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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!第三章  作者: 冠 三湯切
パート1、『この異世界より平和への旅路を行く』
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麗沢 いのちを繋いだおむすび

 中央 午前九時十五分


 「よし!!まだ誰も来ていないようだ!麗沢君はエルメスさんの元へ行ってくれ!この事を伝えるんだ!!シャンデラと、アリアは早急に住人の避難を呼びかけろ!」


 「はっ!!」


 アリアとシャンデラはキリっと敬礼し、その場を離れた。こうしてみるとやはり彼女たちは軍人なのでござるな。


 「イーサン殿はどうするのでござるか?」


 「私はディエゴの元へ、集合場所が指定されている。何としても行動を起こす前に止めて見せるさ。シィズももうすぐ到着するはずだ。2人ならば僅かだが可能性はある」

 

 「分かったでござる、だが無理はしないでほしいでござる。誰も死なせはしない、エルメス殿はそう言うでござるしな」


 「あぁ、犠牲は出させないさ・・・」


 拙者はアダムスビルに向かって走った。街はまだ平和そのもの、むしろいつになく活気がある。これも三上殿がいなくなった影響であろうか。だが、すぐさまそれが壊されようとしている。


 「急がねば、こういう時こそ動けるデブの真骨頂、無敵の短距離走でござる!うおおおおお!!」


 拙者はまさに風になった気分でござる。これならば五十メートル十秒はきれるであろう!!


 「エルメス殿はおるか!!」


 拙者はビルに入り大声を叫んだ。すると全員がポカンと言う表情を浮かべ拙者を見た。


 む、いきなり過ぎたでござるか・・・しかし、なんか妙でござるな、拙者を見る目は驚きというより、恐怖の方が近いような・・・まるで三上殿を見ているかの・・・


 「レイサワ・・・」


 後ろから聞き覚えのある声が。


 「エルメス殿!!聞いて欲しいことがあるのでござる!!実は!!」


 拙者は事の説明をしようとしたが、それは止めてしまった。いや止めざるを得なかった。拙者の首元に薙刀が刃を向けて突き付けられていたのだ。


 「え、エルメス殿?一体何の冗談でござるか?」


 「黙れ・・・よくのこのことここに来れたな。この裏切り者が」


 「な、何を言っているのでござるか!!拙者の敵は・・・!」


 「私たちの敵は、あんただ!!」


 「ぬぅわぁ!!」


 エルメス殿、本気で拙者の首を跳ね飛ばそうとしたでござる・・・


 「気でも狂ったでござるか!!ここは今狙われている!!早いとこ皆を避難させなければならないのでござる!!」


 「はっ、その手にはならないね。レイサワ、避難だとかなんとか言ってここの警備を薄くさせる気だろ。そしてここを乗っ取るつもりだな?」


 エルメス殿はさっきから何を言っているのでござるか?まるで拙者をアウロの一員かのように・・・


 「まさかっ!!エルメス殿!お主、拙者と別れてから誰かと会わなかったか!?」


 「あぁ、事態を聞いていたお父様が来てくれていた。そして教えてくれた。お前の正体をな・・・」


 拙者はいつの間にか取り囲まれ周りの兵士に武器を突き付けられていた。そう言う事でござるか、拙者たちはもう遅かったのだ。ここは既に陥落していた。


 ディエゴ殿の能力で、拙者を敵だとここの者に記憶を書き換えたのだ。なんてこった、この奇襲は罠であったか、拙者たちを世界の敵として陥れるための罠だったのだ。


 「皆!!聞いて欲しいでござる!!ここにもうすぐ襲撃がある!!それに備えてほしいのでござる!!」


 拙者は必死に説得を試みたが、効果は逆、より警戒度を増してしまうだけだ。


 「くぬぅ・・・どうすれば・・・」


 そう考えていた矢先であった、突如外から激しい閃光と轟音が響いた。


 「ぬぅお!!なんでござるか!!」


 外を見ると、一つのビルが崩れ落ちていく真っ最中だった。始まった、イーサン殿もやはり失敗してしまったか!!


