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第61話 港町の襲撃でボカン

 コン、コン


 街外れにあるタコの頭の形をした建物。高さ10メートルの建物の正面に一つだけついている扉が開き、扉を開けたスタッチェルハーケンのメンバーの一人がギョッとする。


 ――どうして、ここに・・・?中で待っててくれ。リーダーを呼んでくる


 すました顔で建物に入る柴丸、ダフネ、ヘキシア、第4部隊、ミラグロサ姫、ローブをまとった5人。いや、ミラグロサ姫だけはわくわくと楽しそうだ。いや、柴丸も負けてはいない。


 ダフネは静かに闘気をみなぎらせる。


 天井まで吹き抜けの玄関ホールで待っていると、スタスタとアインスがやってくる。


 ――皆さんお揃いで、どうしてここに?


 ――ちょっと、ロサが言いたいことがあるって言うから来たのよぉ


 ミラグロサ姫はゆっくりと腕を持ち上げビシッと指をさし断罪する。


 ――あなたたち、怪しいわっ!だからクビよっ!


 キョトンとするアインス。そして


 ――ぶっ?!フハハハハハッ!!マジか?!ハハハッ!!


 ――何がおかしいのっ!クビって言ったのよっ!


 ――なんで俺たちが霧の中でわざわざ襲撃したと思ってるんだ?


 ――不意打ちするためよっ?


 ――圧倒的に弱い奴らにそんな必要ないだろ?ミラグロサ姫を誘拐したときに確実に目撃者を逃がさないためだ


 今度はミラグロサ姫がキョトンとする番である。


 ――罪を認めるのねっ?!


 ――言ってるだろ?確実に逃がさない。今ここにスタッチェルハーケンのB級冒険者が50人いる。まさか!のこのこと自分たちから飛び込んでくるとはな!


 出口に6人、玄関ホールを眺めるように設置された2階、3階の廊下にも弓を構えた冒険者たちが溢れる。


 「と、飛び道具?!ひきょうだよ!」


 『ダメダメです。何も言わずに攻撃しないともったいないです』


 ――おめぇらこそ、あたいらなめてねぇか?あぁ?!


 ――はぁ?しね


 アインスはくだらない者を見る目で一瞥し、手で攻撃の指示を出すと、2階、3階、入り口から一斉に矢が放たれた。


 カカカカカカッカカカカカカカン!


 即座に展開した第4部隊により四方八方から襲う矢は盾で受け止められる。


 ――ヘカトンオラァァァァァッ!!


 すでに詠唱の終わっているダフネが魔法を発動し地面に斧を叩きつけると、ダフネを中心に玄関ホールごとスタッチェルハーケンたちはダンプカーにでも跳ね飛ばされたかのように吹っ飛ぶ。


 5割の者は倒れ、3割はダメージを軽減し、2割は回避した。同時にダメージにより建物が消滅する。


 ――手加減し過ぎじゃなぁい?グランドスパイク!!


 地面から伸びた7メートルの槍衾やりぶすまにより、次々と意識を刈り取っていく。


 ただ2度の攻撃だけ。ただそれだけで、アインス以外は倒れ地面に横たわる。


 「敵対しなくてよかったよ!すごくよかったよ!」


 『いいえ。最後に勝つのはわれわれです』


 ――・・・・


 ――なーに、次に目覚めたときはスイートルーム(ろうや)


 ダフネが斧を握りしめる。


 ――はぁー、上手くいきませんね。コレ分かりますか?


 アインスは小型のマジックバックから、赤い液体がちょびっと入ったポーション瓶を取り出す。


 ――血か?


 ――ええ。俺は吸血族なんですよ。城で剣星の血が床に垂れていましてね


 きゅぽんとコルクを外し舌へ血を垂らす。


 「いいの?飲ませちゃっていいの?」


 ドキドキしながらたまは見守る。


 ――あー、あのメイドと同じか


 興味なさげにダフネが答える。


 ――コピーもできないあんな牙なし(***)種族と一緒にするな!今の俺は最強の剣星だ!シューティングスタースラッシュ!!


 建物の何倍もある斬撃が、ダフネとともに後ろにいる面々へ襲い掛かる。


 ――っ!


 ダフネが斧で斬撃を受け止めるが、ゴーゴーと光り輝く斬撃がダフネをゆっくりと飲み込んでいく。


 ――の斬撃!てめぇら消し飛べ!!


 目前の勝利にアインスが叫ぶ。


 ――三下・・・がっーーーー!こぉんぁのおっさんのマネにもなってねぇ!リフレクションスラッシュ!!


 ――ぶけらっ?!


 手加減を加えられ反射された斬撃がアインスを飲み込んで吹っ飛ばす。きりもみで飛んでいくアインスの意識は既にない。


 ローブからシマウマ獣人たちが顔を出す。


 ――俺らミュリーさんから援護に出されたけど、不要でしたね


 ――そんなことねーぞゼブラ!入るまで相手の戦力も読めなかったしな。おかげでロサを安心して任せられた


 ダフネがバンバンと肩をたたく。


 ――そうよぉ


 ――せめて、こいつら都へ運んどきますよ


 ――ダフネ、だいじょうぶ?


 シューティングスタースラッシュを受け止めたダフネは傷だらけだ。


 ――痛くないし全然平気だし、こんなの剣聖のおっさんに比べたらなんともないし


 ――なんで強がってんのよぉ?


 「あ?!あんたたちぃ、やっておしまい!言うチャンス逃したよ!」

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