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解き放たれた獣  作者: ぐっさん
獣が産声をあげる
15/40

獣は己の悦を満たす為、ただ蹂躙する

周りは木で囲まれ鬱蒼としていた中、白髪の青年ベティーは立ち尽くしていた。


その体は細く辺り傷だらけになっており、赤く染まっていた。


「あーあ、楽しかった……」


ボロボロのベティーの隣には巨大な死体が倒れていた。


至るところにボコボコと凹凸状の殴られた後があり、綺麗に首を折られていた。


「さーて、オーガを殺した事だし。報告しなきゃな~」


そんな殺伐とした状況の中、ベティーは呑気な声を出す。


「あれ?報告っても、どこ持ってけば良いんだ?首?耳?」


悩み頭を傾け熟考したのち一つ案を思いつく。


「あーあ!目玉をくり貫けばいいか!」


面白そうに平然と言う彼の姿はどこか狂気を感じた。


「んー、よいしょっと……あー!?潰しちゃったー!」


目玉をくり貫こうと手を掛けるが力の加減ができず、オーガの目玉がグロテスクな音と共に潰れる。


「ポジティブ!ポジティブ!次だ!次!なんとかなる!」


己の頬を掌で打ち喝を入れると先程と同じようにオーガの頭から目玉をくり貫こうとする。


今度は潰さないように慎重に、丁寧に、ゆっくりとゆーっくりと手を目玉に差し伸べる。


集中力を極限までに高めそぉーっと目玉に触れる。


感触はヌルヌルとしており、弱い力で掴もうとすると滑る。


目玉のヌルヌルとした感触との死闘を繰り返し、ほんのちょっとでも力を加えただけで潰れそうになる力加減でなんとか目玉を上手く掴む。


「よぉし……このまま……」


目玉を掴み、ゆっくりと引っ張る。


ベティーが人生初の極限の集中力の中


「グギャァー!!」


最悪の邪魔者が入った。


「あ」


邪魔者の声に反応し体が反射的に動く。


反射的に体を動かしたせいで手に力が加わり目玉が潰れた。


「ハハハハ……ゴブリンか……丁度良いな、まだ殺し足りなかったとこだ」


「ギャ?」


乾いた笑みを浮かべゴブリン達に殺意を贈る。


「何、笑ってんだよ……殺すぞ?」


「グギャ!?」


ベティーは先程と別人の様に様変わりしゴブリン達を襲う。


ベティーの動きにゴブリンは反応が遅れる。


「ギャギャ、ギャ!……ギャッ!………………」


ゴブリン達は身に持つ貧相な装備でベティーを迎え討とうとするが圧倒的な力の差で一瞬にして殺される。


「ギャギャギャ!?」


目の前で仲間が殺され、先程まで浮かべていた醜い笑みが絶望に歪む。


ある者は絶望的な力の差を感じ逃げようとする者


ある者は勇敢にも貧相な武器で仲間よ仇を討とうとする者


ある者は圧倒的な強者に命乞いをする者がいた。


「アッハはハハハハは!!死ねぇ!死ねぇ!もっとだ!アハハハハ!!」


だが、獣は理不尽にゴブリンの命を刈り取る。


まるで目の前の光景がただのなにも価値のない道具の様にただがむしゃらにゴブリンの命を壊す。


獣は狂った舞を踊り、ゴブリンはその命を犠牲に美しい赤黒い花を描く。


蹂躙


愚かなゴブリン達は会ってしまったのだ。


この世界で最も危険な生物に


強いのは勇者でも魔王でもなかった


この知性の持たない獣の様な何かが最も


最も

「解き放たれた獣」面白かったでしょうか?

面白い!と思った方は感想、レビュー、評価、ブクマ等、宜しくお願いします。

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