 拙者は外に出ようとしたが、その前にエルメス殿が立ちはだかった。


 「どこへ行く気だ!」


 「今はこんなことしてる場合ではなかろう!!犠牲者が出るかもしれぬのだぞ!?」


 「お前をここに野放しにしておく方がさらに危険だ、レイサワ・・・お前はここで私が倒す!!みんなは他の人たちの救助を!だが気を付けろ!!襲撃の仲間がいるはずだ!!」


 くぬぅ・・・拙者自身もてんぱって、うまく思考ができないでござる。この状況でやるべき最も正しい行動がどれか、時間をかければかけるほど自身の首を絞める・・・


 「エルメス殿、拙者たちは共に旅をしたではないか。先輩と一緒に」


 「あぁ、だが全部あんたのウソだった。お前は旅を通じて私たちを監視してた、どんな気分だった?必死に仮初の敵を憎んでた私たちはさぞ滑稽に映っただろうね。お前はふざけた道化を演じ、サクラも騙してたんだろ」


 む?エルメス殿は先輩の記憶は変えられておらぬのか?エルメス殿は確か先輩に好意があったでござる。とは言っても何かフラグが経つと衝突してしまう、いわゆるツンデレのような感じであったな。


 だが記憶が変わらぬ・・・もしやディエゴ殿は、先輩への気持ちを分かっていたから、そこを変えずにあまり繋がりのない拙者の記憶を変えたのか?下手に先輩との記憶を変えれば、深く根付いた記憶に綻びを入れかねない。


 ・・・いや、待てよ。つまりそう言う事ならば、ディエゴ殿の能力は完ぺきではない。何かきっかけがあれば、元の記憶を戻せると言っているようなものでござる。


 「おい!どこ見てる!!」

 

 拙者がそこに行き付いた時にはエルメス殿は薙刀を振り下ろしていた。


 「どひー!!」


 ふぅ、危なかった。あと一ミリズレていたら拙者輪切りになっていたでござる。しかし、これは幸運かもしれぬ、ディエゴ殿は拙者たちを倒すために記憶を書き換えたというのならば、もし記憶を元の状態に戻せれば、この中央の戦力差は一気に逆転できるでござる。


 しかし、拙者とエルメス殿はそんな深い間柄ではない・・・何かなかろうか、拙者は敵ではないと突き付ける証拠のような物は・・・


 む?拙者は記憶をさかのぼり、ある事を思い出した。確かあれを作ったのは・・・


 だが、聞く耳を持つであろうか・・・あの時の事を、まだ覚えているであろうか・・・


 「さっきからお前、やる気あんのか?避けるばかりでさ、さっさとその剣抜きなよ。いくら敵とは言え無抵抗の奴をぶった切ったってのは後味が悪いんだ」


 いや、忘れていても構わぬ。まだ礼も言ってはおらなかったし、エルメス殿自身もあの程度の事となっているであろう。だが拙者にとっては重要な事、エルメス殿は拙者の命の恩人であった事は忘れてはならぬ。


 「もとより戦う気は毛頭ござらん、だが、エルメス殿と語るには剣を交えながらの方がむしろ良い気がする。拙者手加減はせぬ!」


 「そう来なくっちゃなぁ、いたぶりがいが無いだろ!!」


 拙者は流血光刃を抜き構えた。構えは、適当に漫画で見たような構えでござる。これの何がいいのかは分からぬがとにかく格好だけでもつくでござるからな。


 「でえりゃりゃりゃりゃああああ!」


 「ふん!ほん!ほぬん!ほうあん!!へやんぬ!!」


 うむ、拙者も前に比べれば随分と成長できたでござるな。見て捌ける、ずっこけもしなくなったでござる。


 「エルメス殿、そなたは覚えておるでござるか?一か月の事。すおん!!」


 「は?サクラたちがここに来た時の事か?それがどうした・・・でぇりぃやあ!!」


 「先輩が来る更に一週間前、拙者と麗羅殿が先にこの世界へ来たのでござる。ひょおお!!!」


 「そうだったな、あの時お前は確かエイドの南で発見された。どおりゃっしゃあああ!!」


 そこは覚えているか・・・ならばいけるかもしれぬ!!


