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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!第三章  作者: 冠 三湯切
パート1、『この異世界より平和への旅路を行く』
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REVENGE OF DEAD(死者の復讐)その2

 中央 午前十時二十五分 麗沢 弾と遭遇。


 「あ、ああああああんたは!!」


 エンリコは私たちを指さし、目を丸くして叫んだ。


 「ふぅ、ぎりぎりの所のだったみたいだね。でも、間に合った」


 「後は俺たちに任せろ。こいつらに対する復讐心は俺たちの方が上だ。俺たちが倒す」


 私は目の前で怒りをあらわにしているリザヴェノフを睨み返した。


 「サム・ヨゥ、ジョニー・ヨゥ。お前らは死んだはず・・・」


 「あぁ、俺たちは死んださ。一度な。だが、復讐心が、死を恐れぬ貴様らへの怒りが、再び俺たちをこの世界に呼び戻したんだよ」


 「全ては平和の為にってね、お前らが全てを仕組んでいたように、私たちのほうも全て仕組んでたのさ」


 私がそうリザヴェノフに伝えると、全てを納得したかのように麗沢君が反応した。


 「まさか・・・全て三上殿が仕組んでいたと言うのでござるか?この事態になる事を見越して・・・」


 「その通りだよ麗沢君、私も最初は驚いたさ。まさか心の底から憎んでいた彼が、最もこの世界を愛し、守ろうとしてくれてただなんてね」


 「三上・・・礼・・・」


 リザヴェノフは彼の名を、凄まじい怒りを込めて呟いた。


 「さぁどうする?お前も相当疲弊している。俺たちに勝てるか?」

 

 「・・・やっと、やっと復讐が果たせるって思ってたのに・・・余計な事をしてくれたわね・・・怒りが呼び戻した?ふざけたこと言わないでよ・・・世界に対する怒りは、憎しみは・・・あんたらとは比べ物にならないのよ!!」

 

 来る・・・周囲の死体と、リザヴェノフ自身も同時に攻撃を仕掛けてくる。


 「行くぞ、弟よ・・・」


 「あぁ、兄さん!!」


 ジョニーは小型の弓を一瞬で引き絞った。そして私も


 「ぬ!?それは!!」


 「名はウィンド・クロスボウ。その名の通り、風を巻き起こすクロスボウだよ!!」


 私はクロスボウの弦を最大まで引き、ジョニーと同時にそれを離した。


 「うわ!!」


 だが、今の技の勢いでエンリコが吹き飛ばされそうになった。

 

 「ナターシャ!!エンリコを!!巻き込まれたらひとたまりもないぞ!!」


 「了解!!」


 ナターシャは、エンリコを引っ張りこんだ。これで大丈夫。とどめだ!!


 「リザヴェノフ!!」


 リザヴェノフは水で防御しながら、激しい水流で攻撃を仕掛けたが、私とジョニーの攻撃はそれを押しのけた。


 「うそ・・・でしょ、こんな事って!!」


 リザヴェノフは私たちの風に巻き込まれ吹き飛んだ。


 「・・・流石は完全覚醒者と言った所か。今のでも傷は与えられないとは・・・」


 リザヴェノフは肩で息をしているものの、傷自体は全くない。


 「舐めないでって言ってるでしょ。あなたたちの力がここまでになってるのは予想外だったわ。でも・・・あなたたちは私には・・・!!」


 「気が付いたか?」


 リザヴェノフは何かをしようとしたが、全く何も起きなかった。


 「お前の力に関しては分かっている。お前は死したものを支配する能力だ。それは死を迎え活動することのできない生命を強制的に動かす。つまり腕だけだろうが足だけだろうが、それが死んでいれば動かせるはずだ。だが、生命が活動するには筋肉が必用だ。その筋肉組織が破壊されたとなればどうなる?」


