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鬼神殺し―リリアと十六夜の物語―  作者: 水彩月子
―第一章―リリアの野望編
38/84

上級編―集団行動をしてみよう11(終)

「楽しかったか?」


宿を出た二人は、てくてくと街を歩く。そろそろ次の街を目指すから、この街もいったんは見納めだ。


「とても!」


リリアの問いに、十六夜は勢い良くうなずいた。それに、リリアはそうかと笑う。


「タカラベさん、うれしそうだったね」

「そうだな」


(タカラベは、十六夜に良い影響を与えてくれたようだ)


そうなら、少し遠回りして翡翠の首を獲った甲斐があったというものだ。


(それにしても―まだこの街にいたのか)


以前ミラルダに捕まった時も、確かこの街だったと思いだす。


(いったん別の場所に根城をうつしてから、また戻ってきたのか。―まさか、タカラベに付き合っていたとも思えんし)


リリアは思案する。


(それとも、私が仕返しに来るのを待っていたのか?)


まさか、とリリアは笑う。どれだけ自分が高く売れようとも、数十年固執する必要などどこにもない。あの二人なら別の方法でいくらでも稼げるのだから。


「確か、ここで、私は北ではなく西に行ってしまったんだったな」

「ん?」


リリアのつぶやきに、十六夜が首をかしげる。


「いや、このまま曲がらずまっすぐ行っていたら、寄り道せずにお前に会えたのにと思っただけだよ」


(まあ、鬼の里も隠れ里だからな。地図にも載っていなかったし)


あれは道を探すのに難儀したと思い出す。あれでよく依頼が来るものだ。


(来る依頼にふるいをかける役割でもあるのだろうか)


「リリアに会えたのはうれしいけど」


思案するリリアを現実に戻すのは十六夜の声だ。


「別にもっと早く会いたかったなーとは思わないな」

「…―そうか」


風は冷たい。鬼の里を出た時は秋に入るころだった。もうそろそろ冬がやってくる。


リリアはきゅっと、隣にいる十六夜の手を握った。黒い瞳がリリアを見る。


「私も、お前に会えてうれしいよ」


十六夜は、太陽のような笑顔でうなずくのだった。


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