 「あの時拙者は、ろくに食べ物も見つけられず、空腹の中数日さまよっていたでござる。おりやむん!!」


 「確かあの時、私は空腹で倒れている奴がいると聞いて・・・」


 「そこは、覚えていてくれたのでござるな」


 「あぁ、私が咄嗟ににぎったおむすびを兵士に持たせた」


 「やっぱり、そうであったか・・・あの塩おむすびは、エルメス殿が・・・感謝するでござる」


 「変な奴だな、なんで今更感謝なんか・・・って、あれ?お前、どうして私が握ったって知ってるんだ?」


 記憶のほころび、ここに見つけたり。エルメス殿にとっては咄嗟にやった事ではあったが、普段からの心がけでござろうな。


 いつの間にか剣の応酬は止まり、そのまま語りあっていた。


 「味が似ていたのでござる。拙者たちと旅をしていた時、時折野宿することもあった。その時エルメス殿が料理をすることもあった。その味と似ていたのでござる。あのおむすびは。


 エルメス殿はいつものように言っていたでござるな、誰も死なせぬと、その一生懸命な心意気が味になって出ていたのでござる」


 「あぁ、あの時はお前を敵と知らなかったからな。だけど当然だろ、死にそうなやつを放っておくことは私には出来ない。だが今は別だ!!」


 「っぬう!!」


 少しかすめてしまった・・・


 「たとえ今はそうであっても、あの時、拙者の為に握ってくれた心は本当でござった。温かみのある食事をくれた恩は忘れはせぬ。だからもう一度言わせてもらいたい。ありがとう」


 「お前、さっきからなんなんだよ・・・あんなどうでもいいことに・・・っ!!」


 エルメス殿は突然頭を抱えた。何かが引っかかったようでござる。


 「お前は、食べる事に関してやたらとこだわっていた・・・」


 「そうでござる、それを実感させてくれたのはエルメス殿のおむすびのおかげでござる。食べればそれでいいという考えから、食べる事への感謝を学んだでござる」


 「お前は・・・命を粗末にするような、奴じゃ  ない・・・ならば、何故・・・裏切る・・・いや、裏切ったのは・・・本当は・・・」


 「命への感謝は、誰よりも分かっているつもりでござる。拙者は、ここへ命を救うために来た」


 「・・・っ、あぁぁあああああ!!」


 エルメス殿は頭を抱えて叫んだ。恐らくエルメス殿の中の拙者と、本当の拙者との違和感があるのでござろう。


 「だまれ!!変な事言って私を騙す気だな!?お前の話は知らない!!」


 くっ・・・ぬぅ、エルメス殿は悩んだ末に心を閉ざしてしまったか!!


 「エルメス殿!!」


 「う、うるさい!!黙れ!!お前なんか知らない!!」


 少し幼稚に見えてきたでござる。まぁ、エルメス殿はらしいと言えばらしいのだが。


 「お前は目障りだ!!消えろ!!!」


 ・・・駄目であったか、拙者では・・・もしここに先輩がいれば、変わっていたかもしれぬのに、完全に拙者の力不足であったな。


 反撃を試みようと思えばできる。だが、拙者は甘いのだろう。仲間を傷つけたくない精神が、反撃への心を抑制する・・・すまぬ、完全に負けでござるな。


 目の前に薙刀が振り下ろされた。


 む、お?何故か衝撃がやってこない。ふと目を開けると冷や汗をかいているエルメス殿とこれは


 「杖?」


 「喧嘩はたまにはいいですが、一方的ないじめはよくありませんよ?エルメス」


 「お。お・・・お」


 「エリザベート殿!?」

 「お母さま!?」


 拙者の横には背筋の伸びた凛々しい老婆が立ち、杖をひょいと前に出しエルメス殿の薙刀を防いでいる。


 「この方はあなたのご友人でしょ?ほら、はやく仲直りしなさい」


 「い、いやお母さま!!こいつは!!」


 「お黙りなさい」


 「ひぃ!」


 エリザベート殿の一言でエルメス殿は縮み上がった。


 「こいつ呼ばわりはいけません。それにエルメス、さっきから目を見て話してませんね。相手が誰であっても目を逸らすのはいただけませんよ、今の喧嘩は一方的にエルメス、あなたが悪いのです」


