第21話:不穏な影。阿久津の能力を狙う者
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二人の間に割って入る、学園の最高戦力。
阿久津君の隠された価値を巡り、物語は新たな局面へと突入します。
凛華との幸福な余韻を抱えたまま、阿久津は独り、夜の校門へと向かっていた。
だが、校舎の影、街灯も届かない暗がりから、冷徹な声が響く。
「……見つけたぞ。佐藤凛華を突如として覚醒させた、イレギュラーな共鳴源」
足を止めた阿久津の前に現れたのは、黒いスーツに身を包んだ男たちと、その中央で冷笑を浮かべる銀髪の少年だった。
少年の制服には、この学園の頂点――特待生の中でも選りすぐりの者しか許されない『金色の校章』が輝いている。
「君か。無能な一般生徒だと思っていたが、どうやらその魂には、特務機関も注目するほどの『魔力触媒』としての素質が眠っているらしい」
少年――特待生筆頭、一ノ瀬は、阿久津を値踏みするように見つめる。
彼らが放つ威圧感は、佐藤凛華のそれとは質の違う、暴力的で、逃げ場のないプレッシャーだった。
「佐藤さんは関係ないだろう。俺が誰と何をしようが自由なはずだ」
「自由、か。学園の戦力を私物化しておいて、随分な言い草だ。君一人の感情で、国家の至宝とも言える異能者の出力が左右される……。それは、あまりにも危険な毒だよ」
一ノ瀬の手が、阿久津の肩に置かれる。その指先から流し込まれた冷たい魔力が、阿久津の全身を麻痺させた。
「君のその力、佐藤凛華だけに独占させるには惜しい。明日からは、我々の管理下に入ってもらう。拒否権はないよ……君が大切に思っている彼女を、廃人にしたくなければね」
突きつけられたのは、あまりにも一方的な支配。
共鳴パスを通じて、遠く離れた場所にいるはずの凛華に、阿久津が感じた『恐怖』と『屈辱』が伝搬していく。
「……ぁ、ああ……っ!?」
音楽室で一人、幸せな微睡みにいた凛華は、突如として胸を貫いた黒い衝動に絶叫した。
二人の間に流れていた透明な絆が、外部からの悪意によって、どす黒く塗り潰されようとしていた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ついに現れた強大な壁、一ノ瀬。
阿久津君を守りたい凛華と、彼を管理下に置こうとする勢力……。
二人の絆が試される展開に、ぜひご注目ください。




