死んだなって思った。
あ、死んだ。
って、そう思った。
誰だってそう思うだろう。
乗っていた飛行機が爆発したんだ。
とても痛かったなぁ。
体が焼けて、破片がめり込んで、血がずっと流れていて。
気がついたら、赤ちゃんだった。
うん、転生ってやつなのだろう。
そのことに気がつくまでに、大した時間は要さなかった。
何故か、なんて知る由もないけど、俺は異世界に転生したらしい。
特に、興奮や高揚なんてものはなかった。
前の人生に不満を抱いていた訳じゃないし。
異世界とか、魔法とかハーレムとか、そういうのも、あんまし興味なかったし。
今世の両親は、普通に優しかった。
平民だの貴族だの、貴族制のある世界ではあったけど、そこまで貴族が絶対という訳でもなかった。
裕福ではないにしろ、貧困である訳でもない。
怒られない程度に、ある程度の努力だけして、遊び回った。
魔法とか魔術は、かなり便利なものだった。
ゲームの中の魔法は、いつも攻撃ばかりしていたけど、そればかりではない。
荷物を軽くする魔法だったり、水を飲み水にする魔術だったり。
そういうのばっか覚えて、俺が習得している魔法で攻撃性があるのは、一個か二個くらいだ。
転生してから、適当にのらりくらりと過ごして、
10年の時が経った。
その頃くらいには、この世界がゲームの中の世界であることに、気がついた。
『エターナル・ラインズ』
確か、こんな名前のゲームだったと思う。
意味は、永久に分岐する物語の線路、みたいな。
実際に永久だった訳じゃないけど、膨大な数の分岐が用意されていて、人気なゲームだったのを覚えている。
俺が転生したこの世界。
それは、あまりにもこのゲームの世界と、酷似していた。
ていうか実際、主人公いたし。
といっても、ゲームでは描写されなかった所は、現実になると普通にあったし、全てが全てゲームである訳でもないらしい。
まぁ、だからといって、俺が何かやるとか、そんなことはないけど。
適当に楽しく過ごして、寿命が尽きるまでを生きて、最期を迎える。
2度目の人生なんだ。
事故死する人生ではなく、幸せな人生を歩もうと、心に決めていた。
この世界は、危険がたくさんあった。
森に入れば、魔獣に襲われ、国を出れば、山賊や他国の刺客に命と金品を狙われる。
本来なら、前世よりも、命が重んじられるはずの世界だった。
けれど、実際はむしろ逆で、命の価値は、前世より軽んじられていた。
それこそ、子供が一人で遠出するのも、許されるくらいに。
俺は、幸せに生きる。
安寧を手にし、遊んで、気持ちよく死のう。
そう心に決めていた。
──彼女と出会う、その時までは。
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