 「こ、これはケンカじゃないんだ!レイサワは私たちを裏切って、それに今のこの状況はさ、それどころじゃ!!」


 『ペチン!!』


 エリザベート殿は持っていた杖でエルメス殿の頭を叩いた。


 「いったぁぁぁぁ・・・・」


 「それどころ、これどころ・・・・エルメス、それはあなたの言い訳、逃げです。先ほどから見ておりましたが、あなたはレイサワさんの言葉に耳を傾けましたか?そうは見えませんでしたよ。それどころじゃないと言って無視をしていましたね」


 「だってこいつは私たちを裏切って、大勢傷つけた・・・許せないんだよ」


 「そうなのですか?わたくしにはこの方がその様な振る舞いをする方とは思えませんよ。前にお会いした時にわたくしはとても楽しそうな方とそう感じました。エルメス?あなたはレイサワさんが誰かをいじめるのを見たのですか?聞きかじった事だけで判断するのはお前の良くないとこです」


 「・・・見て・・・ない。むしろ逆・・・サクラがピンチの時も、身を挺して割って入ってこけて・・・」


 「ほら、誰も傷つけてはいないでしょう?物事は、本質を見抜かねば意味はないのです。表面だけを見るから勘違いして一方的に怒って、先ほどアレックスにもお説教しておきました」


 む?そう言えば先ほどエルメス殿はアレックス殿が来ていると言っておったな。それが原因で・・・ってん? むむ!?


 「はぇぁ~~~~・・・」


 よく見るとエリザベート殿の脇に何か抱えられていた。目をぐるぐると回しているアレックス殿でござる。


 「っ!!なんなんだよこれ・・・なんか、変だ・・・レイサワは敵だ。頭では分かってんのに・・・私の記憶は、違うって言ってくる・・・!!こうなったのは、レイサワのせい・・・だったか?これを・・・仕組んだのは・・・」


 「拙者は決してこんな事態は望みはせぬ」


 「・・・・・・でぃ  え ご?」


 エルメス殿がポツリと呟いた、その直後にピタリと動きを止めた。まるで全ての答えが出たかのようだ。


 「・・・これって、私は何をしてたんだ?確か、レイサワと別れてから・・・私は、ここの世界の事を伝えようと・・・そこで、ディエゴに出会ったんだ・・・その後・・・はっ!!」


 完全に全てがイコールになったようでござる。


 「お母さま・・・それに、レイサワ・・・そうだ。全部思い出した!!私はディエゴと接触したんだ!!それで!!」


 「エルメス、何かすっきりしたのは良い事ですが今は先にやるべき事があるでしょう?」


 エリザベート殿は杖を「とん」と、地面を叩いた。


 「あ、さっきはあんなことをして済まなかったな・・・私としたことが、まんまとあいつにしてやられちまったよ」


 「拙者は気にしてはおらぬよ、ディエゴ殿がかなり上手だっただけの事でござる。それにこうして無事に記憶も戻った。一件落着でござる」


 「よろしい、アレックスと違ってちゃんと言えましたね。世の中悪いことをしたら謝るのは常識です。アレックスったら、わたくしをボケただの、早く外に出ろだのと酷いのです。わたくしは現状くらい理解できます。この分からず屋は後でたっぷりお仕置きしますからね。今は少し寝てなさい」


 エリザベート殿はにっこりと笑って、アレックス殿を杖で小突いた。前から思っておったが、ここの女性は恐ろしい人が多いでござるな。エリザベート殿しかり、エルメスしかり、シャンデラ殿やアリア殿も何かヤバそうな雰囲気は持っておるからな。


