乃の「直接的な摂取」という背徳的な最短距離の前に、ひどく甘っちょろいものに思えてしまったからだ。
「……不毛な演算。佐藤凛華。あなたの共鳴は、解像度が低すぎる」
背後から現れた志乃が、無機質な、けれど確かな嘲りを孕んだ瞳で凛華を見据える。
彼女はヘッドフォンを外し、阿久津の情動を「経口摂取」したことで手に入れた黄金の魔力を、周囲に霧散させた。
「私は、彼の内側からすべてを書き換えられた。……あなたはまだ、外側を撫でているだけ。かわいそう」
「だ、黙りなさい……っ! 私の音は、彼の魂が直接奏でさせているものよっ!」
凛華の怒りに呼応し、音楽室の温度が急激に低下する。
だが、志乃は微動だにせず、俺の手を強引に引き寄せて自身の唇をなぞってみせた。
「阿久津君……教えて。どちらの共鳴が、あなたをより深く『昂ぶらせる』のか。……私の計算では、もう答えは出ているけれど」
凛華の焦燥と、志乃の冷徹。
阿久津一人を巡る「質」の争奪戦は、もはやどちらがより深く彼に依存し、彼に支配されているかを競い合う、泥沼の共鳴バトルへと突入していた。
俺の内に溜まった戸惑いと、二人を同時にねじ伏せたいという支配欲が、さらなる燃料となって彼女たちの狂気を加速させていく。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
「外側」の凛華と「内側」の志乃。
どちらが阿久津君にとって、より価値のある「依存体」なのか……。
女の意地と才能がぶつかり合う、四つ巴の戦いの深化にご期待ください!




