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凍話5-早すぎる別れ…-

充は、自分の事を消すと言ってきた草間の手から逃れるために零葉と一緒に、命からがらあるビルの地下に逃げ込んだ。そこで零葉の知り合いの口の悪い青年、森村隼人と出会う。何と零葉は彼と探偵をやっていたのだ…

充達は事件の手がかりを探しに豊洲のドック跡地に行く。

そこで、また哀しい事件が起きてしまう…

充と零葉は追っての草間から命からがら、逃げる事が出来た。

ここは、八幡(やはた)ビル地下4階の隠し部屋である。


充は零葉に全ての事情を話す事にした。零葉は静かに充の話に、耳を傾け真剣に聞いた。そして、口を開いた。

「…やっかいな敵が現れましたね。草間という男は青葉さんの父親の弟子ですか…。何故、草間は師匠の息子である充さんを消そうと襲ったのでしょうか?」

「解らない…。アイツが全国大会で日本一になった時から人柄が変化したというのは噂で聞いているんだが…あ、そうだ!アイツ、俺を襲ってきた時に“上からの命令”って言ってたな。もしかして、あの事件の真相を裏で俺を消そうと糸を操っている役者がいるのか?」

「さぁ…今の所、詳細は解りませんが…。あ、それはそうと…ここは何を隠そう、私“ら”の秘密基地なんですぅ。ジメッてしてますがそれがまた良いんですよ!」

零葉の要らない説明に充はいらついていた。これから、どうすれば良いか…真剣に考えていたその時、


(バタンっ)

「おい、零葉。汐留で起きた殺人事件現場に行って来たぜ…うん?何だこのガキは?」


現れたのは充と同じぐらいの背丈の青年だった。髪はワックスでツンツンしていて光っていて、年は充より若く見える。充の彼への第一印象はチャラチャラした口悪い奴。

「あ、そういえばこの人の事、まだ話してなかったね。こちら汐留駅で遺体を発見し、犯人を見かけたという青葉充さん。」

「ふーん…、コイツがね…。俺の名前は森村隼人(もりむらはやと)…一応名前だけ言っておく。お前さんは幾つだよ?」

もう少し、まともな口の聞方があるだろ…勉強しろよ…充は思った。


「21。」

すると隼人が

「ほえー、あんた俺と同い年じゃん!それにしても…幸薄そうな顔をしてんなぁ。」

ほっとけよ…ここにはマシな奴は居ねぇのかと充は感じた。零葉は言った。

「私と彼はここで探偵をしてるんです。今までいろいろな仕事を大学と両立しながらやってきました。今回の費用は一切要りませんから、充さんの御手伝いをさせて下さい、お願いします!」

充は、別に構わないと承諾した。

「おい、本来ならコイツからお願いしますと言うべきだべ?何で、零葉が謝んだよぉ!」

と、隼人。零葉は制して、

「隼人は黙ってて。これは私たちにとって仕事のプライドを掛けた犯人捜しだから、こっちからお願いしてるの、解った?」

「ちっ!!」

と、隼人はそっぽを向いてしまった。充はそれに構わず、零葉に事件が起こった時の詳細説明をした。

零葉は、少し考えた後、思い出したという動作をして口を開いた。

「そういえば、前の事件で豊洲に行ったときに船のドック跡地に倉庫が何棟か出来ていたんです。噂ではその倉庫は裏のマフィア達が隠れ家として利用しているって話を聞きました。怪しいので、今からその倉庫地に行ってみましょう。」

と言ってハンガーに掛けてあったコートを着用した零葉は出ていった。

「ちっ!…しゃあねぇ、俺もいっか。」

と、隼人は言って外に出た。

充は、呆然と見ていたがやっと気付き、外に出た。

3人はビルから近くでタクシーを拾い、豊洲のドック跡地に行った。


ドック跡地は閑静に包まれていた。時々、船の汽笛音が聞こえる程度。

倉庫を見て行動派なのか隼人は、

「俺から中を確認して来る。零葉と坊っちゃんは俺が良いというまで動くんじゃねぇぜ。」と、言い残して倉庫に単独で入っていった…。


隼人が倉庫侵入をして数分後、事件はまた起きてしまった…


(チュドーーン!!)


何と、隼人の入って行った倉庫が突然爆発したのだ…。充と零葉は爆発時の爆風により吹っ飛ばされてしまった…


身体を強く打ち零葉は気絶し、充も意識を失う前に向こう側にうっすらと人影が走っていくのを見たが、力尽きた…

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