REVENGE OF DEAD(死者の復讐)その2
中央 午前十時二十五分 麗沢 弾と遭遇。
「あ、ああああああんたは!!」
エンリコは私たちを指さし、目を丸くして叫んだ。
「ふぅ、ぎりぎりの所のだったみたいだね。でも、間に合った」
「後は俺たちに任せろ。こいつらに対する復讐心は俺たちの方が上だ。俺たちが倒す」
私は目の前で怒りをあらわにしているリザヴェノフを睨み返した。
「サム・ヨゥ、ジョニー・ヨゥ。お前らは死んだはず・・・」
「あぁ、俺たちは死んださ。一度な。だが、復讐心が、死を恐れぬ貴様らへの怒りが、再び俺たちをこの世界に呼び戻したんだよ」
「全ては平和の為にってね、お前らが全てを仕組んでいたように、私たちのほうも全て仕組んでたのさ」
私がそうリザヴェノフに伝えると、全てを納得したかのように麗沢君が反応した。
「まさか・・・全て三上殿が仕組んでいたと言うのでござるか?この事態になる事を見越して・・・」
「その通りだよ麗沢君、私も最初は驚いたさ。まさか心の底から憎んでいた彼が、最もこの世界を愛し、守ろうとしてくれてただなんてね」
「三上・・・礼・・・」
リザヴェノフは彼の名を、凄まじい怒りを込めて呟いた。
「さぁどうする?お前も相当疲弊している。俺たちに勝てるか?」
「・・・やっと、やっと復讐が果たせるって思ってたのに・・・余計な事をしてくれたわね・・・怒りが呼び戻した?ふざけたこと言わないでよ・・・世界に対する怒りは、憎しみは・・・あんたらとは比べ物にならないのよ!!」
来る・・・周囲の死体と、リザヴェノフ自身も同時に攻撃を仕掛けてくる。
「行くぞ、弟よ・・・」
「あぁ、兄さん!!」
ジョニーは小型の弓を一瞬で引き絞った。そして私も
「ぬ!?それは!!」
「名はウィンド・クロスボウ。その名の通り、風を巻き起こすクロスボウだよ!!」
私はクロスボウの弦を最大まで引き、ジョニーと同時にそれを離した。
「うわ!!」
だが、今の技の勢いでエンリコが吹き飛ばされそうになった。
「ナターシャ!!エンリコを!!巻き込まれたらひとたまりもないぞ!!」
「了解!!」
ナターシャは、エンリコを引っ張りこんだ。これで大丈夫。とどめだ!!
「リザヴェノフ!!」
リザヴェノフは水で防御しながら、激しい水流で攻撃を仕掛けたが、私とジョニーの攻撃はそれを押しのけた。
「うそ・・・でしょ、こんな事って!!」
リザヴェノフは私たちの風に巻き込まれ吹き飛んだ。
「・・・流石は完全覚醒者と言った所か。今のでも傷は与えられないとは・・・」
リザヴェノフは肩で息をしているものの、傷自体は全くない。
「舐めないでって言ってるでしょ。あなたたちの力がここまでになってるのは予想外だったわ。でも・・・あなたたちは私には・・・!!」
「気が付いたか?」
リザヴェノフは何かをしようとしたが、全く何も起きなかった。
「お前の力に関しては分かっている。お前は死したものを支配する能力だ。それは死を迎え活動することのできない生命を強制的に動かす。つまり腕だけだろうが足だけだろうが、それが死んでいれば動かせるはずだ。だが、生命が活動するには筋肉が必用だ。その筋肉組織が破壊されたとなればどうなる?」
「そうか、そうなると動けなくなる!!筋肉に頭から電気信号が流れても、その筋肉自体が壊れてたら電気信号もへったくれもない!!」
エンリコはぽむと手を叩いた。私はこくっと頷いた。
「まさか・・・負けるの?私が?」
リザヴェノフは現状を理解したようだ。こいつの強さは何と言ってもこの能力。それを封じれば、我々でも勝機はある。
「これこそ多勢に無勢だ。お前の負けだ、リザヴェノフ!!」
私はリザヴェノフにクロスボウを向けた。
「・・・負けれない、負けるわけにはいかないのよ!!」
「っ!!」
リザヴェノフは最後の悪足搔きと砂を私に投げつけた。私は思わず顔を覆った。だが、その一瞬で間合いを一気に離された。
「まさかこんなことになるなんて思わなかったわ・・・私たちが、負けるだなんてね。ここは一旦、逃げる事にしましょう。次は、次こそは・・・お前たちを潰して、あなたを手に入れるわ・・・弾」
「っ!!待て!!」
私は追いかけたが最後に強烈な水鉄砲を放たれ、その隙に完全に逃げられた。
「お前はまだまだ詰めが甘いな」
「済まない・・・兄さん」
「ま、謝ったところで意味はない。次に繋げれればそれでいいだろ。終わり良ければ総て良しだ。大体、俺もまんまと逃がしちまってるわけだしな」
ジョニーは笑って、私を許した。
「それにしても、ここへはどのように?最近見かけておりませんでしたが」
エリザベート殿が普段通りのおっとりとした口調で質問するが、その声の中には驚きや疑問が聞こえる。
「もっともな質問ですねエリザベート様。ではここは俺がお答えしましょう」
兄さん、ジョニーが負けじと丁寧な口調で説明を続けた。
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午前十時三十分 神和住 零羅は戦闘中。だが、少し様子が変だ。
「バケモノ・・・すみませんが、今わたくし、すっごい機嫌が悪いんです。あなた方に恨みは・・・いえ、あなた方が憎いです。そこを、どきなさい!!」
どうにも怒ってるみたいだ。ここは私が止めねば!!!
