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ベンチャーCEOの想い溢れる初恋婚 溺れるほどの一途なキスを君に  作者: 犬上義彦


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(5-7)


   ◇


 男の腕の中で冷静さを取り戻した翠は時計に目をやった。


「たいへん、もうこんな時間」


「先にシャワー浴びてきなよ」


 ――はあ?


「まだするんですか?」


「違うよ」と、蒼也が吹き出す。「朝ご飯用意しておくから、その間にシャワーを浴びろってこと。仕事行くのにそのままじゃ、さすがにまずいだろ」


「そ、そうですね。お願いします」


 勘違いでますます汗が噴き出し、翠は慌ててバスルームに駆け込んだ。


 熱いシャワーで気怠い体が一気に目覚める。


 自分の体のあちこちに、蒼也がつけた印がくっきりとついている。


 全部見られちゃったんだよね。


 私も見ちゃったけど。


 なんか、かわいかったな。


 ケダモノみたいな蒼也さん。


 食べられちゃった、私。


 ……って、何言ってるんだろ。


 急がなくちゃ。


 時間がないんだから。


 頭を仕事モードに切り替え、バスルームから出て髪を乾かし支度を済ませると、キッチンには朝食ができあがっていた。


「もうできたんですか?」


「ベーコンエッグを挟んだホットサンド。包んでおいたから、車の中で食べなよ」


「はい、ありがとうございます」


 それをもらって鞄を取りに行こうとすると、蒼也に腕をつかまれた。


「顔が赤いよ」


「なんでもないです」


「何を想像してた?」


「してません!」


 急いでいるのに、腕を放してくれない。


「そろそろ『です、ます』とか、敬語はやめようよ」


「そうですか」


「ほら、また、『です』って言ってるぞ」


「急に変えるのは難しいですよ」


「そんなことないだろ」と、澄んだ緑色の瞳がのぞき込んでくる。「ちゃんと、『何があってもやめないで!』って叫んでたじゃないか」


 ――ちょっ。


 そ、そんなことまでおぼえてるんですか!


「ほら、言ってみなよ」


「やめてください。恥ずかしいです」


「また敬語に戻っちゃったよ」


「ち、遅刻しちゃいますから。その話はまた」


 翠は冷蔵庫からオレンジジュースのパックを掴み取ると、玄関に向かってばたばたと駆けだした。



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