6. 開かれた扉
そして、墨鳴風。
義成は、彼の最愛の妹・湛吟との、歪んだ純愛ゲームを、最終段階へと、進めていた。
彼は、鳴風を、食事に誘った。
「お兄さん。湛吟さんと、僕は、結婚を、考えています」
その言葉に、鳴風は、動揺した。
「結婚だと…?早すぎる!」
「ですが、僕の愛は、本物です。つきましては、僕の、誠意の証として、お兄さんの、お仕事の、お力に、なりたい」
義成は、そこで、一枚の、USBメモリを、テーブルの上に置いた。
「これは、あなたの、上司である、馬東副局長の、汚職の、決定的な、証拠です。彼の、海外の、隠し口座の、全記録。そして、彼が、若い女たちと、乱行に耽っている、映像も、入っています」
鳴風の顔から、血の気が引いた。
「…君は、一体、何を…」
「僕は、あなたに、彼を、超えてほしいのです。こんな、腐った男の下で、あなたの、その、優秀な頭脳が、埋もれていくのは、我慢がならない」
義成は、彼に、悪魔の選択を、迫った。
この証拠を使い、馬東を、失脚させ、自らが、その地位に、成り代わるか。あるいは、このまま、腐った上司の下で、甘んじ続けるか。
鳴風は、葛藤した。だが、彼の、心の奥底にあった、野心と、正義感が、最終的に、勝利した。
「…わかった。君の、その、危険な賭けに、乗ろう。だが、僕に、何をしろと?」
「三日後の、夜。提籃橋刑務所の、西側の、警備システムの電源を、ほんの、十分間だけでいい。メンテナンスという名目で、落としてほしい。そして、その間の、監視カメラの、映像記録を、消去してほしいのです」
「…!?」
鳴風は、それが、何を意味するのかを、悟り、絶句した。
「これは、僕が、あなたに、忠誠を誓うための、ささやかな、儀式です。あなたには、一切、ご迷惑は、おかけしません」
鳴風は、数分間、黙考した後、重々しく、頷いた。彼は、もう、義成という、悪魔の、掌の上で、踊るしか、なかったのだ。




