不老不死とその代償
目を開くと見覚えのある空間が広がる。
辺りは真っ白でここが家じゃないことが分かる。真っ白な空間にポツンと座っていると
「久しぶりだねぇ」
と、聞き覚えのある声が後から聞こえたので振り向きながら返事をする。
「僕はそうでもないですけどね」
「確かにね。でも、実際には6年経ってるからね」
気のせいだろうか?ショタ神様の姿がすこし成長した気がする…と言っても今は10歳くらいの姿だ。
「ああ、この姿の事?あの場所は僕の管轄である神域と日本の管轄である神の天照大御神の神域が交じる場所だから力が制限されるんだよね」
じゃあ、今の姿が本来の姿なのだろうか?
「と、言っても体の成長は自由自在だけどこっちの方が他人受けいいんだよね」
「なるほど」
「所でなんで自分がここにいるか分かってる?」
そう言えば
「なんでここにいるんだろう」
「気を失う前に何あったか思い出せる?」
気を失う前?…確か父さんに剣で挑んで
「あ、父さんの剣を喰らって死にかけたんだ」
まさか、あんなに展開が早いとは思わなかったが
「そう、今の君の体は死にかけてる。僕の加護で治すことも出来るけどそれをしたら…」
ショタ神様の加護って確か不老不死だっけか
「加護を使ったら6歳児の体で不老不死になっちゃうんだよね。可能ではあるんだけど今の状態で不老不死になると一定の歳までは歳とるけど成長が遅くなるんだよね」
成程、一応は一定の年までは歳とるのか
「遅くなるってどの位?」
「2年に1歳かな?」
思ったより早いんだな。100年に1歳とか言われると思った
「でも、それは12歳までで100年に1歳で15になると更に500で1歳なんだ。と、言っても18で成長は止まるけどね。」
と、言うことは?
「最低でも18になるには、あと812年はかかるわけだ」
歳を取らないと言っても見た目は魔法で誤魔化せるから実質問題はない。
「言ってしまえばそうだね。まぁ、他にも問題はあるけどさ。簡単に言うと年下からなめて見られる」
「???」
「日本的にで言うと「えー!マジで大学生だったんですかー!?顔童顔だし、身長ちっさいんで中学生と思ってましたー!」って感じなんだけど」
「あー、うん。成程」
身体的には18際の体だけど、見た目は15位より下って事か。なら、尚のこと見える姿が変えられるようにしなくては
「もし君がそれでもいいなら、君の親の前に現れて「汝この子を助けたいならば〜」的な事言って助けるけど」
神託って奴かな?普通は神殿とか何だろうけど。まぁ、全くの別物かもしれないけどね。
「もししなかったら?」
「剣握れなくなって魔法も使えなくなる」
「よし、今すぐやってくれ」
それは色々と不味い
「了解した!あと、本来は治せないくらいズタズタになってるから数年は起きないって事になってるから次目覚めた時には結構時間立ってると思うよ」
へ、って事は!?
「え、じゃあ剣術の練習は?魔法の練習だって出来てないのに!?」
「ああ、それなら大丈夫。剣については申し分ないよ、君が父親に負けたのはただの体格差や身体的幼さだからね。魔法についても君は中級魔法である【魔力操作】を曖昧な説明を聞いただけでマスターしたんだ。前世の記憶があるからなのか君は理解力が高くて適応性もあるからね。アルセンブルク学園に入学したいなら目覚めて最低限必要なボール系の魔法を覚えるだけ大丈夫だよ」
「そうなんだ」
気のせいだろうか?思ったよりチートじみてる気が
「さてと、そろそろ目覚める時間だよ」
「目覚める?…あ、れ?意識が…」
目の前が段々と暗くなっていく。意識が覚醒しかけているのだろう…目を閉じる時にまたねと言っていた気がする
***
目が覚めると硬いベットの上だったので、これが夢じゃないことを物語る。
辺りを見渡すと僕の部屋なのが分かるが、どこか見ない内に数年たっている気がするのは気のせいなのだろうか?
