元凶とそのおわり。
私は憎い。
あの人がとても憎い。
殺してしまいたいほど憎い。
私はぐっ、と親指の爪を噛んだ。
長くて青い髪を後ろに払ってその怒りをなんとか抑える。
雨上がりの中、水たまりに映った自分を見てため息をこぼした。
お気に入りの黄色のドレスが汚れてしまった。
私はまた落ちてきた髪をまた後ろに払って唸る。
「災い」を作る元凶、それは私の事。
いいえ、私に変わった、かしら。
私の名前は、小夜。
昔は「災い」とは人の怨念から作られたもの。人間が憎い、うざい、殺したい、そんな怨念をもとにつくられたいきもの。
そしてその化け物は時の境目が分からなくなった時にようやく生まれてきて、自分たちを作り出した人を襲い喰らう者。
あれは自然に生まれるべきだったのかもしれない。私が、ここに居るから、「災い」は全く減らないどころか増え続けている。
「ふふふっ。」
ざまあみろ、だわ。
私の憎くてたまらない人、それはクラリック。またの名を夜留。
私の弟であり、血縁者。
私は姉として産まれるべきだった、なのに!母は私を流産し、私は母の温もりを感じることも無くあとかたもなく消えていった。
あいつは、あいつは。
私の存在も知らないままで、呑気に私のことなんて気にもとめないで暮らしてる。
許せない、何故母の愛を注がれたのが貴方だったのか、何故私じゃなかったのか。
あの人は姉がいるということすら知らないのに。
「っくそ……っ。」
私のあまりの憎しみと恨みに、天は私を認めたようだ。
「災い」同様、色の真っ黒などろどろのハートが私の胸から出てくる。
天が与えてくれたハート。
これで、復讐をしろってことなのよね?
私は笑った。
私は「災い」を作り始めた。
自然に作り出される「災い」なんてほんの僅か、ほとんどが私の作ったもの。
それは母がいなくなってしまった日から。
大丈夫。
きっと殺してみせる。
そしてあの人のハートを私のものにするの。
──ほんとにそれでいいの?
頭の中で、私の声が聞こえる。
うるさい、うるさいうるさい!
──ほんとにそれでいいの?
いいのよ、だって彼は私の事なんて、
──本当は?
「うるさいっ!!!!」
はぁ、はぁ、と息が乱れる。
頭を抱えた。
大丈夫、殺せる、殺せるの。
たとえ弟でも、憎いことには変わりない。
でもどうして憎いの?
本当に、今の理由で憎いの?
「……っ、理由なんていらない。」
大丈夫。
「人間だって、理由もなしに人間や生き物を嫌いになる事なんて普通じゃない。」
人間は自分勝手だ。
なら私だって、自分勝手だ。
────
──
─
あなた、危ないよ?
こんな時間に外に出て、「災い」に襲われちゃうかもしれないじゃない。
え、私は誰かって?
ふふっあなたを守る救世主!
ほら、お家におかえり。
もうお外はこんなにも夕焼けでいっぱいで、きっと危険なものに襲われやすいから!ね?
いつだって減りやしないさ。
だってここは日本。
自分たちに役目なんて言うには程遠いけど。
それでも。
なの知られないかみさまとして、生きてくよ。
(END)
はい!!
短編という事で一応ここで境界世界は終わりになります!
物語というよりも世界観を描きたかったので満足です!が!!!
番外編というか、この話の後や皆の過去話などをまだ書いてくつもりですのでよろしくお願いします!