「どらっせぇぇぇぇぇぇえええええいい!!」
私は零羅ちゃんに襲い掛かろうとしていたビーストを一気に片づけた。
「あーらよっと!!」
そしてすかさず後を追ってきたあいつが別のビーストを蹴散らした。
「え、あの、あなたたちは・・・薔薇を咥えた髑髏・・・ですか?」
私は再び豪快にマントを脱ぎ捨てた。うん、これやるのカッコイイな。印象付けるのにもってこいだ。
「久しゅうな!!神和住 零羅!!」
「あ・・・あ、あ・・・」
零羅ちゃんはどうやら驚きのあまり声が出ないようだ。
「ありえんなさん・・・でしたっけ」
ズコー!!
「アンリエッタだ!!アンリエッタ ヴェロニカ!!」
「あ!そうでした!!すみません!!」
そう言う事か、名を忘れられていたのか・・・まぁよい。それよりも・・・
「ところで、さっきから何をやっておるのだ?何をぶつぶつ言っている」
気になっていたが、ここに駆け付けたと思った途端。こいつ一気に端っこに逃げおった。
「あぁ・・・いいとこ見せようと思って、一番よさそうな女の子がいそうなところに行ったら・・・俺様のバヵ」
「何をぶつくさ言っておるのだ!!お前もさっさとそれを脱がぬか!!」
「あ、ちょ!!アンちゃん何すんだ!!」
嫌がったがを私は強引に、マントを剥いだ。なにをそんなに嫌がっておるのだ?
「あ、あなたは!!」
「あ、俺様覚えてる?だよね~・・・」
「れ・・・れおたーどさん!?」
ズコー!!私は顔面から地面に潜った。
「あ、ちがいましたね・・・えっと、えと。レモンハートさん!!」
「なんだそのちょっと酸っぱそうな主人公みたいな名前は!?レオナルドだ!!レオナルド アキレア!!やっぱ忘れてんじゃん!!てか忘れてんのならいっか・・・」
「あ、すみません。そうでした・・・色々ありまして・・・すみません、すみません」
零羅ちゃんはペコペコ頭を下げている。
「前の時は、その・・・失礼しました・・・殺しかけてしまって」
「ギクゥ!!やっぱ覚えてんの?」
「それはもう、はっきりと」
「む!?レオナルドとは何かあったのか!?零羅ちゃん!!というか、ナニかされたのか!?」
「え、いや・・・なんというかですね・・・」
私は零羅ちゃんに尋ねたが、口ごもって答えてはくれなかった。聞き方が悪かったのだろうか。だが、意外にもレオナルドが答えた。
「いや、あの時の事は俺から言うぜ。女の子には言わせられねぇ・・・」
私はレオナルドから何があったのかを聞いた。どうにも前の戦闘でレオナルドの奴、零羅ちゃんにちょっかいかけた挙句殺されかけたらしいな。それがどうもトラウマのようだ。女好きの割には変な反応だとおもったらそう言う理由か・・・
「はぁ~あれ以降女の子好きは変わんねぇけど、夢にあんたが出てくるようになっちまってな?それでずっと追いかけてくんのよ・・・あ~恐ろしい」
「成程!!成程!!結局はお前がまいた種と言う事だな!!何でもかんでも女性に手を出すからそうなるのだ!!というか、それでなお女性嫌いを発症しないのはある意味凄いな!!」
「当り前だろ!!俺から女の子を取ったら何が残んだよ!!」
「愚か者と卑怯者のレッテルぐらいは残るな!!」
「うんうんそうだね、俺と言えば卑怯者っておい!!」
意外にもノリツッコミをかますとは・・・やるな!!