「どれくらい経ったんだろう」
明らかに古くなっている家具を見て本当に寝ている間に数年が経っているのを知らしめる。それでも、周りに埃が被っていないので誰かが掃除してくれているのも伺える。
「ん?誰かいるのか?」
ドアの向こうから懐かしい声が聞こえる。記憶にある声とは少し違い低くなり大人っぽい声だが…ベットに座りドアの方を向いていると声の主は恐る恐る扉を開いた
「おーい?もしかしてフランか…」
声の主は僕を見るなり驚いて手に持っていた花を落とす。窓の近くに花瓶があったのでそれに生ける為の花だろう
「レオ?起きた…のか?」
「おはようフェル兄さん。それとも久しぶり?」
そう声を発するとフェル兄さんは僕に抱きつく
「良かった!…目覚めたんだな」
どうやら随分と心配をかけたらしい。と言っても自分の感覚は一日ぶりにしか感じないが
「そうだ。こんなことしてる場合じゃない
お前に話さなきゃいけないことがあるんだ」
僕の肩を掴んで真剣な目を向ける
「取り敢えず、フランと父さんたちを呼んでくるから此処で待っててくれ」
「わかった」
そう言うと急いでドアを開け走っていった。見たところ20歳は超えているだろう。という事は最低でも6年はたっているか。それでも、僕の体は9歳なんだよなぁ
「レオっ!」
どうやらフェル兄さんが皆を呼んだらしい。
父さんを筆頭に母さんとフラン兄さんも部屋に乗り込んでくる。
「みんなも久しぶり。元気だった?」
そう声をかけると父が謝ってきた
「済まなかった!」
「なんで?」
まさか、謝った瞬間になんでと聞かれるのは予想外だったのか驚く父
「なんでってそりゃ…」
「元々、自分の力を過信して父さんを無理やり煽ってその結果がこれなんだから自業自得だと思うよ?」
確かに父さんの剣が当たってこんなことになっているが元はと言えば自分が悪いのだ。父さんと剣を交えて、勝てると過信した結果があれなのだから。
「だかなぁ」
情けない声を出して心配そうに声を出す父
「そんな情けない声出さないでよ。父さんなんだからまだまだだなっていって笑えばいいじゃん」
「お前、自分が何年寝てたか分かってるのか?」
そう言って父との会話に割り込んだのはもう1人の兄であるフランだ。
「10年だぞ?フェル兄だって24になったしおれだって22だ。けどお前は…」
いつも意地悪を言ってくるフランとは違い今回は本当に心配しているようだ
「僕が寝ている間に10年も…じゃあ僕はまだ11歳なんだね」
その言葉にみんなが驚く。フランの言葉を聞くに加護を受ける意味を聞いたらしい。
「僕もちゃんと説明を聞いたんだ。加護を受ければどうなるか。本当は加護がなくても死ぬわけじゃなかったんだ。でも、そうしたら剣も魔法も出来なくなるから…だから」
どんどん声が小さくなる。言わないとと思う度に声が出なくなる。その時母親であるセレナ母さんの声が聞こえる
「それを決めたのは貴方なのでしょう?」
「え?あ…うん」
はっきりと僕の目を見て言う
「なら、いいじゃないの。それに貴方は身体的には11歳かもしれないけど、成人だから私達もなにもいわないわ。例え貴方が今からアルセンブルク学園に行くと言っても」
その言葉にフェルが反論する。
「母さん!?レオはまだ11歳だよ!」
「それは身体的にでしょ?レオももう16歳よ?」
確かに言われればそうだ。
「ならさ、魔法を教えてくれない?」
「いいわよ?でも、剣はどうするの?」
剣か…
「剣はいいよ。父さんは教えてくれなさそうだし」
「そう。なら魔法は此処で教えるわね。貴方なら説明だけでわかりそうだもの」
そう言って1冊の本を取り出す
「フェルとフランはどうするの?今日はもうやる事ないのなら部屋で休むかしら?」
「僕はここにいとくよ。レオは今すぐにでも出ていきそうだから少しでもそばに居たい」
そう言って僕の隣に座ったのはフラン兄さんだ。ちょっと意外だ
「フェル兄は?」
「じゃあ、俺も」
そう言うとフラン兄さんとは反対側に座る。父さんも部屋を出るわけじゃないみたいで、ドアの横で壁に背を持たれている。
「じゃあ、説明するわね。ボール系って言うのは属性に準じた火球、水球、土球、風球なんかがそうよ。それぞれファイアボール、アクアボール、ソイルボール、ウィンドボールと言うわ。これが基本四属性のボール系魔法よ。ボール系は他のアロー系やウォール系を使う時に基礎としやすいからアルセンブルク学園でも必ず習う魔法でもあるの。そして、ほぼ全ての魔法にはそれぞれ詠唱を必要とするわ。アルセンブルク学園の試験では使えない子は魔法具を使ってやるから殆ど学院の授業で習うものなんだけど…」
「詠唱?」
「ええ、元々詠唱はその魔法を発動しやすくする為の一種の集中法だったのだけど研究する内に威力が上がることも分かったわ。勿論詠唱を破棄することも出来るわ。誰でも作れるけど組み合わせで威力や消費魔力も変わってくるわ。教えるからちょっと試しに…」
「いいの!…光の源よ 影を作り 手に集え…【ライト】」
そうすると手のひらに小さな光が浮かぶ
「流石に部屋の中では出来ないからボール系じゃないけど」
「はぁ…貴方ねぇ。それは逆に扱いにくい光属性の魔法よ?まぁいいわ、取り敢えずファイアボールを窓の外に打ってみて」
「いいけど…詠唱は?」
「自由よ」
よし、手に浮いている光を消して集中する。
「手に集いし火よ 汝の身を燃やせ【ファイアボール】」
そう唱えると、手のひらから放たれた火の球は真っ直ぐ飛んでいきそのまま消えた。多分対象が居ないため限界飛距離まで飛んでそのまま維持出来ずに消えたのだろう
「他のも出来るかしら?」
「やろうと思えば可能だよ」
「そう。なら、明日にでも王都に向かいなさい。私達が貴方に教える事は無いわ」
多分母の言葉を予想していたのだろう。2人とも口を閉じたままだ
「レオ。父さんはな?お前に剣を教える気は無い。それは、お前が俺より強いからだ」
「え?」
「確かに10年前にお前は俺に負けた。それは体格差やお前が6歳だったからだ。今なら俺にも勝てるはずだ。かと言って手合わせする気は無い。流石に年をとったからな。だがお前より強いヤツが王都にはうじゃうじゃいる。負けるなとは言わないが頑張れよ」
「う、うん。でも、本当にいいの?」
「ああ。この10年でお前の為の金も貯めたしな」
「さぁ、今日はもう休みなさい。無理してるでしょう」
「ごめんなさい」
確かにやたらと眠いし身体がダルいのだ。
「謝らなくていいわ。フェル、フラン貴方達はレオが寝てからでいいわ。でも、眠る邪魔はしないであげてね」
「「はーい」」
母と父が部屋を出ると兄さん達は僕が寝るまで頭を撫でて子供をあやす様にしてくれた。