メンタルケア
「どうしました!?」
高橋と鷹塚が山中達の様子を見に来た。そこには泣き崩れた駆と沈痛な表情をした山中がペットボトルから溢れたお茶や水でびしょ濡れになっていた。
「高橋さん…。すみません、自分のミスでした…。駆君にとても怖い思いを…。こんなはずじゃ…。」
高橋と鷹塚は水以外に赤いものも流れているのと駆の腕の握られた跡を見て察した。
「そうですか…。駆君、立てるかい?」
高橋は駆の元に膝をついて問いかける。しかし駆は泣きぐずるばかりだ。
「怖かっただろう。死ぬかと思っただろう。腕が引きちぎられると思っただろう。パニックになるのは当然だと思う。でも、この先にもっと怖いことがあると想像してごらん?」
駆は泣きながら高橋の方を見た。側から見れば何言ってるんだこの人はというような顔だった。
「もし君がしばらくここに留まっていたとしよう。時間が経てば経つほど、向こうは心配にもなるしあの化け物達も寄って来るかもしれない。」
「っ…。」
「そうだね。怖い思いをさせたのは僕ら大人組の責任だけど、もう取り返しはつかないんだ。駆君が賢くて本当に助かる。ありがとう。」
駆は高橋の腕を両手で持ち、立ち上がった。
「駆君、ごめん。次は必ずこういうことがないようにするから。」
山中は頭を5つ以上離れてる年下の男に頭を下げた。
「山中さん、もう大丈夫です。腕のあとはまだ残ってますけど、こうしてかろうじて腕は動かすこともできますし、だんだん元にも戻ってきています。確かに怖かったですけど、山中さんが助けに来てくれなかったことを思うと、気も楽になりました。」
「そう言ってくれるとありがたいね…。」
高橋が声をかける。
「山中さんももう過ぎたことですから、気負い過ぎないようにしてくださいね。次からは、ね?」
「はい。ありがとうございます。」
山中と駆は再び飲み物と食料をバックに入れ始める。




