ゼロイン調整と狙撃
ベランダに出た山中はまずはその目で周囲を確認した。
「うん…、やっぱ、いるんだ…。」
先ほどの化け物が5匹、山中が見下ろす下の道路にうろついていた。
「これ処理しきれるかな…。初弾当てないとあいつら暴走しかねんし…。それにどうやって餌を察知してるのかも不明だ…。血の匂いか?音か?それともシンプルに目で見てんのか?」
よくわからないながらも山中はM40A5を構える。
「スコープのゼロインやらんとな…。どこか丁度いい的がないものか。」
周囲を見渡すと60m先くらいに街灯を見つけ、その蛍光灯を的に決めた。
「とりあえずスコープのレティクルがこいつの弾道とどれだけずれているか確認だな。あと消音効果もついでに確認しよう。」
山中はボルトアクションし、照準を定めて引き金を引く。
「ピスッ」
「おお、意外と音が小さくなるもんだな。長くて太いやつ買って正解だった。やっぱり求めるべきものはロマンだな。」
過去実用性よりかっこよさを求め、長くしようとこだわり、ガンショップで買った自分を褒めながら、着弾地点を見つけ、レティクルの調整を弾道の直線上に真っ直ぐ来るように合わせ、もう一度引き金を引く。それを繰り返して、ようやく蛍光灯が割れた。
「よし、こんなもんか。奴らは…、まだこっちには気づいてないみたいだな。また何か試せる時に大きい音とか出したら、血が入った何かでも置いてみたりして調べないとな…。」
山中は一番遠い一体を照準に合わせ撃ち抜く。
「ピスッ」
「ブチュ、ドサッ」
「ジャキ、チャリン」
次弾装填を終え、スコープでヒットを確認。
「開幕ヘッドショットかぁ。これは気持ちいい。」
山中は昔やったPCの狙撃ゲームを思い出す。
「あれ懐かしいなぁ。絵はしょぼいけどやりがいはあったなぁ。」
思い出に浸りつつ、次のターゲットに照準を合わせようとすると、他の4匹が倒れた1匹に向かって走り出している。
「うわ、あんな感じに迫られたらやばいな…。これは今後の計画の優先順位も考え直さなきゃな…。」
山中はそう呟きながら、集まった4匹に照準を合わせ撃ち抜く。
「ピスッ、ジャキン、リンリン」
次弾装填して空薬莢が排莢され、転がる音がなる。
「すげぇ。まるで米海軍特殊部隊の伝説の狙撃兵になった気分だ。」
狙撃の楽しさを感じつつ、山中は化け物の習性を知る。
「奴ら、俺がさっき狙撃して血を出させたやつに真っ先に向かってるな…。血の匂いに釣られてるのか…。」
願っても無い情報を獲得できた山中はそのままスムーズに残りの3匹を処理した。