第5話:風の魔法使い
私は拠点を後にして、シーシャとバンと共に酒場へ向かっている。
「まさかねぇ、あんたが異世界人だったなんて思わなかったわ」
「お前ら、魔法をちっとも知らない異世界人が魔法を簡単に使えると思ってるのか?」
バンはため息をついて言った。
「私の勘がそう言ってるのよ!リンネは最高の魔法使いになれるわ」
(異世界人の私が本当に魔法を使えるのか自信なくなってきたなぁ…)
そんな会話をしている間に、もう酒場に到着した。私たちは椅子に座ってから話を始める。
「リンネ、まず魔物と戦う時に大事なことを教えるわ。魔人を除いた全ての魔物はそれぞれ、属性を持っているわ」
「属性?火とか水とか?」
「よく知ってるわね!やっぱりリンネには魔法の才能があるんだわ!」
「あはは…ありがとうございます…」
「それでね、属性は全部で7種類あって、水、火、風、土、雷、光、闇があるわ。それぞれ相性があって、水は火に強く、火は風に強く、風は土に強く、土は雷に強く、雷は水に強い。そして、光と闇はお互いに相性が良いわ」
(すごい、ゲームでよく見るやつだ。シーシャさんの言っていることがすぐに理解できる)
「それを教えるのはいいんだが、何回も言ってるように、魔導書を読んだことがない…ましてやこの世界の文字が読めない異世界人がすぐに魔法を扱える分けないだろ」
バンの言っていることは何も間違っていなく、まさにその通りだった。私にはやはり魔法なんて簡単に使えるものではないと改めて実感し、下を向いた。
「大丈夫よリンネ、まず魔導書を読めるように私と一緒にこの世界の文字について勉強しましょう」
私は、そのシーシャの言葉を聞いてすぐに元気になった。
「嬉しいです!ありがとうございますシーシャさん!」
「シーシャって呼んでいいのよ!年齢なんて気にしないで。」
「はぁ、こりゃあ長くなるぞ」
バンは変わらず乗り気ではないようだ。
〜半年後〜
私は毎日、シーシャに文字を読み書きできるよう教わり、魔導書を読むのにはイオが手伝ってくれた。教わり始めてから半年、私たちは訓練場へ向かっている。
「半年で上級魔導書を読めるようになったのはすごいね〜。そんな人初めて見たよ」
イオは私の頭を撫でながら言った。
「それほどでも」
私はニヤニヤが止まらない。しばらくして、訓練場に着いた
「さ、着いたね〜。リンネ、魔法を使って目の前にある的を破壊して。もし破壊することができたら、君を魔法使いとして認めるよ」
私は深呼吸をして、魔法を放つのに集中した。
(イメージ…私ならできる、今までの事を思い出して…大丈夫…)
〜約半年前〜
「イオ、魔法ってどうやったら使えるようになるの?」
「その説明はまだしてなかったね〜。魔法の取得方法は二通りあるんだ。まず一つ目は、取得したい一つの魔法について書かれている魔導書の解読。そして二つ目は、取得したい属性の魔法について書かれている魔導書の解読。一般に、一つ目の取得したい一つの魔法について書かれている魔導書の解読の方がおすすめかな〜。 ちなみに、一つの魔法について書かれている魔導書の事を『一般魔導書』と言って。属性ごとに分かれて書かれている魔導書の事を『上級魔導書』って言うんだ〜」
「どうしてそっちの方がおすすめなの?」
「一般魔導書のほうが上級魔導書よりもおすすめな理由は主に二つ。単純に上級魔導書の解読の難易度が高いこと。そして、一つの上級魔導書を解読すると、理由は分からないけど、その属性以外の魔法の取得難易度が格段に上がるんだ〜、ほぼ不可能と言っていいほどね。でも、得られるものは大きいよ〜、その属性の魔法を極めることができるからね〜。ただし、これは注意点なんだけど、上級魔導書を解読できたからと言ってすぐに魔法が使えるようになるとは限らないんだ。覚醒と言ってね、一つの魔法に突然目覚めるんだ。それで、覚醒を何回も繰り返して、長い時を経て熟練の魔法使いになれるってわけだね〜。でもやっぱり、戦闘では属性が大切になってくるから、自分が極めたい属性を三つくらい決めて、一般魔導書でそれぞれ二つくらいの魔法を覚えるのが基本かな〜。リンネはどっちがいい?」
上級魔導書の方が難しいと聞いた私は、すごい興味が湧いた。やはり、私は他の人たちとは違う特別な道を歩みたい。
「んー…なんか難しそうだけど、上級魔導書に挑戦してみたいな。」
「うげっ、本当に〜?」
イオは少し嫌そうな顔をしている。
「私、本気で頑張るから!絶対に強い魔法使いになるんだ!」
「ほ〜……まぁいいよ、リンネがそうしたいならそれで。じゃあ僕が上級魔導書を持ってくるから、シーシャに文字を教えてもらって、文字が読めるようになったら僕のところにおいで〜。僕が解読を手伝うよ」
イオがこんなに支えてくれることに対してすごく驚いているのと同時に、私はただただ嬉しかった。
「ありがとう!それじゃあ、また文字が読めるようになったらね」
「うん、いつでも待ってるよ」
イオは笑顔でそう答えた。
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私はそれから風の上級魔導書を解読し始め、半年で解読することができた。そして今この瞬間、覚醒したのだ。
「風の斬撃!!」




