53.リア・ル・アムネ
「ヴィプス……。なんで?」
セガトリスが魔法陣の痕跡を解析し、現場に到着するとそこには、ヴィプスがいた。
そして、その隣には茶色のマントの男。
おそらくゾンクス員だろう。
「レイス君か。まさか君がここまでたどり着くとはね。お見事だ。そしてこうなってしまうと我々の計画は破綻したも同然だな。だが我々も黙ってやられるわけにはいかないな」
「我々って、やっぱりお前はゾンクスとも繋がっているのか?」
「何を言っているんだ? そもそもゾンクスもメーレーンも作ったのは君じゃないか。我々は君の意志を継いでいるに過ぎないよ」
「そんなわけ……」
「ないと言えるか?」
そう。
俺には記憶がなかった。
しかしヴィプスの言葉は、どうしても嘘のようには思えない。
その瞬間、ひどい頭痛に襲われれひざから崩れ落ちる。
「レイス。そやつの言葉は信じなくて良い」
振り返ると、銀髪に赤目をした妙齢の女性がいた。
その雰囲気はどことなくリアを思わせる。
「リアなのか?」
「そう言えばこの姿は初めてか。わらわはリアだ。レイス、お前はそこで座っておれば良い。ヴィプス、お前はお痛が過ぎた」
リアはそのまま堂々と歩き、ヴィプスの前に立った。
「リア様。私は先代の、レイス様の意志に従いここまでやってきました」
レイス……様?
「やはりお前が今のマスターか。ビクビク震えてた小物が言うようになったな」
襲いくる頭痛は、次第に激しさを増していった。
「リア様、私は力を手にしました。そのおかげで、今ではこの地位も手に入れました。私は先代の言伝を守り計画も進めています」
「お前は何も分かっていないようだな。わらわはずっとお前達を監視していた。自らの魔力を垂れ流しながらな。それでもマスターが誰かまで突き止めることが出来ないでいた。でも、そこの変な髪の男のおかげでここまでたどり着いた。今日で終わらせようか」
指差されたセガトリスは、居心地悪そうな顔をしながら俺の方に向かってくる。
「今のその弱体化したリア様に私が止められますかね?」
ヴィプスはその言葉と共に、おもむろに湖に手を突っ込んだ。
そして、湖からは巨大な水の龍のようなものが湧き出し、リアに向かって突っ込んでいく。
「わらわに対して龍か。笑わせる」
しかし、その龍はリアの手前で失速し弾け飛ぶ。
「何が起こった?」
「まさか、この程度でわらわに勝てるなどとは思っておらぬな? まあ良い。色々と聞き出したいから死ぬなよ?」
リアは終始無言を貫く茶色のマントの男と、ヴィプス両方を同時に殴りつける。
二人は反応しきれずに吹き飛んだ。
「君、大丈夫か?」
リアに見入っていた俺を、セガトリスは回復してくれていたようでひどい頭痛はいつのまにかおさまっていた。
「ああ、ありがとう。それよりリア、色々聞きたいんだが」
「気になることは多いだろうが、レイス今は会場に行け。そろそろ会場も鎮圧した頃だ。やらないといけないことがあるのであろ?」
「そうだな。後で詳しく聞くからな」
こうして、様々な疑問が残りつつも、宝探しの会場に戻ることとなった。
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