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解き放たれた獣  作者: ぐっさん
獣が産声をあげる
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弱者とは強者の血肉を喰らう獣なり

確かにあの白い人間は殺したはずだった。


戦士とは思えない覇気のなさ。


目は死んでおり、生きる事など諦めているように感じとれた。


俺を恐れ絶望しているのかと思った。


だが白い人間は死の絶望で狂ったのか俺を挑発した。


愚かにも俺に挑発した事を後悔さしてやろうと思ったが、その蛮勇を免じて一撃で殺してやろうと思った。


近付き、一撃を入れた。


俺の一撃の重さからか人間はふっ飛んで行き、壁に激突した。


だが一撃では死なず、しぶとくも生きていた。


死ななかっただけで体はボロボロになっており、既に死にかけていた。


このまま放置しても死ぬだろうがそれはプライドが許さなかった。


己を愚弄した者を生かしてなるものか、と。


腕を大きく振り上げ、人間を潰そうとする。


大抵の生物はこの一撃で殺してきた。


ぐちゃぐちゃのミンチになり飛び散って行く肉片が少々勿体ないが威力は折り紙付きだった。


厄介なスキルとやらを使われる前に殺す。


人間が持つ特殊な力、油断はできない。


一度、魔族と戦った時と同じ力、己を追い付めた力、油断するほうが無理というものだ。


この人間は戦意はなく死を望んでいるが、油断はできない。


何か強力なスキルを持っているかもしれない。


己の全力を持って、この人間を殺す。


振り上げた腕を人間に振り下ろす。


潰れた音と共に血が飛び散る。


仕留めた、そう思った。


「へぇ……喋れたんだ、頭ん中、全部筋肉のオーガが……珍し……」


だが、先程潰れた人間の声が聞こえ周囲を見ると目の前にさっきの白い人間がいた。


「ナンダト?!」


人間の姿を見て驚く。


体が完全に治癒してる訳ではなく、体を動かすのは不可能のはずが平然の動いていた。


「いつまでバカな面出して自慢気に歩いてんだよ……オーガ如きが……」


ありえない


としか思えなかった。


人間は歪んだ笑みを浮かべ口を開く。


「こんにちは~オーガ君?ちゃん?かな?まあいっか!僕はベティーって言うんだ宜しくね!今日は良い日だ!僕も君も今日という日を忘れないように全力で楽しもうか!」


先程の絶望した表情とは一変し、笑顔を浮かべていた人間。


表情は笑みを浮かべているが、瞳からは底知れない何かを感じた。


不味い!、そう感じた。


この人間は長く生かす訳にはいかない。


早く殺さなければ!


そう思った矢先、体が瞬時に動き人間を殺そうとする。


「グアアァァァ!!!」


雄叫びを上げ、相手を怯ませる。


「!?」


いない!?


どこに行った!?


あの人間は目の前から瞬時に消えた。


「なに強者気取ってんだよ……てめぇは今から俺より下だ」


また、声が聞こえた。


「グッ!」


素早い動きで目に捉える事ができず死角から斬られた。


あまり腕が良くないのか切り口は浅く、大した事はなかった。


「ハハハハ!!」


人間は目の前に現れ狂った様に笑い剣を乱雑に振る。


やられた分を返す為、反撃をする。


反撃は剣で受け止められ、耐えられてしまう。


「あれ~?壊れちゃったのかな~?ま、いっか」


反撃の一撃を受け止めた剣はボロボロに砕け散る。


武器を失くし好機と思いすかさず攻めに出る。


「武器が無かったら戦えねぇとでも思ってんのか?脳筋野郎……」


驚く事に武器を無くしてもなお拳を構え攻めに出る。


「グッ!グオオ……」


腹に拳が入る。


先程の剣と比べられない程の強力な一撃、殴られた瞬間、強烈な衝撃が来る。


衝撃の影響から口から空気が漏れる。


「ハハハハ!!次はここだぁ!!」


「グオオッ!」


後ろから背中目掛けて殴られる。


強烈な一撃、目に捉えきれないスピードと強力な破壊力。


両極端の力が襲いかかる。


「グオオッ!」


「グッ!」


「アガアァッ!」


次から次へと攻撃が飛んでくる。


隙などあるわけはなく、一方的にやられる。


何故か更にスピードは上がり、拳の破壊力が上がる。


まるで確実に獲物を仕留める為、急激に成長し、適応するかのように。


何度か攻撃を受けると途端に攻撃の嵐が止む。


途端に攻撃が止んだ事を不審に思い、周りを見渡す。


人間の姿はなく声も聞こえなく、諦めたかと思われた。


「!?」


背中に何かが乗った感覚を感じとる。


「よぉ、デカブツ……てめえを殴るのは飽きちまった。だから……こうやって、締め殺すわ」


人間は太い首に腕を回し力強く締める。


「グガァァァァァァ!!!」


必死に暴れ抵抗するがどんどん力が強くなり息が苦しくなる。


「ハハハハ!!そうだ!もっとだもっと暴れてみろぉ!」


「ガア……グオオ……」


やがて、体力が無くなり、抵抗空しくなる。


首を締める力は更に強くなる。


「ガッ」


首が九十度回る。


首が回って最後に見えたものは悪魔の様に嗤う白い髪の人間の姿だった。

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