 「あ、そう言えばお母さま。なんでここに?ってかどうやって来たの?」


 「おや?あのお二方と・・・あら、いつの間にかいませんね。迷子かしら」


 どうやら、エリザベート殿は誰かと来たようでござる。しかし一体誰と?そう思った矢先の事であった。


 『どんがらがっしゃーん!!』


 突然壁が穴をあけた。


 「こいつ!!」


 「バケモノでござるか!!」


 バケモノ、彼らがビーストと呼ぶ異形の怪物が突入してきた。


 「いやですね、礼儀が全くなっていないです。壁を壊すのならば周りの迷惑を考えなさい!!」


 エリザベート殿はバケモノに説教を始めた。やはり、ボケてきているのはあながち間違ってはいないのか・・というか、周りの迷惑云々以前に壁の破壊は良いのでござるか!?


 「こいつは言っても聞かないよお母さま」


 「そうでござるな、この不敬な輩は拙者たちでお仕置きするでござる!!」


 そう言って武器を構えなおした直後であった。


 「ぁあ!!いた!!いたよーーー!!」


 「了解だ。では十秒以内に討伐しろ。エリザベート様に迷惑をかけるな」


 「十!?」


 「はい一!二!三!!」


 「あ!?嘘ーーー!?お前らちょっとどいて~~~~!!危ないよ~~~~!!」


 壁の外からそんなやり取りが聞こえ、6秒経った時、更に外から誰かが乱入した。


 「うおおおおおお!!」


 何かがバケモノをすんごい勢いで切り刻んでいった。これは・・・でっかい鎌でござるか?


 「十秒経過だ。まだまだ甘いな、時間内に仕事が出来ねば一人前には慣れぬ」


 『ズガン!!ズガン!!』


 テンポよく二発の銃声が聞こえた。その音と共にバケモノは崩れて言ったでござる。そして上から小柄な人影が落ちてきた。


 「待ったくもー!!どこに行ったかと思ったらここですか!!俺たちから離れないでって言ったじゃないですか!!」


 「あらそうでしたね、ごめんなさい。わたくしも気が急いてしまって。でも、よく分かりましたねエンリコちゃん」


 「ちゃんはやめてくださいよも~、ここの場所はあいつが行くとしたらここだろうって言うからだよ」


 「エンリコ!?」


 拙者は名前を聞き、その少年を思い出した。確かアンドリューという者の孫で前の旅で戦ったリーダーの一人でござる。デカい鎌を背負った少年で、あの時は戦うと言うより一方的に先輩に八つ当たりして来た人物であった。


 「おー、お前らも久しぶり、元気してた?」


 「う、うむ。しかし、お主らは生きていたのか・・・そうだ、ランディ殿は見つかったでござるか?」


 「いや、見つかってないよ。俺、兄ぃ探してたんだけどあいつが急に俺んとこに来てさ、エリザベート様を護衛しろだなんて言うから、まだ全然捜索できてないんだよぉ」


 エンリコ殿は退屈そうに鎌をぐるぐる回していた。


 「ってかエンリコ、あいつって誰?誰があんたを呼んだんだ?」


 「吾輩だ」


 下の階からスタスタと登って来たのは、髪を後ろで纏めた凛々しいやたらと高身長な女性だった。




 『・・・いや、誰?』




 拙者とエルメス殿は同時に聞き返した。


 「いや待てよ、今こいつ自分の事を『吾輩』って・・・って事はまさか」


 女性は徐々に近づいてくる。そして気が付いたでござる。拙者もエルメス殿もこの女性を見上げていた。軽く2メートルは超えている・・・


 一人称が吾輩の、超高身長な人物であって、エンリコ同様、生存しているというかつてのリーダーは・・・


 「まさか・・・ナターシャ アメジストセージ殿?」


 「うむ」


 「・・・」


 「・・・」


 『嘘おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!?』


 またしても同時に叫んだ。

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