第4話:拠点
ガヤガヤ
周りには骨董品店や宝石店、食べ物を売っている店もある。現実世界にはない食べ物の匂いが私の食欲をそそる。
「すごい賑わってるね」
「毎日こんな感じだよ、お店がたくさん並んでいてそこらじゅう人だらけ」
「へぇー…」
(だめだ…お腹がすいて話が頭に入ってこない……というか、あのとき舞も死んじゃったのかな……舞と一緒にパンケーキ食べたかったなぁ)
「あ、そうそう、今向かってるのは僕の拠点だよ。そこに僕の仲間がいるからそいつらに異世界人の事について聞いてみよう」
「拠点?なんかかっこいい!」
(やっぱり巨大な建物で荘厳な感じかな?それとも、地下とかにあって、見つかりづらいところなのかな?)
拠点はどんなところなのか妄想するだけでご飯三杯は行けそうだ。
「そう?魔法もそうだけど、異世界人からしてみるとかっこいいって思うのかな?よし、着いたよ!ここが僕の拠点!」
イオが言う拠点に目をやると、そこにはごく普通の小さい家があった。
「なんかこじんまりしてない?」
「金貨が少なかったから、あまりいいものを買えなかったんだよ…」
「金貨?」
「この世界で買い物する時とかは、金貨が必要になってくるんだ。金貨以外にも銀貨ってのもあるよ、金貨の方が価値が高いけどね〜」
イオが話終わると、ドアノブに手をかけた。他にも仲間がいると言っていたが、どんな人達なのか……少し緊張してきた。
ガチャ
「帰ってきたよ〜」
私はイオの後ろについて行き拠点に入る。拠点の中は、木でできたテーブルと椅子がいくつかあった。カウンターのような見た目の場所もあり、そこには酒のようなものが並べてある棚がある。拠点と言うよりはまるで酒場のようだ。
「こ、こんにちは」
イオの背中から顔だけ出して挨拶をしてみた。テーブルに座って話をしている男女二人がいるが、挨拶は返ってこなかった。
「だれだお前?」
男の方がこちらを睨んで見ている。
「二人とも〜紹介するね〜。この子はリンネ、僕が大量殺人犯を捜索してる時に会ったんだ。怪しい子じゃないから安心してねー。リンネ、この二人は僕の仲間の酒好きのバンとお姉さんのシーシャだよ」
「よろしくお願いします…」
イオは初対面で、いきなり私のことを殺そうとしてきたから話さざるを得なかったが、私は小さい頃から恥ずかしがり屋だったため、初対面の人と話すのが苦手だった。
「んー…あんた、ちょっとこっちきてみなさい」
シーシャに呼ばれた。私のことを気にしているみたいだ。
「わかりました…」
私がシーシャの前で立ち止まってから、シーシャは私の頭に手のひらを広げてかざした。何をしているのかさっぱりわからない。
「……リンネ?だっけ、あんた魔法は使える?」
「使えないです」
「そうね…この子には魔法の才能がある気がするわ」
「シーシャ、またデタラメか?」
バンが呆れたように言った。
「うるさいわね、あんたたちには分からないのよ」
何をしたのか分からないけど、私には魔法の才能があるかもしれないらしい。純粋に嬉しかったので、私はニヤニヤしていた。
「私に魔法の才能があるんですか?」
「ただのシーシャの勘だけどね〜、当たらない勘だよ」
イオがバカにするように少し笑いながら言った。
「あぁもう!分かったわよ、そんなに言うなら魔法を使えるように指導するわよ!」
「本当ですか!嬉しいです!」
私は嬉しくて、子供のように飛び跳ねた。
「リンネ〜、ここに何しに来たか忘れてるでしょー」
「あっ」
私は魔法の事で頭がいっぱいで、異世界人のことについて話を聞くという目的を完全に忘れていた。
「そうだった、シーシャさんとバンさん、異世界人のことについて何か知ってることはないですか?」
「そうねぇ…一人の異世界人が一年ぐらい前に、ここから遠いところにやってきたって話は聞いたことがあるわ」
「俺も詳しくは分からないが、異世界人のことについて調べてる奴なら知ってるぞ」
「その人にお話を聞きたいです!」
「そいつは、今はここから西の方にある隣の街にいるなぁ。話が聞きたいなら、少し遠いが訪ねてみるといい」
「西の方角かー、少し遠くて道の途中は森も多いから魔物と遭遇する可能性が高いね。やっぱりリンネがそこまで行くには戦闘の知識は必須かぁ」
「そうなるとやっぱり魔法を教えてやった方がいいんじゃないかしら?」
「そうだね、そんじゃシーシャよろしく!僕より魔法が得意でしょ?」
「あんたには敵わないわよ……それじゃあ、私だけじゃ心細いからバンも一緒に教えるわよ」
「えぇ?俺もかよ、あんまり人に教えるの得意じゃないんだけどな」
バンはすごくやりたくなさそうな顔をしている。
「ところで、リンネはなんで異世界人のことをそんなに知りたいのよ」
「それは……私が異世界人だから…?」
「え」




