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剛剣のサンダルト


 ダンジョンからの帰り道。

 今日も多くのモンスターを倒した。

 もう日課になりつつあるステータス確認をしてみる。


 レベル 8

 マナ 1680/2000


 レベルが更に上がり、マナの蓄積量も2000まで上がった。

 ニナもレベル1のときより、強くなってることが分かる。

 特に火力が安定してきたので、俺も安心してダンジョンに潜れるようになってきた。


『火力といえば……』

「サンダルトのことか」


 戦いにおいて、重要視されるもの。

 スピード、テクニック。ときには運や知恵が絡んで来ることもあるだろう。


 だが、とりわけ重要なのはパワーだ。

 武器とは金属の塊であり、それを相手にぶつけてダメージを与えるのだ。


 体格が良く筋力に優れていれば、それだけで相手の優位に立てる。

 その点では、サンダルトは完璧に近い男だろう。

 あれほど体格に恵まれている者を俺は初めて見た。


「いつか戦ってみたいな」


 俺の目指すものは剣聖だ。

 剣聖とは剣技をマスターし、剣士の中では最強の男だ。


 当然、全ての剣士を倒すぐらいでなくては、剣聖には太刀打ちできない。

 サンダルトが剣士というなら、どこかで戦わなければならない相手だろう。


『マスター。やる気ですね』

「まあな。だが、そのためにはもっと修行を積まないとな」


 俺たちはアルクの町の鍛冶屋まで向かった。

 モンスターから手に入れた素材をフランに鑑定してもらうためだ。


「おい、フラン。来たぞ」


 俺が扉を開けて中に入ると、フランが出て来た。


「ごめん、今、お客さんが来てるの。ちょっと待ってて」

「客?」


 俺はフランの後ろを覗いてみる。


 すると、そこには見覚えのある顔があった。


 というより、さっきまで話題にしていた。


「……サンダルト」


 なぜかサンダルトがフランの鍛冶屋にいて、来客用の椅子に腰かけている。


 どうしてだ。


「注文したものはできているのか?」

「はい。少々お待ちを」


 フランが奥から持ってきたのは、数メートルはあろうかという大剣だった。


 話が読めてきた。


 あれは俺がベクチオ山で取って来た『王者のくちばし』により完成させた剣だ。

 あのときはあんな巨大な剣を誰が持つのか不思議だった。


 だが、その持ち主がサンダルトというなら納得だ。

 彼なら十分に扱うことができるだろう。


「……うむ」


 サンダルトは剣を持ち上げると、刃先を見つめた。


「いいだろう」


 満足したようだ。


「ラルフ・メイスン」

「え? 俺?」


 前に会ったときは、お礼も言えずにサンダルトの方が消えてしまったのだ。

 俺の名前は知らないはず。

 ああ、でも、ウイグルが俺の名前を言っていたかもしれない。


「ごめん。私が話した」

 

 教えたのは、フランか。


「あと、剣聖のことも話した。Pウエポンのことも」

「おまえって、わりとお喋りなんだな」

「え? 言ったら、まずいことだったの?」


 いや、別にいい。隠したところで意味はない。


「俺と勝負しろ」

「……は?」


 突拍子がなさすぎるだろう。


「まさか、サンダルト。おまえも剣聖の弟子になりたくて」

「誤解するな。俺はおまえに興味を持っただけだ。それに、その武器にも興味がある」


 剣聖の息子だからではなく、この間の戦いぶりを見て何かを感じたそうだ。

 それは嬉しいことだが、やっぱり急すぎないだろうか。 


 サンダルトは俺に日時と場所を告げた。

 戦いは明日のようだ。あまり時間はない。


『マスター。良かったですね』

「ああ。そうだな」


 戦いたいとは思っていたが。


 今の俺でサンダルトに勝てるのだろうか。


 *

 

