18.根はいいやつ
―――――わかったことをまとめると、人間の王は魔王たちとは和平を結ぶ気などないようだ。
まぁ力を持つものからの和平など結びたくない気持ちはわからないではないが、俺を隙あらば連れ去ろうとするあたり、何かを企んでいるのだろう。
「なるほど、王への年貢の引き上げに反対したところ、誠意を見せろと魔王討伐を命じられたと」
コバは魔王のほうを見る。
「うむ・・・。魔王城近くの集落を村として使うがいい。村の者すべてを受け入れよう、身の安全は保障する」
勇者一行は顔を見合わせる。
「いいのですか、命を狙おうとしていたのだぞ?」
「はっはっは、コバを迎えて全盛期を超えつつある吾輩に敵などおらぬ!」
(MP節約生活ですが)
うおおお!と喜びの声が広がる。勇者一行の村は一時的になるだろうが、王からの支配から解放されたのだ。
ひそひそ
「さあ、コバ殿、これでこの勇者の一件はひと段落でござるな」
こそこそと小林に近づく魔王、その魔王をしかめっ面で見つめる小林。
「気になっていたんだが、その言い方・・・」
「??」
「この勇者?」
目を合わせた魔王はペロっと舌を出しながら
「あと3人の勇者お願いするでござるよ♪」
―――――ということで、話は現在に戻る。
「お前なあ、考えもなしに自分の魔力を人間に分け与えて、しかもその1人の勇者とは死闘をするはめになるわ、封印されそうになるわ、魔力を奪われるわ、無計画にもほどがあるだろ!」
杖を磨いている魔王にトランプを投げて怒る小林。
「ちょ、ちょっとコバ殿、全然痛くないでござるがやめるでござる!力があるから争いが生まれるんならみんな力を持てば争わないはずでござろう?!!」
「あほか!それは争いは悪いことですよという道徳を持った前提の話だ!ないやつからしたらほしいものは奪えばいいやラッキーくらいに思ってるんだよ!」
「そうでござるか?拙者は分かり合えると思うでござるが・・・」
いいやつなんだが、これが悪いほうにいかないかが心配だな。と小林は親の気持ちに近い感情で魔王を見る。
と思いながらも腹が立つのか攻撃は続く。手に持ったトランプをくの字に曲げて空中にばらまく。
「ちょっと!!空中からいっぱい降ってくるんですけど!」
魔王は空中のトランプに手を向け魔法でトランプを止めている。
「おい!魔力無駄遣いすんな!」
「そっちがさせているのでござるよ!」
二人のもめ事を見ながら、ロッドはその様子を絵日記に書いている。
「にしてもコバ殿!さっきからそのトランプの技!教えてほしいでござるよ!」
「怒りながらお願いすんな!怒ってスキップする人か」
「教えるにしてもトランプは消耗品だから、俺が持ってきたもので足りるとも思えないからな」
「消耗するのでござるか?しっかりしてそうな紙なのに」
「トランプのコシが弱くなってきたり、滑りを頼りに行う技法もあるかな、古いトランプになれていると新しいのに変えたときに困るのは自分だ」
そう話しながら小林はトランプを混ぜたり、4つのブロックに分けて操って見せる。
「滑りが良ければ動きがスムーズでまるで生き物みたいにトランプを操れるってわけだ」
「なるほどでござるな、では・・・行ってみるでござるか?」
「ん?どこにだ?」
「異世界から物が流れ着く、黒い泉でござる」