 「そうか、そうなると動けなくなる!!筋肉に頭から電気信号が流れても、その筋肉自体が壊れてたら電気信号もへったくれもない!!」


 エンリコはぽむと手を叩いた。私はこくっと頷いた。


 「まさか・・・負けるの?私が?」


 リザヴェノフは現状を理解したようだ。こいつの強さは何と言ってもこの能力。それを封じれば、我々でも勝機はある。


 「これこそ多勢に無勢だ。お前の負けだ、リザヴェノフ!!」


 私はリザヴェノフにクロスボウを向けた。


 「・・・負けれない、負けるわけにはいかないのよ!!」


 「っ!!」


 リザヴェノフは最後の悪足搔きと砂を私に投げつけた。私は思わず顔を覆った。だが、その一瞬で間合いを一気に離された。


 「まさかこんなことになるなんて思わなかったわ・・・私たちが、負けるだなんてね。ここは一旦、逃げる事にしましょう。次は、次こそは・・・お前たちを潰して、あなたを手に入れるわ・・・弾」


 「っ!!待て!!」


 私は追いかけたが最後に強烈な水鉄砲を放たれ、その隙に完全に逃げられた。


 「お前はまだまだ詰めが甘いな」


 「済まない・・・兄さん」


 「ま、謝ったところで意味はない。次に繋げれればそれでいいだろ。終わり良ければ総て良しだ。大体、俺もまんまと逃がしちまってるわけだしな」


 ジョニーは笑って、私を許した。


 「それにしても、ここへはどのように?最近見かけておりませんでしたが」


 エリザベート殿が普段通りのおっとりとした口調で質問するが、その声の中には驚きや疑問が聞こえる。


 「もっともな質問ですねエリザベート様。ではここは俺がお答えしましょう」


 兄さん、ジョニーが負けじと丁寧な口調で説明を続けた。


 ・


 ・


 ・


 ・


 ・


 午前十時三十分 神和住 零羅は戦闘中。だが、少し様子が変だ。


 「バケモノ・・・すみませんが、今わたくし、すっごい機嫌が悪いんです。あなた方に恨みは・・・いえ、あなた方が憎いです。そこを、どきなさい!!」


 どうにも怒ってるみたいだ。ここは私が止めねば!!!


 「どらっせぇぇぇぇぇぇえええええいい!!」


 私は零羅ちゃんに襲い掛かろうとしていたビーストを一気に片づけた。


 「あーらよっと!!」


 そしてすかさず後を追ってきたあいつが別のビーストを蹴散らした。


 「え、あの、あなたたちは・・・薔薇を咥えた髑髏・・・ですか?」


 私は再び豪快にマントを脱ぎ捨てた。うん、これやるのカッコイイな。印象付けるのにもってこいだ。


 「久しゅうな!!神和住 零羅!!」


 「あ・・・あ、あ・・・」


 零羅ちゃんはどうやら驚きのあまり声が出ないようだ。


 「ありえんなさん・・・でしたっけ」


 ズコー!!


 「アンリエッタだ!!アンリエッタ ヴェロニカ!!」


 「あ!そうでした!!すみません!!」


 そう言う事か、名を忘れられていたのか・・・まぁよい。それよりも・・・


 「ところで、さっきから何をやっておるのだ?何をぶつぶつ言っている」


 気になっていたが、ここに駆け付けたと思った途端。こいつ一気に端っこに逃げおった。


 「あぁ・・・いいとこ見せようと思って、一番よさそうな女の子がいそうなところに行ったら・・・俺様のバヵ」


 「何をぶつくさ言っておるのだ!!お前もさっさとそれを脱がぬか!!」


 「あ、ちょ!!アンちゃん何すんだ!!」


 嫌がったがを私は強引に、マントを剥いだ。なにをそんなに嫌がっておるのだ?


