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魔王様は手品師  作者: ゆたか
比企田天在編
191/191

191.もう原型のない白井

「人間とデジタル人間の交配、記憶を消去する雨の兵器利用・・・・人間側が自分たちで思いついたとも思えない」


ベッケンはすぐに身震いする。続けて信が嫌らしく問う。


「そんな入れ知恵をするものに心当たりがある・・と?」


「いる、好奇心の権化」


ルーファスを抱え、白井は空中を飛び跳ねる。


「わ、私、だってね、ほっ。ルーファス。よいしょ、この世界が滅んでほしいとは、ほっ。思ってないわけです。ただ、滅ぶのも面白そうだし、駄目だと言われたら見てみたい、目の前にすべて用意されているのに『実験』させてもらえないなんて酷な話で、ほっ、よっこいしょ。酷な話でしょう?」


「・・・・・」


ルーファスは静かに聞く。


「あのドラ息子二人をそちらに送ったのも、貴方が面白い実験を提案してくれたから、いえ。元は松本説?でしたか?非常に興味深い。人間だと優越感だけで生きているこちら側の人間に、動揺を与えると一体どんな行動をするのでしょうか。そもそも私もそうなのでしょうか。ふふふっふ」


ルーファスは白けた顔をして白井を見る。


「あーあ。壊れちゃったかなこれ?」


ルーファスは白井を叩く音を出す。


「・・・・おはよう、ルーファス。うーん」


ノリの良くない白井にルーファスがキンキンとした音だけをメインに話し始める。


「あ!AAA!!いい!!」


「ストップストップ起きました。こっちが現実。で・・・・どうなりました?ああ。そうですか。楽しみです。しかしでもだってもう、・・・・。」


ルーファスは悲しそうに白井を見る。


「せっかく、最初で最後の友達だったのかもしれない・・・のに」


「機械から人間に近づこうとしている・・・ぼく。人間から機械になるように言われた白井」


白井が昔、ルーファスに断片的に話した言葉が、ルーファスの中で一つの物語として繋がる。


小学生くらいのときでしょうか。マセガキだった私はそこで悟ったのです。


ああ、記憶力がよければ苦労しないんだと。


中学になり確信しました。頭が良いとは覚えゲーなんだと。確かに応用して問題を解くジャンルの数学は苦手です。ですが、この国のテストは八割が事前に範囲を教えてくれる虫食い記憶クイズ。


数学ですか?公式を覚えて、数字をいれる、この程度は覚えゲーのワタシでもできます。


感想文や発想を求められる数学は軒並み点数が低かったですが、八割のうちニ割・・・ああ、場合によっては一割落とす程度ですから、惜しかったねと褒めてさえくれるのです。


ですが私は高校のときに確信してました。記憶力がいいだけで八割は取れると。


・・・・友人のMくんは途中まで戦績を争い切磋琢磨できた友人でした。


彼はある日、私にもう『この勉強』はしないと告げたのです。


記憶力がいいだけのものを選別するお祭りに飽きたそうです。


刺激的ではないんですって。


・・・・それよりかは対極にある、発想力に惹かれたそうです。


ええ、私は忠告しました。発想力が豊かでも周りに理解されなければ商業的にも成功せず、あわよくば意図して失敗させられ、ブランド価値を高められたあと利用されるだけだと。


誰も見向きもしなかった天才。その高めたブランドはとてもとても。金になりますから。


・・・・友人はそれでも覚えゲーな人生は面白くない、飽きたの一点張りでした。


・・・・??はは。そりゃ私だってね、分かち合える友人はほしいですよ。


残念でしたが私は自分が大事でしたし、・・・・親をがっかりさせたくはなかったのです。お国のために・・・なんていい方はしない両親でしたが、『この国で生きているんだからこの国のために尽くせる、誇れる人間になりなさい』といって育ててくれました。


・・・・晩年、そんなこと言ったかしら?なんて言われましたが、いいそうな性格の母親ですから、ええ。そうです。おそらくそのときにはすでに。


ああ、話が逸れましたね。記憶力だけいいものを選別する国のテストに気づき、優秀な戦績を収めた私は・・・・ある日、黒Tシャツ、黒短パン、きついアンモニア臭の男と出会うことになるのです。


「・・・君わざとこっちに来ている?」


アンモニア臭の男はシッシッと手を下から上に上げ、私がしたいことをしてみせました。


覚えゲーをしすぎた私はその時期特に、なんでも『わかりませんがやってみます』というメンタリティでした。・・・そう思うとM君に遅れること10数年、飽きが来ていたのかもしれません。


私は教科書通りのやり取りをしました。


初対面で「・・・君わざとこっちに来ている?」なんて変人じゃないですか。そういう人間は無視して距離を保ち通り過ぎ警察に通報。


・・・目が覚めたらベッドの上にいました。アンモニア臭の男が首だけの状態で器具をつけられ、ガラス越しにこちらを見ているではありませんか。


アンモニア臭の男は悲しそうな顔をして。いました。


すでに感覚はありませんでしたが、右手を力強く握りしめたのを覚えています。


また、次に目覚めるとおめでとうの賛美とともに、籠目の最新鋭の研究に携わっていること、親の了承も得ていること、ブランド人間として頑張ってほしい、羨ましいと研究者に伝えられた・・・わけです。


覚える力だけを比べ合う学力テスト。覚えゲーだけでこの国の頂点に接触できた。とても満足でした。


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