桜蘭 一難去ってはまた絶望
なんで、次から次へとこうも面倒はやって来るのか。
俺がジンとの戦いの後、目を覚ましたと思ったら、いきなりラスボスが降臨しやがった。
そして零羅ととんでもない戦いを繰り広げたと思ったら、今度は俺と戦いたいと。
「零羅!大丈夫ッスか!?」
「は、はい・・・なんとか大丈夫です。助かりました、ですけど・・・」
零羅はさらにやって来た変わった女の子との戦闘に入った。
「これで、君の実力を確かめれる。さぁ、坂神 桜蘭君、君の実力を見せてくれ!」
っ・・・テンション上がってるとこ悪いッスけど、俺今武器がないんだよ。前の戦いでセブンスイーグルはぐにゃぐにゃになっちゃったし。このリボルバー拳銃は弾無し・・・
それに加えて相手のディエゴは肩まである巨大なあの波打った剣、フランベルジュを持ってる。さらに零羅を軽くあしらうほどの実力を見せつけられてる・・・どうしよ・・・
「どうした?来ないのか?」
動物の力を借りようにも、こいつ相手じゃ動物を危険に晒しちまう。でも、やるしかないか、俺の力量を信じるんだ。動物たちが危険になったときは俺が守ればいい。
「行くッスよ・・・ハイエナ!!」
俺は近くで見ていたハイエナを呼んだ。
『うぇえ!?俺!?』
『すまん!!力貸して!!』
『まぁ、いいけど・・・こいつやべぇよ・・・』
俺はハイエナを使おうと思ったが完全にビビってる。モノは試しと襲い掛かったが、完全にあしらわれている。
『やだ!もう帰りたい!』
駄目だこりゃ。そういやハイエナは群れで行動するんだったっけ。一匹だけではどうにも出来ないのか。こいつはぐれたのか?
『もう帰っていいッスよ。群れは多分南にいるっぽいッス』
『え?南?あー!!みんないない!!ふぇー!!!こんなとこで見てるんじゃなかった!!じゃ俺はさいなら!!群れの事教えてくれありがとさーん!!』
ハイエナは漫画みたいに足を回転させて一目散に逃げた。
「・・・今のは、一体何だったんだ?」
今の残念な結果で、凄まじい気迫を醸し出していたディエゴも目を点にしている。
「これが、君の能力で いいのか?」
「まぁ、間違ってないッスけど、間違ってるッスね・・・」
「・・・そうか。ん?坂神 桜蘭君、君は何故自分で戦わない?今の、どうやらハイエナを使って俺を追い込もうとしたみたいだが、同時に君が攻撃をすればあんなビビって逃げる事もなかったんじゃ・・・」
やべ、勘づかれた?
「まさか、坂神 桜蘭君 君武器はどうした?」
やっべぇぇぇぇぇ・・・どうしよ どうしよ、零羅は滅茶苦茶真剣に戦ってるし、あー、流血光刃あんときもらっときゃ良かったか?
「まさか、無いのか?あのセブンスイーグルは・・・」
俺が必死に悩んでいるところ、俺はディエゴに一瞬で間合いを詰められしまってあったセブンスイーグルを奪われた。
「・・・こんなことになっていたのか・・・ハハッ!これは済まない事をした。まさかこれを破壊してしまうとは考えていなかったのでね。どうりで君は動けないわけだ」
ディエゴは懐から何か取り出し、俺に向かって投げた。
「うお!なんスか!?」
俺は投げられたものを見た。やたらと巨大なリボルバーだ。
「その銃は世界最強のハンドガン、デザートイーグルと対をなすとも言われるM500をベースに制作した銃・・・MS500・T、俺が持つもう一つの武器だ。これを君に貸そう。こいつはセブンスイーグル同様、魔法を撃ち出すための銃だ。これならばまともに対決が出来るんじゃないか?」
敵の情けを受けるなんて・・・すっげぇ恥ずかしい話だけど、ここで見栄張っても仕方ないか。
「ここで情けなどいらぬ!!ってセリフは、ナンセンスッスか?」
「だろうね、もしそれをするのならば、俺は今すぐ君を殺すだろう」
俺は銃を握った、そして電撃の魔法を銃に送り込む。正直な話、この銃、前のセブンスイーグルよりもはるかに使いやすいかもしれない。
セブンスイーグルは元はガスガンを滅茶苦茶に改造して作った物。銃自身はそこまで重くはないのだがあの派手な装飾が邪魔でグリップが握りにくかったり、ブレードを装着した際は重心のバランスが少し変で扱いづらかった。
だけどこいつは銃単体はかなり重いけど、グリップが手に馴染む。そして滑りにくい。そしてこのシンプルなデザインのおかげで非常に狙いやすい。
「スイッチ、入ったようだな。では行くぞ・・・坂神 桜蘭君!!」
ディエゴは巨大な剣を振り構えた。
どこから撃つべきか・・・こいつと戦う方法はないことはない。俺の視力を活かした先読みだ。まだ零羅にも通用したことはないけど、俺自身が戦うにはこれを極めなくちゃいけない。
「はぁあ!!」
素早い、だけどシルフどころか三上よりかは遅い。これならば行ける!!
