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辺境都市ウィーンにて

10歳になった。


今はガレットパパと馬車に乗って辺境都市ウィーンに向かっている。商人であるガレットパパの手伝いだ。もう10歳になったのだから手伝いなさいと言われてついてきたのだが、実は初めて村を出たのだ。ウキウキするなというほうが無理だろう。ガタゴトと馬車に揺られながら道を行く。うーん、爽快感!テンプレなら盗賊に襲われるなどあるが今のところは何もなく、順調に旅をしている。まあこの辺りは治安も悪くないし、飢饉も起きていない。ウィーンという大きな都市も近くにあり、なかなか栄えているそうだ。だから食いっぱぐれる人も少なく、盗賊になる人もいないらしい。領主がしっかりしているんだろうな、と旅を楽しんでいた。そして朝から出て夕方になると辺境都市ウィーンについた。


門番に銅貨1枚渡してウィーンに入る。入場税というところだろう。聞けば冒険者は入場税は必用ないらしい。内心では、冒険者!テンプレきたぁ!と喜んでいたが表面上ではなんてことないように取り繕う。時間があれば冒険者ギルドを見てみよう。10歳の子供がうろついたらテンプレよろしく絡まれるかな?と考えているとガレットパパに呼ばれてこれからの予定を説明してもらった。今回は村で作った食糧をウィーンにあるウィンダム商会に納入しに行くのだ。なんでも村で作った作物や民芸品を集めて商会に売却、その後は頼まれた物を買い付けて村に戻るらしい。


まずは今日泊まる宿屋を目指す。猪鹿亭という宿屋では恰幅の良い女将さんが出迎えてくれた。残念、ツインテールの看板娘じゃないのかと思ったが料理に期待しよう。ガレットパパが銀貨2枚と銅貨4枚出して宿代を払う。部屋で荷物を置いて食堂に向かうと女将さんから


『ご飯何にする?シェフのおすすめもあるよ』


と言われたのでシェフのおすすめを頼む。はいよ、と厨房に行き、オーダーを通す女将さん。10分くらいすると料理が出てくる。


『お待ちどう。シェフのおすすめ、フレッシュボアのステーキ、サラダ添えだよ。』


フレッシュボアって魔物だよな。柔らかくて肉の味がしてて美味しい!ここの料理は大満足!食べながらガレットパパに気になることを聞いてみる。


「フレッシュボアって魔物だよね。この辺りに魔物なんているの?」


『ああいるぞ。ウィーンから見て村の反対側のところにダンジョンがあってな、そこから魔物が出てくるんだ。と言っても表層の弱い魔物しか出てこないから肉料理として出てきたり、剥ぎ取った素材を冒険者が換金して生活費にしたりしているからダンジョンも魔物もなくてはならないものになっているんだよ。中級の冒険者なんかはダンジョンに潜ったりもするしな、俺みたいな商人からしても道中では魔物に襲われる危険もあるけど素材を買い取って加工職人に卸したりするからやっぱり必要なものなんだよ。』


ダンジョンという響きに興味を引かれながら冒険者家業についての話しにも目をキラキラさせていた。やっぱり異世界転生モノといえば冒険者なのだ、という気持ちが強い。


『やっぱり男の子だな。冒険者とか騎士とかに憧れるのはわかるが明日は仕入れと商売の手伝いをしてくれよ。じゃあご飯も食べたことだし部屋に戻るか。』


食堂から出て部屋に戻り、寝る。明日はウィンダム商会に行ってからウィーンの町を散策しながら買い付けだ。武器屋、本屋、冒険者ギルドといろいろ所を見に行きたい。ワクワクしながら眠りについた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌朝、寝ぼけ眼で猪鹿亭の食堂で朝御飯のパンと卵焼き、サラダを食べてからウィンダム商会に向かう。猪鹿亭は辺境都市ウィーンの入り口からそう離れていない大通りに面していた。大通りから中心に向かうとウィンダム商会があるらしい。馬車に荷物を載せながら大通りにを進んで行く途中、香ばしい臭いのする肉の串焼きを売っている屋台や服屋に目を奪われる。キョロキョロしながら進むと3階建の大きな店が見えてきた。あそこがウィンダム商会だよと教えられながら馬車を勝手口につける。店に入り、窓口に向かうガレットパパ、そこから受付と話し、荷物をカウンターに運んでいき、金額の確認をしているのだろう。30分ほど待ってから恰幅の良い男性が現れた。


