第27話:舞台袖の「最終調整」。誰も見ていない暗がりで
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いよいよ開演の時。その直前に行われる、二人だけの秘められた「調整」。
背徳感の中で極限まで高められた凛華のコンディションにご注目ください。
重厚なベルベットの幕一枚を隔てた、舞台袖の暗がり。
表舞台の喧騒が遠く響く中、凛華は阿久津を壁際に追い詰め、その胸に縋り付いていた。
「阿久津君……足りないわ。もっと、もっとよ……っ」
彼女の指先は、期待と興奮で小刻みに震えている。
一度は枯れ果てた回路に、阿久津の熱が急速に注ぎ込まれていくが、彼女の飢えた魂はさらなる深淵を求めていた。
凛華は自らブラウスの胸元を寛げ、阿久津の手を強引に引き寄せて、その熱い掌を自身の素肌へと押し当てる。
「っ、ふあぁっ……! ああ……いいわ、それ……っ!」
剥き出しの鼓動。阿久津が彼女の柔らかな肌の感触に昂ぶりを感じるたび、共鳴パスを通じて、言葉にならないほどの『特大の快感』が凛華の脳髄を直接灼き尽くした。
誰も見ていない、けれどすぐ向こう側には数百人の観客がいる。その極限の背徳感が、二人の共鳴を暴力的なまでに研ぎ澄ませていく。
「阿久津君……耳元で、言って……。私が、あなたの『所有物』だって……私を、壊したいって……そう、想って……っ!」
凛華は潤んだ瞳で阿久津を射抜き、自身の首筋を差し出した。
阿久津が彼女の細い首に手をかけ、独占欲を露わにした瞬間。凛華の魔力バイオリズムは臨界点を突破し、黄金色の粒子が暗がりに溢れ出した。
「っ、ぁあああああ……っ!! 満たされる……っ、阿久津君ので、私の中が、溢れちゃう……っ!」
絶頂の只中、彼女の視界は真っ白に染まる。
だが、その混沌の中で、ピアノの旋律だけが異様なほどの明晰さを持って鳴り響いていた。
準備は、整った。
阿久津の情動という名の猛毒を全身に浴びた女王は、蕩けきった微笑を浮かべたまま、光り輝くステージへと足を踏み出した。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
舞台袖という極限の状況で行われる、阿久津君と凛華の共鳴。
「所有」されることで最強の力を得る……そんな彼女の歪な覚醒が、次話の伝説的な演奏へと繋がります。




