ヴォイド 新たな日常
ヴォイドは夢の中で謎の少女リリアと出会い、彼の夢について語る。
この話は並行してる話よりも少し未来の話になります。
俺に新たな日常が始まった。
キャロットはあの一件があったにも拘らず、部屋で嬉しそうに俺をいつも待っている。
俺はここにやって来る連中の排除を行っている。基本的には迷ってここに入り込もうとしている奴等の排除だ。こいつらは特に犯罪者でもなんでもないから、適当に麻酔弾を使い遠く離れた場所に送っている。
だが、中には盗賊の部類の奴らもいる。そいつらには威嚇射撃を行い、それでも来るようであれば仕方ないが、永眠してもらっている。
そんな事をしていたらいつの間にか、この異世界側の連中の間で色んな噂が広がっていた。そして誰も寄り付かなくなってきた。
そうしたら別の任務もやるようになった。どっかの誰かの捜索に、暗殺の類の依頼、そう言った任務が増えた。捜索任務にはキャロットを連れて行っている。こいつは俺以上に嗅覚や聴覚などが鋭い。おかげで大分はかどっている。
しかし、あれ以降最初のターゲットに関する依頼は全く来ていない。俺の任務は続行中らしいが、奴ら、そうとうあのターゲットたちに手を焼いているらしいな。
そう言えば、ディエゴの姿もここ最近見ていないな。リリアだけが戻ってきている。ディエゴはあちこち飛び回っているみたいだ。
これが今の俺の日常だ。
そんなある日の出来事だった。俺はトレーニングルームにいた。
「おはよう、ヴォイドちゃん」
リザが俺に話しかけてきた、大概任務に関しては彼女から聞くことが多い。他にはシィズからも聞くことはある。だいたいその2人だな。俺に任務を言いに来るのは。
そう言えば俺は特に何もされたことはないが、ここの連中、時折リザに強引に部屋に連れ込まれて夜の相手をさせられることがあるとか言っていたな。そうとう嬉しそうにしてたから、本当の事だと思うが・・・俺の前ではいたって普通の女性に見えるんだが。
今日も変わりなく任務があるんだろうな。
「あぁ、おはよう。で、今日の任務は?」
「今日はね・・・ひゃぁ!!」
リザは急に体をビクッとさせた。何だ急に?
「やぁやぁ!リザちゃん!!相変わらずいい尻してるねぇ!!それに・・・」
「か、カラスちゃん!?や、ちょ!!」
「あー、おっぱいも相変わらずだ~、いい張りしてるぅ~」
誰か、というか女の子?とりあえず仮面を着けた少女が急にリザに後ろから抱きついている。抱きつきながら胸を揉んでいる。
「どっせーい!!」「のわわ!!!」
リザはその子を投げ飛ばした。その子は見事に空中で一回転し、壁に叩きつけられた。
「ふぅ・・・」
「何今の音!?ってあ・・・」
シィズが血相を変えてやって来た。そしてしばらく周囲を眺め、どうやらすぐに察したようだ。このカラスちゃんとか言うやつのこの行動は結構浸透してるんだな。
「お~、しずっちもおひさ~。あんたも相変わらずの乳無しだねぇ」
「余計なお世話よ!!」「あひゃぁっ!!」
シィズは壁にへばりついてるその子にさらに追い打ちをかけて今度は完全にめり込んだ。
「・・・おい、大丈夫なのか?こいつ・・・」
『問題なし!』
シィズとリザは声を合わせた。
「あや~!あんただけだよぉ、あたしをこんなに心配してくれたのは!!」
あ、こりゃ大丈夫だな・・・ってか、なんで足まで絡めて抱きついてんだこいつは。
「あー、柔らかい女の子の体もいいけど、こっちもこっちでいい感じの弾力。胸板もいい感じで・・・お兄さんいい体してるねぇ。そういや・・・お兄さん誰?」
「・・・ヴォイド ロドリゲス」
「あ~!!話に聞いてたあの!」
カラスちゃんはひょいと俺から飛び降り俺を仮面越しに見ている。目が見えないから分からないが、とりあえず俺を面白おかしく見ているのは間違いない。
「で、何の用なのよ。あなたの任務は・・・」
シィズが苛立ち気味に尋ねた。
「お~、そうだったそのことだわさ。交渉、やっちゃったんだZE!!」
カラスちゃんは元気よく親指を上に立てて前に突き出した。
「へぇ・・・やっちゃったねぇ・・・」
リザが少し怖い笑顔をしている。その直後だった。
「何、元気に、任務の 失敗 報告してる の よーーー!!」
「んにゃあああああああああいい!!」
リザはその親指を掴んで駄目な方向に曲げたと同時に、カラスちゃんをもう一回吹っ飛ばした。
「あんた、何やったのか分かってんの!?あなたの任務はあの子たちをこっち側にすることでしょ!?」
ん?あの子たちって、俺のターゲットの事か?
