第五十四話 戦争①
現在、人間側はメリクルス公爵自慢の海軍と、カーミラ公爵自慢の空軍が海を渡っていた。
「このまま順調に行けば魔界は我々のものですな、カーミラ公爵」
「そうですな、メリクルス公爵の素晴らしい統率のとれた海軍と我が自慢の飛空挺達がいれば、魔族など大した事はないでしょう」
だが、彼らの浅い考えなど水害――リヴァイアサンには通用しない。
メリクルスの海軍はリヴァイアサンが海から出てきた衝撃だけで乱れ、沈没する船も相次ぐ。
そして飛空挺の方もリヴァイアサンが口から出したアクアショットで墜落していく。
海軍も空軍も壊滅状態の中、死者がいなかったのは、海に落ちた人間を人魚達が助けていたからである。
これにてメリクルス公爵とカーミラ公爵は戦闘不能。
◆◆◆
現在、人間界アスファルト帝国を守る城塞アレキサンダー前では、激しい戦闘が繰り広げられていた。
海軍と空軍が壊滅状態の為、容易にセメント大陸に上陸できた皇帝、皇后、ケルム宰相、勇者と鵺、エスナ、ランガ、シリウスは、反乱軍と合流し、アレキサンダー城塞まで来たはいいが、鉄壁を誇るマイルズ公爵軍の固い守りに阻まれ、さらに上からはバハムト配下の竜達が襲いかかってきていた。
竜達は鵺に乗った勇者とシリウスによって翻弄され、下の人間達の戦いは皇帝や皇后の激励もあってかマイルズ軍を押し始めていた。
その隙にエスナとランガは分裂体(能力は半減する)となったシリウスを連れてアスファルト帝国の城内に侵入し、竜王の卵を横に置き、玉座に座るスルト·アスファルトと対峙する。
「やぁ、思ったより来るのが早くてビックリだよ。でも残念卵には相変わらず札が貼ってあって、こっちには竜王がいる」
皇太子の斜め後ろから黒髪の大男が前へ出てくる。
「この竜王に勝てると思っているのか?」
「傲慢だな、そちらこそこのシリウス·ブラッドリリーに勝てると思っているのかな?」
◆◆◆
一方魔界でも激しい戦いが始まっていた。
後方に控えていたリリス軍二万が突如裏切り後方から攻撃し始めたのだ。
「リリスはん、これはどういうことですのん?」
額に青筋をたてながら裏切ったリリスに問うキョウカ。
「あなたが大好きな裏切りを真似しただけですよキョウカ」
凛と佇み標的を見つめる。
「あなたは私と踊って頂きますよキョウカ」
◆◆◆
後方からの攻撃で魔王軍が混乱しているうちに冬太とみゆきとデッカはトドメントに上陸する。
「リリスさんは事前に言っていた通りに行動してくれたみたいだ。よしじゃあ頼むねみゆき!」
冬太の声を聞き、みゆきは大きく咆哮する。
すると地面に千以上の赤い魔方陣が浮かび、そこから千体以上のレッドビーベアが出現する。みゆきは自分の配下を召喚する事が出来るのだ。
千体以上のレッドビーベアにカリオンが率いる軍が尻込み、レッドビーベアに蹂躙されていく。
「くそっ! レッドビークイーンベアがあっちにいるなんて聞いてないぞ。しかもリリスが裏切るなんて冗談じゃねぇぞっ!!」
「私が行こう、お前には軍を立て直してもらわないといかん。頼むぞカリオン!」
「了解しました。軍の立て直しは俺に任せて相手に地獄を見せてやって下さい」
軍の立て直しをカリオンに任せて魔王はレッドビーベアを殲滅しようと動くがそこに邪魔が入る。
「現魔王よ、お主の相手は初代魔王である我がするとしよう」
「初代魔王か。道理で物凄い力を感じる訳だ。だが例え先達としても、その先に行かせてもらうぞ!」
魔王の相手はデッカに任せて、カリオンの軍はみゆきにまかせて、キョウカの相手はリリスに任せて、今冬太は首輪を外した魔力全快のベヒーモスと対峙していた。
「ベヒ子、こんな戦いはもう終わりにしよう? 僕達は無事だったんだ。それに優しい君がこんなことをしたいとは思ってないとわかってるから。魔王は絶対に誰も死なない方法で止めてみせるから魔王を止める為に力を貸して欲しい!」
「ベヒー?」
「うん、本当に誰も死なないよ」
この冬太の言葉でベヒーモスの動きが変わる。冬太達から方向転換して魔王軍に突撃したのだ。
「ふざけんじゃねぇ!こうなったらこのカリオン様が魔獣王の名を頂いて、ぷぎゃ!」
言い終わる前にベヒーモスに吹っ飛ばされてカリオン戦闘不能。
カリオンがいなくなった魔王軍は乱れレッドビーベアに蹂躙されていく。
そんな中、魔王対魔王の戦いはの対決はお互い譲らずの膠着状態。
そこにベヒーモスに乗って冬太が魔王を止める為向かっていく。
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