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学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ
第1部 基準にならなかった男

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第59話 乗れなかった者たち

 制度が変わってから、最初の破綻は静かに起きた。


 場所は、旧学園管轄の実験区画。

 かつて「実地訓練用」と称して使われていた、半放棄地域だ。


『境界域J、異常発生』

『旧管理方式による対応を確認』


 その一文を読んだ瞬間、管制室の空気が沈んだ。


「……まだ、やっていたのか」


 隊長の声には、呆れが混じっている。


 旧学園派閥。

 制度変更の際に、形式上は従ったが、

 内心では納得していなかった連中だ。


 彼らは、こう考えていた。


 ――ノアがいなくても、

   同じことをすればいい。


 運用は、旧来のものだった。

 特定の地点に“要”を置き、

 そこを中心に負荷を集中させる。


 問題は、

 その“要”が、もう機能しないことだった。


『初動、成功せず』

『想定より早く拡大』


 報告は、淡々としている。


 感情は、どこにも書かれていない。

 だが、結果は明白だ。


「……被害は?」


 調停局の男が聞く。


「負傷者数名」

「施設損壊あり」

「責任者は、旧学園側です」


 誰も、俺を見ない。


 それが、

 今までと決定的に違う点だった。


 俺は、ただ報告を聞いている。


 管理担当の女性が、低い声で言う。


「制度は、守られていたわ」

「“あなたを前提にしない”という点では」


「ええ」


 俺は、頷く。


「だから、失敗した理由も」

「はっきりしています」


 彼らは、

 俺を使おうとしたわけじゃない。


 ただ、

 “俺がいた時代のやり方”を、

 そのまま続けただけだ。


 それが、

 もう通用しなかった。


 後処理は、速かった。


 責任は明確。

 言い訳も、擁護もない。


 旧学園派閥の責任者は、

 職を解かれただけだ。


 罰は軽い。

 だが、それで十分だった。


 彼らが失ったのは、

 立場よりも――

 「正しかったはずの前提」だ。


 夕方。


 管制室の片隅で、

 若い職員が、ぽつりと言う。


「……あれ?」

「ノアさんの名前、出てませんよね」


「出る必要がないからな」


 隊長が、即答した。


 それだけの話だった。


 俺は、窓の外を見る。


 境界域Jの方向。

 もう、騒ぎは収まっている。


(……乗れなかったんだな)


 新しい制度に。

 新しい判断に。

 そして――

 俺が“いない世界”に。


 誰も、責めない。

 誰も、ざまぁだとは言わない。


 ただ、

 置いていかれただけだ。


 それが、

 一番静かで、

 一番確実な終わり方だった。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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