第57話:ゴールの瞬間の、抑えきれない愛の叫び
いつもご愛読ありがとうございます。
ゴールの瞬間に結衣が選んだのは、静かな勝利ではなく、剥き出しの愛の叫びでした。
数万の観衆の前でさらけ出される、阿久津君への絶対的な依存と忠誠をご覧ください。
電光掲示板に刻まれた、人類未踏の聖域を示す数字。
鳴り止まない喝采と、驚愕に凍りついた一ノ瀬たちの表情を背景に、結衣は荒い息を吐きながら立ち尽くしていた。
「っ、はぁ……ぁ、はぁ……っ!」
全身の細胞が、阿久津から送り込まれた過剰な情動に灼かれ、歓喜の悲鳴を上げている。
インタビューのために駆け寄る記者やカメラマン。だが、結衣の瞳にはその誰一人として映っていない。彼女の視線は、ただ一点――観客席の頂上で、ボロボロになりながらも自分を見つめる阿久津だけを射抜いていた。
「阿久津、君……っ!!」
結衣はマイクを向けられるよりも早く、喉が張り裂けんばかりの声で叫んだ。
その声は拡声器を通じてスタジアム全土に響き渡り、人々の歓声を一瞬で静寂へと変える**衝撃**となった。
「見てた!? 私、走ったよ! あなたの……あなたの『熱』が、私の中をめちゃくちゃにかき乱してくれたから、私、世界で一番になれたのっ!!」
騒然とする観衆。だが、結衣の暴走は止まらない。
彼女は自身を縛っていた一ノ瀬の「不正疑惑」という鎖を、自らの言葉で粉砕する。
「管理なんて関係ない! 私は阿久津君に依存してる! 彼に触れられて、彼に支配されないと、一歩も走れない無様な女よ! でも……それが、私の最強の理由なのっ!!」
それは、誇り高きアスリートによる、あまりにも背徳的な敗北宣言であり、同時に世界への宣戦布告だった。
結衣はそのままトラックを逆走し、フェンスを飛び越え、数千の視線を置き去りにして阿久津のもとへと駆け出した。
一人の少年にのみ捧げられた、あまりにも純粋で、あまりにも狂気的な愛。
その**衝撃**に、学園の、そして異能界の常識が、音を立てて崩れ落ちようとしていた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
全観衆を敵に回しかねない、結衣の**衝撃**の告白。
自らの弱さを最強の武器に変えた彼女の姿に、阿久津君はどう応えるのか。
次話、二人が公衆の前で重なり合う瞬間をぜひ見届けてください!