『これがラルフ? 間近で見ると超気持ち悪い。くっさー。風呂ぐらい入りなさいよ』


 騒がしい大剣だ。

 あと風呂にはちゃんと入ってる。


『死ねっ! 死ねっ! さっさと死ねっ!』


 フランが作ったものでも、やはり俺のことが嫌いなようだ。

 【剣悪感】は相手が剣なら、どんな場合でも効果を及ぼす。


 とはいえ、いつものように剣を弾いたり、まして剣を壊すようなことはできないだろう。

 今までの剣士は実力に乏しかったが、サンダルトは違う。


「準備はできたか?」


 質問の意味がいまいち分からない。

 ちゃんと言われたとおりの日時と場所にやってきたのだ。

 それは準備ができてるということだろう。


「あとで準備不足だと言い訳されても困るからな」

「そういうことか。できてるよ」


 この男はお互い全力でやって、そのうえで勝利したいようだ。

 そういう考え方は嫌いじゃない。


「一つだけいいか。俺の武器についてなんだが」

「問題ない。説明も不要だ」

「……わかった」


 まあ、もうニナは俺のスキルと変わらないからな。


「始めるぞ」


 サンダルトが大剣を構えた。


『ようやく始まるのね。ラルフをグチャグチャのミンチにしてやるわ』


 大剣も俺を切る気でいる。


 俺もハルバードを構えながら、ゆっくりと前に進む。


 その間に、相手を観察してみる。


 敵は大きい。


 身長は2メートル以上あり、大剣も同じぐらい長い。


 俺の武器は斧槍だが、身長差を考えれば間合いは相手の方が広い。


 普通に向かって行けば、先に切られるのは俺だ。


 相手も不用意に攻めてこないから、手を出しにくい。


 まずは隙を作らなければ。


「ニナ。いいか?」

『はい』


 俺は斧槍を肩に担ぐと、


「うおりゃああっ!」


 サンダルト目掛けて、思いっきり投げつけた。


 そして、すぐに『縮地』を発動。相手との距離を詰めていく。


 サンダルトは意表を突かれた顔をしている。


 まさか序盤からメイン武器を投げつけてくるとは思わなかったのだろう。


 隙を作るのを恐れてか、横に体をずらした。


 だが、斧槍はぐぐっと曲がって、相手の頭を捉えている。


「……ちっ」


 キィンッ! 大剣を使って、斧槍をはじいた。


 よし。これで隙ができた。


「ハローアタック」


 右手に斧槍が戻ってくる。


 俺は体を屈めた。


 サンダルトは上段に意識を集中している。だから下段への対応が遅れる。そこを狙う。


「はああっ!」


 斧槍を横に走らせて、両足の膝に切りかかった。


 だが。


「……は?」


 俺の攻撃は空を切った。


 サンダルトがジャンプしたのだ。


 しかも、1メートルほどの大ジャンプ。身体能力が並ではない証拠だ。


 そこから、サンダルトが大剣を振り下ろして来た。俺を押しつぶすように体重を乗せている。


「縮……」


 間に合わない。


 仕方なく斧槍を前に出し、大剣を受け止める。


「……くっ」


 なんて重い一撃だ。腕が痺れる。


 俺が後ろにさがると、サンダルトは前に出て追撃をしかけてきた。


 このままでは防戦一方だ。俺も攻撃を繰り出す。


「地獄突き!」


 たぶん狙っていたのだろう。


 サンダルトがタイミングを合わせて来た。


「だりゃああっ!」

 

 大剣が槍の穂先を弾く。


 初撃を封じられた。スキルを発動できない。


「……しまった」


 今のでバランスを崩した。相手に狙われる。


「……ふっ」


 サンダルトが小さく笑った。


 そのとき、バチバチッと、大剣に稲妻が走った。


 まずい。何かやる気だ。


「ヘルクラッシュ!!」


 おそらく、特技なのだろう。


 名前は仰々しいが、実際には強打。ただの強力な打ち込みに過ぎない。


 だが、サンダルトの腕力があれば、単純な技も脅威の必殺技となる。


 バキィィィッ!


 俺は受けきることができた。


 まったくの無傷だったのだが。


「……ニナ」


 その代わり、ハルバードが破壊されてしまった。


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