「おいリザ、どういう事だ?こっち側にするって」
「あ、あぁそう言えば伝えてなかったわね。あなたがしばらく本来の任務を行わなかったのは、もしかしたらターゲットをこっち側につけられるかもっていう判断が下って、それでこのカラスちゃんが仲介役というか交渉人としてきたんだけど・・・案の定、やらかしちゃったみたいね・・・あ~あ、麗沢ちゃん結構私好みだったんだけどなぁ、今度会ったらデートの約束もしてたんだし」
そういやリザは、一度俺の最初のターゲットと接触してたんだったな。それでやたらとあいつの事を気に入っていたが・・・ただのデブだったよな。悪運はすさまじかったが。リザの好みはあれなのか・・・そう言えば、この間連れ込まれたとか言ってた奴も、そこそこの体型を・・・
「そっ、あたしが仲介役として来たんだけどさ・・・あのバカギツネがやらかしてねぇ、それがやっぱり膨らんじゃって、あたしじゃどうしようもなくなっちゃったのさね」
カラスちゃんは何事もなかったように起き上がって話をつづけた。なんなんだこいつ・・・
「それで、あたしがこっちまで戻って来たのはあんたらに新たな任務を言うため。えっと・・・しずっちにリザちゃん、あ、ジンちゃんもいたんだ」
後ろを振り返ると、完全覚醒者の一人であるジンが立っていた。
「ここに来いと言われたんだガ、まさかお前がいるとはネ」
「んで、あとは・・・ピーちゃんはっと」
「ここにいる。一体何の用なんだ?急用って」
イーサンもやって来た。てかピーちゃんってなんだ?あ、ピークシードからか・・・
「おけおけ、じゃ後は、ろどりっちと・・・ありゃ?ねぇねぇろどりっち、あのきゃろちゃんどこ行ったの?」
・・・あ、ろどりっちって俺の事か。どこから来たそのネーミングは・・・で、きゃろちゃんは・・・キャロットか
、日本のお菓子じゃねぇんだから・・・
「きゃる?」
「いつの間に来た?」
「きゃるぅ!!」
キャロットは一枚の紙を俺に見せた。そこにはここに来いと書かれていた。それを持ってキャロットは来たらしい。
「とりあえずこれで全員だね。ディエゴっちとびりりんは既に動いてるからねぇ。後、えふぁっちもなんかやってるみたいだしね。そんで!!こっから重要!!戦いが始まるよ!!敵はあの3人!!完全覚醒者全員で一気に叩くってさ!!」
「は!?どうしていきなり!?」
意見はごもっともだ。急すぎるだろ。
「びりりんにバカギツネ、ディエゴっちたちもその為に動いてるんだよ~。あんたらだけ置いてけぼりって訳ぇ」
俺の日常は、終わった。これからが戦いだ。俺の望んでいた戦場がやって来る。
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雨がざぁざぁと降りしきるとある荒野、2人の男が対峙していた。
1人は蛇の仮面を着け、フードを被った男。男は巨大な剣を手に持ちもう一人に向ける。
対するもう1人は、長く黒いコートを着た少年。少年は刀を腰に携え、今すぐにでも抜けるように構えている。
『さぁ、行くぞ、レイ・・・はぁぁあっ!!』
「せいやぁぁぁああああああああああ!!!」
両者は一気に間合いを詰めた。そして少年は右足を踏み込み刀を抜く、白く輝く刀身が現れると同時に凄まじい衝撃があたりを包んだ。
「うおおおあああああ!!」
『ぬぅおおあああああ!!』




