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学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ
第2部 選ばれない世界のその先で

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第100話 停止

 接続から十八日。


 その瞬間は、


 あまりにも静かに訪れた。


 警報は鳴らなかった。


 揺らぎの予兆もなかった。


 ただ――


 動きが、消えた。


 管制室。


 モニターの波形が、止まる。


 完全に。


 平坦なまま。


 更新されない。


「……?」


 誰かが声を出す。


 だが続かない。


 端末が応答しない。


 演算ログが止まっている。


「更新が……」


「止まってる……?」


 その言葉が広がる。


 だが遅い。


 すでに起きている。


『演算停止』


 表示。


 初めての表示。


 誰も見たことがない。


 中央網。


 帝国網。


 すべて。


 沈黙。


 外。


 空が、歪む。


 都市が、わずかに沈む。


 数センチ。


 だが確実に。


 世界が一瞬、落ちる。


 悲鳴が上がる。


 通信が途切れる。


 光が揺れる。


 空気が歪む。


 だがそれも、


 一瞬。


 動きがない。


 何も。


 すべてが、


 止まっている。


 管制室。


 誰も動けない。


 何をすればいいか分からない。


 判断がない。


 中央がない。


 補正がない。


 ただ、


 止まっている。


 エルドは立っている。


 動かない。


 いや、


 動ける。


 だが周囲は動かない。


 誰も判断しない。


 できない。


 その時。


 ノアの声。


「動け」


 短い。


 だがはっきりと。


 エルドの体が反応する。


 端末を掴む。


 中央はない。


 だが現場はある。


「局所補助、展開!」


 声が響く。


 初めての声。


 誰かが反応する。


 遅れて。


 だが動く。


 別の場所でも、


 別の誰かが、


 動く。


 中央がない。


 だから、


 ばらばらに。


 判断する。


 差が生まれる。


 揺らぎが分散する。


 波形が崩れる。


 均一が壊れる。


 そして――


 動き出す。


 ゆっくりと。


 遅く。


 だが確実に。


 世界が戻る。


 空が元に戻る。


 沈みが止まる。


 通信が回復する。


 光が安定する。


 管制室に音が戻る。


 呼吸が戻る。


 誰かが崩れる。


 誰かが泣く。


 誰かが笑う。


 エルドは立っている。


 ただ、


 手が震えている。


 モニターが再び動く。


 波形。


 ばらばら。


 歪んでいる。


 だが、


 生きている。


 ノアが言う。


「止まったな」


 エルドは答えない。


 言葉が出ない。


 カルディアが座り込んでいる。


 画面を見ている。


 その目は、


 初めて揺れている。


「……なぜ」


 小さな声。


 誰にも向けていない。


 エルドはゆっくりと言う。


「揃ったからです」


 その言葉。


 静かに落ちる。


 カルディアは何も言わない。


 否定もできない。


 ノアが言う。


「制度は道具だ」


 短い。


 いつもの言葉。


 エルドは深く息を吐く。


 そして言う。


「判断は、渡さない」


 その声は、


 初めて迷いがなかった。


 外。


 世界はまだ揺れている。


 完全ではない。


 だが動いている。


 それでいい。


 止まってはいない。


 もう。


『同期率:――』


 表示は、消えていた。

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