「ガレットさんお待たせしました。こちらへどうぞ。坊っちゃんは初めてですね。バロウと申します。」


「シャオです。初めまして。」


子供らしくペコリとお辞儀をする。それだけでガレットパパとバロウさんは礼儀正しいとか賢い子だとか話している。世間話をしながら応接室に通された。


「改めて本日は商品をお持ちいただきありがとうこざいます。代金のほうですが・・でよろしいですか。」


「昨年よりも値段が上がっていますな。」


「魔物との戦争がチマチマとありましてね。作物を荒らされており、隣接した領地で値段が高騰しているんですよ。ですので売っていただいて助かります。」


と情報交換をしていく。


少し経つと商談が終わり、挨拶をしてガレットパパはホクホク顔だ。どうやら期待以上の成果だったようだ。


挨拶をして商会を出ていく。その足で村で頼まれていた日用品と食糧を買い込むのだ。露店街を物色しながら通っていく。


商品の値段を把握しているとガレットパパがついてこいと道案内してくれ、歩いていると一軒の店が見えてきた。武器屋だ。


「もう10歳になったんだ。昨日もダンジョンとか冒険者の話に興味を持ってただろう。男なんだ。10歳の記念に武器を買ってあげようと思ってな。」


そう言って店に入っていく。見渡す限り武器が棚にかけられており、カウンターの側には無造作に剣が置かれていた。


「いらっしゃい」


体格の良い店員はボソッと声をかけてすぐに後ろを向く。あまり接客に力を入れていないようだ。


買ってくれるというから端から剣を見てみる。キレイな鋼鉄の剣が何本もあり、一つ一つを手に持つと、確かな重みが伝わってきた。真剣というファンタジーの代名詞に興奮を隠せなくなる。その中でふと持った剣がなんとなく手に馴染むような気がした。


『魔力を纏わせられる気がする。』


一人呟くと身体に魔力を纏わせる。そのまま剣にも集中して剣と魔力を同調させるとうっすらと剣に魔力の膜ができていた。


「こりゃ驚いた!坊や、その年で魔装が纏えるのか!」


武器屋に親父が近づいて話してくる。魔装って剣に魔力を同調させることか??


「なかなか難しいんだぜ。魔装ができて冒険者として初めて一人前なんだ。ということは坊やもお客さんとして扱わなけりゃならねえな。それに選球眼もいい。その剣はなんてことない数打ち品だがうちの専属鍛冶士の自信作よ。」


「おじさん、ありがとう。いい剣なんだね。手に馴染む気がするよ。それと魔装ってなに?」


「なんだ坊や。知らずに纏ってたのかい。魔装ってのはな、己の魔力を身体や武器に纏わせることよ。身体強化は身体に中に魔力を通すが魔装は身体の周りに纏うのよ。武器に魔装で魔力を纏わせて振ると硬い龍の鱗を切ったり、届かない相手を切ったりできるんだ。身体に纏わせるだけでも身体能力が上がるから冒険者必須の能力となる。噂話にはなるけどな、槍の使い手なんだが、何でも超一流の使い手は一突きで何十人と再起不能にしたらしいぜ。やられたやつの話じじゃ、なんでも魔力でブッ飛ばされたらしい。」


なんだか嘘臭い話だな。


「まあそういうこった。まだまだちっちゃいんだ。坊主、安くしとくからその剣で鍛えてこいよ。」


そういって愛剣を手に入れた。ガレットパパがお金を出してくれて店を出る。剣を腰に差して歩くだけでワクワクする。早く使ってみたい。それに魔装か。なんとなく練習していた技に名前があるなんてずいぶん一般的なものだったんだな。必殺技を編み出したと思ったのにちょっと残念だ。でも極めればおもしろいかも。


そう考えながら街を彷徨いた。






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