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Pリフレクト


 ロウガン。 

 オワタ洞窟のボスモンスター。


 蜜蝋のような体はドロドロしており、粘り気がある。

 そして、そこから覗く大きな目玉がギョロギョロと動いている。


 危ない雰囲気だ。

 気を付けて行こう。


 俺は敵から目を離さないように、後ろにさがった。

 まずは攻撃パターンを知らなければならない。


 相手は腕も足もない。目玉しかないから表情も読めない。言葉も話さないから、意志の疎通もできない。目的も分からない。


 人間と同じように戦っていてはダメだ。


「キュルゥゥゥッ!」


 ロウガンが鳴くと、目を閉じた。


 何をする気だ。


 俺はハルバードを構えて攻撃に備えた。

 目玉を中心に高密度の光を溜め込むと、こちらに向かって撃ち出してきた。


 敵の初手はビームか。

 かなり図太く、まっすぐ伸びてくる。


「縮地!」


 防御が危険だと判断し、スキルを使用。

 素早く右に移動して、ビームを避ける。

 余裕はあった。スピードはそこまででもない。


『マスター、後ろです』


 振り向く。すると、ビームが蜜蝋の塊に当たり、そこで反射。

 角度が変わり、俺の方へ直進してくる。


 なるほど。周りにある蜜蝋の塊は闇雲に転がしてるわけではなく、ちゃんと意味があるのか。

 俺は『縮地』を使って避ける。


 それを見計らったように、ロウガンが再びビームを発射。

 蜜蝋の数は30ほどある。反射の角度も考えると何度も避けるのは難しいな。


 ピカーッ!


 閃光か。俺は眩しさに目を背けた。


『マスター。また上です』

「おう」


 ニナの指示を聞き、後ろにさがる。

 ロウガンが側に落ちて来て、地響きを鳴らした。


 敵の攻撃方法はだいたい分かった。

 今度はこちらから仕掛けよう。


 ロウガンの横に回り込むと、その体を縦に切り込んだ。


 グチュっと音がして、刃が深く食い込む。

 水あめを突いているような感覚だ。


 相手は反応がない。

 これでは効いているのかどうかも分からない。


「地獄突き!」


 目玉を狙って突きを放つ。


 こちらもグチュチュと音がする。斧槍が汚れそうなので、不愉快だ。


「キュルゥゥゥッ!」


 目玉に光が溜まる。


 『縮地』で目玉から距離を取った。


「……まずいな」


 接近して攻撃に対して、相手は防御すらしてこない。


 様子から言って、物理攻撃に耐性があるように見える。


 こういうとき魔法があればいいが、俺は覚えていない。


 さて、どうするか。


 といっても、今回はいつもより余裕があった。


 何故なら周りには蜜蝋の塊が転がっているから。


 これを壊して行けば、簡単にマナを取得できる。


 レベル 9

 マナ 1200/2500


 マナの量を確認。


「Pブレイク!」


 すぐに必殺技を使う。赤く輝く斧槍を目玉に向けて突き立てた。

 しかし、結果は同じで反応がない。


 Pブレイクも物理攻撃に含まれるようだ。

 俺は攻撃を中止して、ロウガンから距離を置く。

 あまり離れすぎると、飛び上がってきて落ちてくるので、そこは注意する。


「はああっ」


 近くにある蜜蝋の塊を二つ破壊した。


 レベル 9

 マナ 1000/2500

 

 一つにつき、500ほどか。

 全て破壊すれば、15000ほどのマナだ。


 最初の壁を破壊したときよりは少ないが、それでもかなりの量だな。

 とりあえず、レベル10まで上げておこう。

 俺はさらに、3つ破壊することで、マナを2000まで溜めた。


「レベルアップ!」  


 レベル 10

 マナ 0/4000


 さらに、5の倍数レベルではスキルを覚えると聞いている。


 『スキル【モードチェンジ】を覚えました』


 よく分からないものを覚えてしまった。

 ニナに説明を聞きたいが、さすがに敵を前にしながらでは無理か。


 これは後回し。

 ついでだから、もっとレベルを上げておこう。


 レベル 11

 マナ 0/ 5000


 レベル11だ。


 レベル 12

 マナ 0/6000


 もう一つ上げてみた。


『マスター。大変です』


 ロウガンが地団太を踏んでいる。

 蜜蝋の塊が破壊されたので、怒っているのだろう。


 俺は構わずに、残りの塊を破壊した。

 もちろん、盗賊の男が入っている塊だけは壊していない。


 レベル 12

 マナ 3000/6000


「これで準備はできたな」

『なんの準備ですか?」

「まあ、見ていてくれ」


 ロウガンが光を溜め込んでいる。

 前よりもずっと大きな光で、溜め時間も長い。


 怒ったせいで、攻撃パターンを変えて来たか。

 蜜蝋の塊はもうなくなった。


 だから、もう反射のことを考える必要はない。

 塊まで完全に破壊する威力のビームを撃つつもりなのだ。


 だが、これを待っていた。


「キュルゥゥゥッ!」


 ロウガンがビームを撃ち出してきた。


 巨大なビームだが、俺は避けない。


「Pブレイク!」


 キィィィィン!


 ハルバードが赤く輝く。


 これから強敵と戦っていくうえで、試しておきたいことがあったのだ。


 それは『Pブレイク』を攻撃以外の方法で使うこと。


 だから、このビームを真っ向から受け止める。


 俺は斧槍を前に出し、防御の構えを取った。


「……うぐ」


 ビームがあまりに大きすぎ、俺の体にも当たる。


 痛いが耐えることはできる。


 何度か使うことで分かったことだが、『Pブレイク』は武器だけでなく、装備している俺にも効果を及ぼす。


 『Pブレイク』と叫んで敵に攻撃を与えるまで、俺からは力がみなぎり、あらゆる状態異常が効かなくなる。


 この効果を利用すれば、防御力だって上げられるはずだ。


 生身の身体なら大ダメージでも、今の俺なら耐えられる。


「はああああっ!」


 俺はハルバードに力を込めて、必死に前に押し出した。


『まさか、マスター、このビームを……』


 そう。跳ね返すつもりなのだ。


 跳ね返して、このモンスターにぶち当てるつもりなのだ。


「うりゃあああっ!」


 力任せに斧槍を振り抜いた。


 巨大なビームは、そのロウガンの目玉に直撃し――。


「ぎゅるるううう!!」


 汚い叫び声を上げた。


「……勝った」

『やりましたね。かなり危なかったですけど』


 だが、同時に大きな収穫も得ることができた。

 これがあれば、魔導士の強大な魔法を打ち返せる。

 訓練をすれば、父上の特技だって跳ね返せるかもしれない。


「Pリフレクトだな」


 技の名前を考えた。

 この調子で大会までにさらに技を磨くとしよう。

 

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