 「あ、あなたは!!」


 「あ、俺様覚えてる?だよね~・・・」


 「れ・・・れおたーどさん!?」


 ズコー!!私は顔面から地面に潜った。


 「あ、ちがいましたね・・・えっと、えと。レモンハートさん!!」


 「なんだそのちょっと酸っぱそうな主人公みたいな名前は!?レオナルドだ!!レオナルド アキレア!!やっぱ忘れてんじゃん!!てか忘れてんのならいっか・・・」


 「あ、すみません。そうでした・・・色々ありまして・・・すみません、すみません」


 零羅ちゃんはペコペコ頭を下げている。


 「前の時は、その・・・失礼しました・・・殺しかけてしまって」


 「ギクゥ!!やっぱ覚えてんの?」


 「それはもう、はっきりと」


 「む!?レオナルドとは何かあったのか!?零羅ちゃん!!というか、ナニかされたのか!?」


 「え、いや・・・なんというかですね・・・」


 私は零羅ちゃんに尋ねたが、口ごもって答えてはくれなかった。聞き方が悪かったのだろうか。だが、意外にもレオナルドが答えた。


 「いや、あの時の事は俺から言うぜ。女の子には言わせられねぇ・・・」


 私はレオナルドから何があったのかを聞いた。どうにも前の戦闘でレオナルドの奴、零羅ちゃんにちょっかいかけた挙句殺されかけたらしいな。それがどうもトラウマのようだ。女好きの割には変な反応だとおもったらそう言う理由か・・・


 「はぁ~あれ以降女の子好きは変わんねぇけど、夢にあんたが出てくるようになっちまってな?それでずっと追いかけてくんのよ・・・あ~恐ろしい」


 「成程!!成程!!結局はお前がまいた種と言う事だな!!何でもかんでも女性に手を出すからそうなるのだ!!というか、それでなお女性嫌いを発症しないのはある意味凄いな!!」


 「当り前だろ!!俺から女の子を取ったら何が残んだよ!!」


 「愚か者と卑怯者のレッテルぐらいは残るな!!」


 「うんうんそうだね、俺と言えば卑怯者っておい!!」


 意外にもノリツッコミをかますとは・・・やるな!!


 「ふふ・・・クスクス」


 零羅ちゃんはしばらく黙っていたが、どうにも我慢できなくなったのか小さく噴き出して笑った。


 「あ~、やっと笑ったぜ。やっぱ女の子は笑ってこそ一番輝くってなもんだ」


 「あ、すみません・・・」

  

 零羅ちゃんは思わず人の事を笑ったことを悪びれて、謝罪した。


 「いや、笑ってていいぜ。俺としてもそうしてくれた方がまだやりやすい。にしても、零羅ちゃん何があった?怒った顔もいいけどよ、だからと言って八つ当たりはよくねぇと思うぜ?怖いし・・・」


 「そう言えば、私も気になっていた。先ほど相当怒り心頭しているように見えたが・・・」


 我らの質問に、零羅ちゃんは少し口ごもったが、意を決してくれたのか口を開き、答えてくれた。


 「実は・・・」


 ・


 ・


 ・


 「そうであったか・・・!まさか君のお父様が、奴らと・・・それは心中察する、とまでは言えんが、同情する・・・」


 「いえ、大丈夫です。いくら否定しても事実は事実ですから」


 「ってちょい待てよ?零羅ちゃんの話が本当って事は・・・今、またあれが起きる可能性があるって事か!?」


 レオナルドはもしもの可能性を想像し、私の後ろの隠れた。


 「かもしれませんね・・・ですが、これに関しては認めたくありません。わたくしは、ちゃんとここにいる。もう二度と、誰も傷つけさせたりはしません。この力は、大切な人たちを守る為に使う。決して負けたりなんかしません!!」


 零羅ちゃんは強く拳を握り、断言した。


 「よくぞ言った!!それでこそ我が戦友!!この私、アンリエッタも君のその二重人格とやらと共に戦おうぞ!!それに比べて、レオナルド!!何をしてる!!」


 「うるへー、結構あれはトラウマだったの!!でも・・・こんな小さい子に、あんな重荷を背負わせるほど俺は腐ってねぇよ。俺も戦うさ。零羅ちゃん、俺様がお前を守る騎士になってやるよ」


