行動開始
山中が手に入れた鍵で移動を始める。田中の車は健康のためと自転車で通勤していたため、車を持ち合わせていないということだった。
「念のため、私が田中さんを車まで護衛します。奴らは居ないと思いますが、何かあっても嫌なので。それとあとこれも。」
山中はホルスターにしまっていたSIG P226を田中へ渡した。
「え、いや、私銃なんて…。それにさっき山中さんは…。」
「私たちは利害が一致しています。それならば別に渡しても問題ないでしょう。ビジネスライクのつもりでやっていきましょう?」
「え、えぇ、山中さんがそう仰るなら。」
田中は渋々とP226を受け取り、ポケットに収める。
「では、行きましょう。」
山中が先行する形で2人は車まで移動する。
「自分たちで持てる限りの荷物はこれで乗りましたね。軽箱で助かった。」
「ですね、では運転しますが、車はどこに停め直せばいいんですか?」
山中はアパート出口付近の駐車場を指差す。
「あそこの道路に出やすい場所へお願いします。私はもう戻りますのでくれぐれも気をつけてください。奴ら音には反応しませんが、個体差もあるかもしれませんので。」
「わかりました。山中さんもお気をつけて。」
2人はその場で別々に行動する。
山中は2人で持ちきれずに部屋へ残してきた荷物を田中が停める駐車場まで運び出し、田中は車を駐車場へ停めて、残りの荷物を車に乗せる。お互いの役割を頭の中で再確認した。
階段とエレベーターを有効活用し、山中が遅くなってもそれを田中がフォローできるように、2人なりになるべく効率よく済ませる方法を考えた。というより、片方が暇になるような状況を避けたとも言える。
このまま何事もなく終わると思いきや、神の慈悲はなく状況は変わる。