俺は体勢を低くした、そして剣を振り下ろすタイミングで飛び上がりディエゴの上を取る。そして一発、電撃を発射、俺は反動で更に飛びあがり間合いを取り着地した。
「どうッスか!!」
「いや、まだまだだ。坂神 桜蘭君。だがいい線は行っている、流石は三上 礼君を倒しただけはあると言っておこう。では今度は俺からだ。この剣捌き、よけきれるか!?」
いや、行ける!!シルフとやりあっただけはあるのか?見切れる。ディエゴの動きが分かる!
「ここだ!!」
俺はディエゴの胸元に一発、撃ち込んでやった。やったぜ!!
「ぐっ・・・流石に手加減しすぎたかな。君の成長速度は俺のはるかに上を行っていたみたいだ」
お褒めの言葉どうも。だけどあんたの言い方、明らかに俺は弱いから手加減しても勝てるだろうと思ってるッスよね。こう見えても結構必死に努力したんスよ。
「さてと、少し体も温まった頃だ。今度は俺の戦いを見せてやろう」
ディエゴは間合いを取ったままその場で剣を横に振った。
「はぁ!?」
ディエゴが剣を振った衝撃で地面が一気に吹き飛んできた。俺は横に飛んで避けたが間髪入れづに次々ととんでもない威力の斬撃が飛んでくる。
確かに見える、避けれる。だけどこりゃ、威力が並外れてるじゃないッスか!
「俺も神和住 零羅君同様に、流派の名はないただの我流だが、剣術に魔法を合わせた独自の技を持っていてね、俺は風の魔法が得意でそれを駆使しているのさ。さぁ、俺の間合いはここからでも十分だ。間合いを取って戦う君はどう出る?」
くそ・・・、どうあがいてもまだ実力の差は天と地か・・・この銃は前にも増して使いやすくて威力も覚醒のおかげかかなり上がってる。だけど、あんな地面を吹き飛ばすほどの威力は持ち合わせてはいない。
やっぱり動物の力を借りて戦うか。三上の時みたいに見ている奴らの声を聞いて、先に反応する。それと俺の視力の見切りを使い分けて・・・でも、見切りはもう出来てんだよな。後はあのとんでも威力をどう避けて対応するかなんだよ。
やっぱもっと威力を上げて・・・
俺はありったけの魔法を込めてそこから攻撃に移ろうとし、集中する為に一旦銃のハンマーを下げた。
「いてっ!」
手元に何か刺さった。針? まさかこの銃って!?
そして俺はある事に気が付いた。この銃がリボルバーな理由もここで分かった。この銃の魔法を溜めているのはこの薬莢だ。一発一発の弾丸が魔法を溜める役割を果たしているんだ。うまく使えばナターシャ同様に様々な魔法を瞬時に使い分けれる。
さらに、このハンマー。流血光刃と同じだ。血を使った魔法は威力が上がる。この銃は瞬時に高威力の魔法を撃ち出せるようになってたんだ。
俺はこの銃を理解した。後はディエゴの攻撃を理解する事・・・撃ち込むタイミングはどこにあるのか。
「さぁ。まだまだ行くぞ!!」
ここしかない!!俺は真っ向勝負で風の斬撃に電気の弾を撃った。
「なに!?」
「うわっ!!!」
互いに衝撃で吹き飛んだ。まさか相殺するつもりだったのにこんなんになるなんて。ってか、あれ?あの銃は?
手元を見ると銃がなくなっている。遠くに弾き飛んでしまったんだ・・・だけど、ディエゴのあの剣も同じように吹っ飛んだ。
「うん、中々だ。坂神 桜蘭君・・・君は戦うたびに強くなる」
ディエゴは起き上がった。そして俺も起き上がる。互いに武器はない・・・あるのは身一つのみ。
「お前らを潰すためにも強くならなきゃいけないんでね。小さなことでも学んでかないと置いてかれるんスよ」
「良い心構えだ。だが、これは学べるかな!?」
ディエゴは拳を突き出す。俺はそれを横に受け流す。
零羅との手合わせを思い出せ・・・相手の呼吸を読んで、受け流し、相手の隙に打ち込む。銃であってもなくても、俺にとってこの戦い方はどの距離でも使える有用な技。ま、まだ技とは到底呼べないけど。
俺は弱い電撃を手に纏い張り手っぽい技を繰り出した。腕を掴まれる、今度は見よう見まねの巴投げじゃあ!!