 レオナルドは零羅ちゃんの頬にそっと手を置いた。その瞬間、いやほぼ反射的に


 「ひえ!!!」


 「おあっふん!!」


 零羅ちゃんの強烈な平手打ちがレオナルドの顔面を直撃した。


 「い、言った傍からかよ・・・てか、顔は勘弁」


 「す!すみません!!!なんだか手がやらしかったので!!つい!!」


 「うん、今のは零羅ちゃん関係なしにお前が悪い」


 「え~、大体こういう場面って、きゅん!!ってときめく場面だろ?」


 「世の中そんな甘くはない!!もし私にそれをやっていたら、平手打ちではすまんぞ!!」


 「問題ねぇよ!!お前の場合は、ちょっと強引に行くし!!」


 「そこは、『お前なんぞに興味はない』ではないのか!!」


 「あほか!!俺の女性に対するストライクゾーンは上も下も横も縦も時間すらも存在しねぇんだよ!!世の中の女性全てが俺のストライクゾーンなの!!もちろん、お前も狙ってるときは狙ってるぜ?」


 こいつ・・・ある意味清々しいな。まぁ、前にエリザベート様をひっかけようとしてたし、生まれたばかりの赤子にすら、手を出そうとしてたくらいだ。


 「まぁいい、それよりもだ零羅ちゃん。君も少し休んでいてくれ。後は私たちがやろう」


 「いえ、わたくしはまだやれます!!」


 「駄目だ、大分疲れてんだろ?それに、今度は俺がお前を巻き込みかねねぇ。だからお嬢ちゃんは引っ込んでな!!」


 レオナルドは自身の新たな武器を取り出した。


 「レオナルドさん・・・その腕は・・・」


 「あぁ、察しの通りだぜ零羅ちゃん。お前と戦った後、俺の腕は再生不可能なほど滅茶苦茶に破壊されちまってた。けどな、おかげでこいつが手に入ったんだ。トラウマは刻まれちまってるけど、感謝してんだぜ!!」


 レオナルドの武器は自身の義手だ。だが、ただの義手ではない。様々な武器へと形態が変わる、特殊な義手だ。


 「さぁて・・・まだわんさかいるよなビーストども・・・まずこいつの餌食になるのはどいつだ?」


 レオナルドの右腕は穴が六個付いた丸い筒のようなものになった。


 「あ、あれって!!」


 「ガトリング砲って言うんだとよぉぉぉ!!!」


 『ブゥオオオオオオオ!!』


 筒がゆっくりと回り始めると、その直後一気に回転は速くなり、凄まじい轟音と共に周囲のビースト目がけてオレンジ色の閃光が飛んでいった。


 「まぁだ終わんねぇぜ!!今度は直接ぶん殴ってやる!!」


 レオナルドは一気に弾丸を撃ち尽くし、腕の形状を変えた。巨大なナックルだ。


 「はいよ!!」


 レオナルドはその大きな拳でビーストを殴り飛ばした。


 「す、すごいです・・・」


 「零羅ちゃん、感動するのはまだ早い。私の方もそろそろ行くとするか!!」


 私は自身の丈以上あるランスを構えた。そして


 「目の錯覚でしょうか。アンリエッタさんが、燃えている・・・」


 「レオナルド!!決めるぞ!!」


 「あぁ!!」


 私は一気にランスを豪快に振った。


 「消えてなくなれぇぇぇぇぇいい!!」


 炎は一気にビーストへと襲い掛かる。


 「んじゃ俺は!!エレクトロキャノンってな!!」


 レオナルドの右腕から放たれた電撃は私の炎と合わさり、更に勢いを増し、ここ一帯にいたビーストを一気に蹴散らした。


 「どーよ、俺様の新たな技、惚れちまうだろ?」


 「別にお前のだけではないだろ!!我らの新たな力だ!!」


 「やっぱり、目の錯覚ではなかったのですね・・・今のは、魔法・・・ですよね」


 「その通り!!この事もちゃんと教えてやろう!!」

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