上級編―集団行動をしてみよう11(終)
「楽しかったか?」
宿を出た二人は、てくてくと街を歩く。そろそろ次の街を目指すから、この街もいったんは見納めだ。
「とても!」
リリアの問いに、十六夜は勢い良くうなずいた。それに、リリアはそうかと笑う。
「タカラベさん、うれしそうだったね」
「そうだな」
(タカラベは、十六夜に良い影響を与えてくれたようだ)
そうなら、少し遠回りして翡翠の首を獲った甲斐があったというものだ。
(それにしても―まだこの街にいたのか)
以前ミラルダに捕まった時も、確かこの街だったと思いだす。
(いったん別の場所に根城をうつしてから、また戻ってきたのか。―まさか、タカラベに付き合っていたとも思えんし)
リリアは思案する。
(それとも、私が仕返しに来るのを待っていたのか?)
まさか、とリリアは笑う。どれだけ自分が高く売れようとも、数十年固執する必要などどこにもない。あの二人なら別の方法でいくらでも稼げるのだから。
「確か、ここで、私は北ではなく西に行ってしまったんだったな」
「ん?」
リリアのつぶやきに、十六夜が首をかしげる。
「いや、このまま曲がらずまっすぐ行っていたら、寄り道せずにお前に会えたのにと思っただけだよ」
(まあ、鬼の里も隠れ里だからな。地図にも載っていなかったし)
あれは道を探すのに難儀したと思い出す。あれでよく依頼が来るものだ。
(来る依頼にふるいをかける役割でもあるのだろうか)
「リリアに会えたのはうれしいけど」
思案するリリアを現実に戻すのは十六夜の声だ。
「別にもっと早く会いたかったなーとは思わないな」
「…―そうか」
風は冷たい。鬼の里を出た時は秋に入るころだった。もうそろそろ冬がやってくる。
リリアはきゅっと、隣にいる十六夜の手を握った。黒い瞳がリリアを見る。
「私も、お前に会えてうれしいよ」
十六夜は、太陽のような笑顔でうなずくのだった。