「ふふ・・・クスクス」
零羅ちゃんはしばらく黙っていたが、どうにも我慢できなくなったのか小さく噴き出して笑った。
「あ~、やっと笑ったぜ。やっぱ女の子は笑ってこそ一番輝くってなもんだ」
「あ、すみません・・・」
零羅ちゃんは思わず人の事を笑ったことを悪びれて、謝罪した。
「いや、笑ってていいぜ。俺としてもそうしてくれた方がまだやりやすい。にしても、零羅ちゃん何があった?怒った顔もいいけどよ、だからと言って八つ当たりはよくねぇと思うぜ?怖いし・・・」
「そう言えば、私も気になっていた。先ほど相当怒り心頭しているように見えたが・・・」
我らの質問に、零羅ちゃんは少し口ごもったが、意を決してくれたのか口を開き、答えてくれた。
「実は・・・」
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「そうであったか・・・!まさか君のお父様が、奴らと・・・それは心中察する、とまでは言えんが、同情する・・・」
「いえ、大丈夫です。いくら否定しても事実は事実ですから」
「ってちょい待てよ?零羅ちゃんの話が本当って事は・・・今、またあれが起きる可能性があるって事か!?」
レオナルドはもしもの可能性を想像し、私の後ろの隠れた。
「かもしれませんね・・・ですが、これに関しては認めたくありません。わたくしは、ちゃんとここにいる。もう二度と、誰も傷つけさせたりはしません。この力は、大切な人たちを守る為に使う。決して負けたりなんかしません!!」
零羅ちゃんは強く拳を握り、断言した。
「よくぞ言った!!それでこそ我が戦友!!この私、アンリエッタも君のその二重人格とやらと共に戦おうぞ!!それに比べて、レオナルド!!何をしてる!!」
「うるへー、結構あれはトラウマだったの!!でも・・・こんな小さい子に、あんな重荷を背負わせるほど俺は腐ってねぇよ。俺も戦うさ。零羅ちゃん、俺様がお前を守る騎士になってやるよ」
レオナルドは零羅ちゃんの頬にそっと手を置いた。その瞬間、いやほぼ反射的に
「ひえ!!!」
「おあっふん!!」
零羅ちゃんの強烈な平手打ちがレオナルドの顔面を直撃した。
「い、言った傍からかよ・・・てか、顔は勘弁」
「す!すみません!!!なんだか手がやらしかったので!!つい!!」
「うん、今のは零羅ちゃん関係なしにお前が悪い」
「え~、大体こういう場面って、きゅん!!ってときめく場面だろ?」
「世の中そんな甘くはない!!もし私にそれをやっていたら、平手打ちではすまんぞ!!」
「問題ねぇよ!!お前の場合は、ちょっと強引に行くし!!」
「そこは、『お前なんぞに興味はない』ではないのか!!」
「あほか!!俺の女性に対するストライクゾーンは上も下も横も縦も時間すらも存在しねぇんだよ!!世の中の女性全てが俺のストライクゾーンなの!!もちろん、お前も狙ってるときは狙ってるぜ?」
こいつ・・・ある意味清々しいな。まぁ、前にエリザベート様をひっかけようとしてたし、生まれたばかりの赤子にすら、手を出そうとしてたくらいだ。
「まぁいい、それよりもだ零羅ちゃん。君も少し休んでいてくれ。後は私たちがやろう」
「いえ、わたくしはまだやれます!!」
「駄目だ、大分疲れてんだろ?それに、今度は俺がお前を巻き込みかねねぇ。だからお嬢ちゃんは引っ込んでな!!」
レオナルドは自身の新たな武器を取り出した。
「レオナルドさん・・・その腕は・・・」
「あぁ、察しの通りだぜ零羅ちゃん。お前と戦った後、俺の腕は再生不可能なほど滅茶苦茶に破壊されちまってた。けどな、おかげでこいつが手に入ったんだ。トラウマは刻まれちまってるけど、感謝してんだぜ!!」
レオナルドの武器は自身の義手だ。だが、ただの義手ではない。様々な武器へと形態が変わる、特殊な義手だ。
「さぁて・・・まだわんさかいるよなビーストども・・・まずこいつの餌食になるのはどいつだ?」
レオナルドの右腕は穴が六個付いた丸い筒のようなものになった。
「あ、あれって!!」
「ガトリング砲って言うんだとよぉぉぉ!!!」
『ブゥオオオオオオオ!!』
筒がゆっくりと回り始めると、その直後一気に回転は速くなり、凄まじい轟音と共に周囲のビースト目がけてオレンジ色の閃光が飛んでいった。
「まぁだ終わんねぇぜ!!今度は直接ぶん殴ってやる!!」
レオナルドは一気に弾丸を撃ち尽くし、腕の形状を変えた。巨大なナックルだ。
「はいよ!!」
レオナルドはその大きな拳でビーストを殴り飛ばした。
「す、すごいです・・・」
「零羅ちゃん、感動するのはまだ早い。私の方もそろそろ行くとするか!!」
私は自身の丈以上あるランスを構えた。そして
「目の錯覚でしょうか。アンリエッタさんが、燃えている・・・」
「レオナルド!!決めるぞ!!」
「あぁ!!」
私は一気にランスを豪快に振った。
「消えてなくなれぇぇぇぇぇいい!!」
炎は一気にビーストへと襲い掛かる。
「んじゃ俺は!!エレクトロキャノンってな!!」
レオナルドの右腕から放たれた電撃は私の炎と合わさり、更に勢いを増し、ここ一帯にいたビーストを一気に蹴散らした。
「どーよ、俺様の新たな技、惚れちまうだろ?」
「別にお前のだけではないだろ!!我らの新たな力だ!!」
「やっぱり、目の錯覚ではなかったのですね・・・今のは、魔法・・・ですよね」
「その通り!!この事もちゃんと教えてやろう!!」




