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学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ
第2部 選ばれない世界のその先で

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第102話 想定外

 臨時会議は、静かに始まった。


 以前のような熱はない。


 声も抑えられている。


 だが、


 重い。


 空気が沈んでいる。


「今回の事象について」


 議長が言う。


「原因の特定と、責任の所在を明確にする」


 誰も反応しない。


 分かっているからだ。


 これは、誰かの問題ではない。


 だが、


 誰かの責任にしなければならない。


 カルディアが前に出る。


 いつものように。


 だが、


 わずかに遅れて。


「報告します」


 声は落ち着いている。


 だが、


 以前のような確信はない。


「国際接続により、同期率が上昇」


「結果として、全域の波形が近似」


 事実を並べる。


 誰も否定しない。


「その結果」


 ほんの一瞬、言葉が止まる。


 誰もが気づく。


 その“間”に。


「演算が停止しました」


 静かな言葉。


 だが重い。


 会議室が沈む。


「原因は?」


 議長が問う。


 カルディアは目を伏せる。


 ほんのわずかに。


 そして言う。


「……想定外です」


 その一言。


 空気が変わる。


 誰もが理解する。


 それは、


 これまで彼女が否定し続けてきた言葉。


 想定外は、想定不足。


 そう言っていた。


 その彼女が、


 それを口にした。


「想定外、か」


 誰かが呟く。


 責める声ではない。


 確認だ。


 だがその言葉は重い。


 カルディアは続ける。


「同期率が極限に達した場合の挙動は、

 十分に検証されていませんでした」


 正確な説明。


 だが、


 それはつまり。


「見落としですね」


 別の声。


 カルディアは否定しない。


「……はい」


 その一言。


 それだけで十分だった。


 完璧は、崩れた。


 エルドは黙っている。


 何も言わない。


 責める必要はない。


 結果がすべてだから。


「再発の可能性は?」


 問われる。


 カルディアは答える。


「現状では低いと考えられます」


 だが、


 その声に確信はない。


 誰もそれを信じきれない。


 議長が言う。


「今後の方針は」


 沈黙。


 誰も即答できない。


 以前なら、


 カルディアが答えていた。


 だが今は違う。


 エルドが口を開く。


「中央は補助に回すべきです」


 静かな声。


 強くはない。


 だが揺らがない。


「最終判断は現場に残す」


 会議室がざわつく。


 だが否定は出ない。


 もう、


 分かっているからだ。


「それで安定する保証は?」


 問われる。


 エルドは答える。


「ありません」


 正直に。


 その一言が、逆に強い。


「ですが」


 続ける。


「止まることはありません」


 沈黙。


 長い沈黙。


 カルディアが顔を上げる。


 エルドを見る。


 その目は、


 以前とは違う。


 強さは残っている。


 だが、


 揺らぎがある。


 ほんの少し。


「……不完全ですね」


 カルディアが言う。


 エルドは頷く。


「はい」


 否定しない。


「でも」


 カルディアは続ける。


 ゆっくりと。


「完全では、止まる」


 その言葉。


 初めての肯定。


 彼女自身の口から出た。


 会議室が静まる。


 誰も何も言わない。


 それで、


 十分だった。


 完璧は、選ばれなかった。


 屋上。


 風が少し強い。


 ノアが言う。


「言ったな」


 エルドは頷く。


「はい」


 短い返事。


 ノアは空を見る。


「壊れたか」


「はい」


 エルドも空を見る。


 雲が流れている。


 ばらばらに。


 揃っていない。


 それでいい。


 その方がいい。


 世界は、


 もう完全ではない。


 だから、


 動いている。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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