第60話:止まらない加速。次はもっと、魂の深くまで
いつもご愛読いただき、誠にありがとうございました。
田中結衣。一人の少女が、少年の情動という名の加速に身を委ね、真の最強と隷属を手に入れるまでの軌跡。
二人の間に築かれた、新たな絆の結末をご覧ください。
予選会から数日後。学園のグラウンドには、以前にも増して凄まじい風を巻き起こして疾走する、結衣の姿があった。
だが、その走りの質は、阿久津と出会う前とは完全に別物だ。一歩一歩が重力から解き放たれ、その軌跡には黄金色の魔力の残光が、隠そうともせず激しく棚引いている。
「っ、はぁ……ぁ、はぁ……っ!」
練習を終え、待機していた阿久津のもとへ結衣が飛び込んでくる。
彼女は周囲の視線など一顧だにせず、阿久津の腕に自身の火照った身体を密着させた。
「阿久津君……今日も、凄いのが流れてきたよ。走るたびに、君に身体の奥まで突き動かされてるみたいで……もう、これ無しじゃ生きられない……っ」
結衣の瞳には、かつての「爽やかなエース」の仮面の下に、一人の少年に魂を繋ぎ止めた者の、甘く蕩けた執着が宿っている。
そんな二人の様子を、グラウンドの隅から静かに見つめる影があった。
佐藤凛華だ。彼女は氷のように冷徹な、けれど同時に燃えるような独占欲を瞳に湛え、ゆっくりと二人のもとへ歩み寄る。
「……随分と、公然と甘えるようになったのね、田中さん。少しは『先駆者』への敬意を払ったらどうかしら」
「あら佐藤さん。早い者勝ちなんて、この加速の世界には関係ないわ。今の阿久津君の情動を一番速さに変えられるのは、私なんだから」
氷と熱。二人のヒロインの間で、阿久津という唯一の供給源を巡る火花が、不可視の魔力となって激しく衝突する。
阿久津は苦笑しながらも、自分の左右の腕をそれぞれ奪い合う彼女たちの熱量に、かつてないほどの昂ぶりを覚えていた。
依存、屈服、そして加速。
一人の少年の情動という名の毒を分け合い、美少女たちはさらなる高みへと、そして抗えない深淵へと堕ちていく。
「さあ、阿久津君。……次はもっと、魂の深くまで。私を、私たちを……めちゃくちゃにして頂戴?」
終わることのない共鳴の調べ。
それは、さらなる「共犯者」を巻き込みながら、より背徳的な旋律へと加速し続けていく。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
阿久津君からの「加速」を受け入れ、誰にも追いつけない場所へと辿り着いた結衣。
凛華と結衣、二人の少女を隣に置くこととなった阿久津君の物語は、ここからさらに深く、そして甘美な領域へと足を踏み入れていきます。
もし彼女たちの行く末をこれからも見守っていただけるなら、ぜひ評価やブックマークをいただけますと、次なる執筆への最大級の『魔力供給』になります!