手が離れディエゴは後ろに飛んでいった。俺はすぐに起き上がって後ろを向く。ディエゴはもう体勢を立て直している。すかさず俺は構えディエゴの攻撃を受け流す。
「近接戦闘、苦手じゃなかったのか?」
「接近戦は俺の弱点ッスかね。こう見えて必死こいて練習してたんスよ?実戦で使うのは初めてッスけど、イメトレもあながち意味はあるんスね」
俺は零羅にも対応できるように一応零羅が一人で練習してるときも零羅の動きを観察してた。そして俺の足りない頭で必死こいて零羅の技に対応する方法を考えてた。それで何となく考えたのがこれだ、
ディエゴの攻撃は零羅同様に直線的だ。力強く破壊的。俺はそれだったら横から攻撃できないかって考えてた。似た技を持つ者同士で助かった!!
「うおおおおお!!」
俺は両手に電撃を纏い、ディエゴを突き飛ばす事に成功した。
「っんぐ!!っと・・・これは意外過ぎた。俺もスイッチが入ってしまったよ!!坂神 桜蘭君!」
なんか、ヤバい・・・状況が一瞬で覆った、そんな恐怖が俺を襲った。
ディエゴは横に手を出すと、風を操り遠くに刺さっていた剣を飛ばし自分の元に戻した。そして軽く剣を振った。
「でええぇぇぇ!!?」
衝撃波で地面が吹き飛ぶ。俺も吹き飛ぶ。
「ってええええい!!」
俺は飛ばされたと同時に銃を拾い上げた。ハンマーを起こし一発撃ち込む。
「甘い!!」
俺の銃とディエゴの剣がぶつかり、鍔迫りみたいになった。だけど、とてつもなく重たい一撃で俺の足が地面に食い込んだ。
「っぅおおおお!!」
俺は無理やりそれを押しのけ電撃を撃ち込みまくった。ディエゴは直撃を受けているが笑いながらそれを受け止めている。
「また威力が上がったようだな!!素晴らしいよ!!坂神 桜蘭君!!」
キモッ!!ドMか貴様!?
そんな事を思っていたら強烈な一撃が飛んできた。俺は体をひねって回避するけど、ヤバい体がまだ硬いせいか、変なとこ捻ったかも・・・
自分でやっといて激痛が腰あたりに来た・・・まさか、ぎっくり腰って奴か!?この歳で!?覚醒者なのに!?って腰が動かないんですけど!!
こうなったら・・・俺は前方に向けてハンマーを起こし炎を撃った。衝撃で俺は後ろに飛んだ。
「緊急回避ぃぃぃ!!」
これ以上はヤバい、零羅の方もどうなってるのか分かんないし、ってかなんだ!?零羅の方煙で何にも見えない!!
「ふん!!」
ディエゴは炎を吹き飛ばして出てきた。
くそぅ、もうちょっと実力を付けてれば!!
・
・
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「プラズマキャノン!!」
なんだ?今の、てか今の声誰?俺がそんな事を考えた一瞬俺の横を光弾が飛んでいき、ディエゴを吹っ飛ばした。
「なんだと!?」
ディエゴはとりあえず見えなくなるまで飛んでいった。
「桜蘭さん!!掴まってください!!」
「零羅!?」
後ろの煙の中から零羅の声が聞こえ、俺は咄嗟に手を出した。そして俺は手を掴まれて一気に引き上げられた。
「ん?なんだぁ!?」
俺は今、何に乗ってるんだ。バイク?
煙を抜けた。隣にはランサーが並走している。
「大丈夫ですか?」
「ま、まぁ・・・ってかどうなってんスか?」
俺はサイドカー付きのバイクに乗っているみたいだ。
『こいつが助けに来てくれたんだよ』
ランサーの言葉を聞いて俺は運転席を見た。そこにはゴーグルをつけたダボダボのつなぎ姿の少年っぽいのが乗ってた。そばかすが目立つ、少年だな・・・
「オッス。俺っち、ジュニアってんだ!!にしても危ないとこだったなおい!!あいつらなんなんでぃ!とんでもねぇバケモンじゃん!!」
俺は通りすがりのこの少年に助けられたのか・・・でも、さっきの光弾は何だったんだ?
「俺っち!向こうの湖のほとりで鍛冶屋やってんの!!チュニアって聞いたことあっか!?俺っちあいつの孫なんや!!」




