第34話:痛覚の消失。阿久津君の熱が、私を加速させる
いつもご愛読ありがとうございます。
阿久津君の「熱」を纏った結衣が、ついにグラウンドでその真価を発揮します。
痛みが快楽に変わる、背徳の加速理論。その圧倒的なパフォーマンスをご覧ください。
夕闇のグラウンド。部員たちの視線が集まる中、スターティングブロックに足をかけた結衣の全身には、かつてないほどの『万能感』が満ち溢れていた。
(……軽い。信じられないくらい、身体が熱くて軽い……っ!)
数分前まで部室で阿久津に触れられていた場所が、今もなお、脈打つような残熱を放っている。
彼の手が太ももの奥深くまで入り込み、自身の理性をかき回したあの屈辱的なまでの快感。それが今、爆発的な魔力となって結衣の筋繊維一本一本を、鋼のように強靭に、そして羽のようにしなやかに作り変えていた。
「位置について――」
号砲とともに、結衣の身体が弾けた。
爆発的な推進力。これまでは、一歩踏み出すたびに走っていた鋭い鈍痛が、今は阿久津との共鳴を通じて、脳を灼くような強烈な多幸感へと変換される。
(あ、あああ……っ! 走れば走るほど、阿久津君に触られてるみたいに……気持ちいい……っ!)
地面を蹴る衝撃が快楽となって脊髄を駆け上がる。
結衣の瞳は黄金色に輝き、背後には魔力の残光が尾を引く。周囲の部員たちが、まるで止まっているかのように錯覚するほどの超加速。
限界という名の鎖は、阿久津の情動という猛毒によって跡形もなく溶け去っていた。
ゴールラインを駆け抜けた瞬間、掲示板に表示されたタイムに、グラウンドは静まり返った。学園記録を大幅に塗り替える、非公式ながら世界レベルの数字。
「っ、はぁ……ぁ、はぁ……っ!」
激しく上下する肩。汗に濡れた結衣の頬は、勝利の喜び以上に、阿久津から与えられた「熱」の余韻で、淫らなほどに赤く上気していた。
彼女は遠くから見守る阿久津を見つけ、誰にも見えないように、熱い吐息と共に舌を覗かせた。
一度味わってしまった、阿久津の快楽によるブースト。
爆速のエースは今、彼の手なしでは満足に走ることもできない、「加速のジャンキー」へと堕ちようとしていた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
走る衝撃がそのまま阿久津君に愛撫されているような感覚に繋がる……。
そんな歪な覚醒を果たした結衣のタイムは、周囲を戦慄させます。
ここから始まる彼女の依存劇に期待してくださる方は、評価やブックマークをお願いします!




