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魔王様は手品師  作者: ゆたか
魔界編
1/191

1.迷惑

空を覆い隠すような漆黒の影。地響きと雷鳴が鳴り響く・・・・。


「ふはははは・・・!よくぞここまで来た勇者よ」



-------〇〇デパート内


「はぁ・・・・売れねえ」


 大きなデパートの一角、小さなテーブルにため息を漏らす男が一人。安めのスーツ、首元には蝶ネクタイを着けている。


「まぁこのご時世?飲み会で隠し芸なんて流行らねえか、くそが」


テーブルを握り拳で叩くと床にトランプが飛び散る。


「あー・・・やっちまったよ」


屈んでトランプを集めている後ろ姿に、小さな体が近づく。


「おじさん?魔法使い?」


「あぁ?・・・おっ、いらっしゃいませ、お嬢様!これなんて簡単でいいよ~」

本を手に取り、パラパラと中が白いことを見せる・・・指を鳴らしたら絵が出てきた。


「ううん、こういうのじゃなくてダイなんとかがしているような」


蝶ネクタイの男の顔が曇る。


「あの野郎、また金にならないマジックしやがったのか、ぐぎぎぎ」


ブツブツ何かをつぶやいた後、ふと笑顔になり紙を取り出す。


「じゃあお嬢様、この紙の丸が書かれた部分に好きな数字を書いてくれ、書いている間俺は見ないようにしておく・・・書き終えたか?なら縦横に折ってくれ」


男は両手に何もないことを見せ、顔を横に向けたまま紙を破っていく。


「んでもって・・・」


テーブルの引出から灰皿を取り出す、真ん中にはライターがある。


「ライターで紙を燃やしながら、煙を見る・・・そうすると・・・さんじゅう・・・35・・・と当てること・・・」


ジリジリジリ・・・!!天井から水が大量に降り注ぐ。


「小林さん!あなたまた火を使って!ここは火気厳禁と何回言えばわかるんですか!」


隣の売り場から怒鳴り声が聞こえたかと思うと、その場にもう男と少女の姿はなかった。


「ふう・・・危なかったぜ、またやっちまったよ」


非常階段に座り込み、タオルで持ち出したトランク、体を拭きながらボヤく。笑いながら言っているためかあまり反省の色は見えない。


「おじさん!おじさん!」


「なんだお前ついてきたのか、ゴメンな濡らしちまっ・・・あれ?濡れてねえなうまく避けたのか。」


「さっきのやつどうやるの?紙のやつ」


「おっ、お嬢様も魔法使いになってみたいか、それにはこれだ、魔法使いの教科書ターベルコース!さっきのやつも掲載されていて更に希少価値もあって・・・うだうだ」


「うむ、あなたで良さそうだ。」


「へ?・・・なんだか目の前が急に暗く・・・」


ぽた・・ぽた・・・


「冷たっ、なんだここ、洞窟?」

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