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俺の山でデスゲームをするんじゃない  作者: 鍵っ子
俺が管理する山でデスゲームをするんじゃない
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デスゲームではおなじみのハンター

 ――とはいえ、怒ってる場合じゃないか。何だアレ? コスプレ……にしちゃ迫力あり過ぎんだよなぁ。ロボットか何かか?


「ぐしゅ……るぅぅぅぅ」

「ひっ……な、なんか口から垂れてる……生きてる、化け物だ……っ!」


 うん、間違いなく生きもんだな。問題は、こんなん野草取ってる最中にも見かけた事ないって事なんだけど……持ち込まれたのか? 待てよ、さっきのコンテナの中身……もしかして此奴か?


「ご、牛頭さん……あ、あれなんなんですかあぁでも隣に居るのもアレと同じ位ファンタジーな人だ……頭が痛いよぅ」


 失礼な。アレと一緒にしないで欲しい。こちとら血統書付きのギリシャ人である。まぁそれは兎も角として。明らかに合法的なもんじゃないし、うん。確保安定か?


「――」

「ど、どうしたんですか急に腕グルグル回して、え? え?」


 山に不法投棄、それに外来……生物か? の放流。証拠品は出来るだけ抑えておかないといかんし。良し、やるか。あ、そうだそうだ。


「ど、どうして前に……あ、戻って来ていやぁあああなんで持ち上げるんです持ち上げるんです私何かしましたか!? ひぃぃっ……い? あれ?」


 まぁ、危なくないように木の上にでもいてくれ。落ちないようにね。


「……あ、危なくないように、乗せてくれた、のかな。ありがとうございます?」


 っし、やりますか。懐かしい。実家で暴れ牛を抑え込んだのが何年前だっけ……それいらいかな。野生動物と喧嘩なんざ。いやあれ明らかに野生動物じゃないけど。 おっしゃ来い!


「ご、牛頭さん構えてないで逃げた方が!? アレ危ないですよ!? 絶対」

「ぐしゃあああああああっ」

「ひぁああっ!?」


 いよいしょっ! おーおー、良い力してやがるが。あんまり凶暴過ぎるのは問題だな。山の生態系が崩れる原因になっちまう。野放しにゃあ出来ねえな。


「ぐるしゃああおぉお……おお……お」

「う、うぅ……あれ? 牛頭さん、ぜんぜん、ビクともしてない」


 おし、首抑えた……逃がさねぇぞ。大人しくしててくれや。っと、あんまり暴れんな、余計な怪我するぞ。ちょっとお前を放した親玉の逮捕に協力してもらうからな。


「ぐ……ご……ぅ」

「く、首……すご、簡単に、締め上げちゃってる」


 ……落ちた、か? うん。もう暴れねぇし、大丈夫だな。うし、荷物に確かロープ合ったから、それで縛れば行けるか。グルグル巻きにしないとなぁ。


「……普通だったら、山の中であんなのと会ったら、もうおしまいだ、って思うけど。けど……あれなのかな、牛頭さんには不良さんとかそんな扱いなのかな」


 不良、っていうより近所の……躾のなってない野犬みたいな感じか? 一番近い感じを言うと。まぁあんなの会った事ないからなぁ。見た目すっごい化け物だったし。あんなおとぎ話に出てくるみたいな生物って、ホントに居たんだなぁ。


「なんだろう、凄い怖い映画なのに、途中からそれ以上の理不尽で全部が捻り潰されちゃったみたいな……あ、あれ? 私コレ、何処から降りれば……」


 っと、忘れるところだった。俺の体格に合わせて持ち上げちまったからなぁ。よいしょっと。


「あ、すいません……降ろして貰って、ありがとうございます」


 しっかし、こんな奴を何人も登山用の装備も持ってない人が居る山に放すとか。デスゲームってのは至極本気らしいな。俺の山で何をしてくれてるホント。


「……あ、あの。えっと、こんな時に、なんなんですけど」


 ん?


「おトイレって……き、緊張抜けちゃったから……結構……限界で……!」


 ……馬鹿野郎! 嘘だろこのタイミングで?! ちょ、ちょっと待って?! や、山小屋の方に走らねぇと! ええい一気に下山するつもりだったんだがなぁ!




「ありがとうございましたぁ……よかった」


 ホント良かったよ。女子高校生のそんな悲しいシーン誰が見届けたいなんて思うかバカ野郎。お陰で終始お姫様抱っこで猛ダッシュだ。


「えっと、凄い、こう。立派なログハウスですね。ここにお住まい、なんですか? あ、そうなんだ」


 立派と言って貰えるのは嬉しい。まぁ、俺の体がデカいから、人間基準の山小屋だとどうしようもないから、俺に取っては標準サイズなんだけど。これ。さてメールの方はどうですかっと。お、山岳警備隊からメール来てる……ん!?


「――」

「ど、どうしたんですか?」


 ……やっぱりおかしいな。普通じゃない。表に転がしてあるアレといい。やっぱりこの子から、何かしら事情を聴きたいところだけど……ジャスチャーじゃ、流石に限度があるし。詳細を聞く必要があるか。でもジェスチャーで詳細を聞くって……無理だろ流石に!


「……? へ、こ、こっちですか? え、なんで手を引っ張るんですか?」


 スマホとかなら兎も角、こっちは仕事用だから見せても問題はないし。


「えっと、パソコン……?」


 日本語入力に切り替えて……っと。オッケー。


「……『名前は?』……えっと、有馬、喜美っていいます。『どうしてここに?』 そ……その、私、家で寝てたのに、気が付いたら……ここに」


 おっと誘拐案件。あの不法投棄した奴、余罪がどんどん増えていくな。いや、やろうっていうよりは……複数犯、か?



『件名:ご連絡の件に関する事 牛頭八太郎様。連絡の件なのですが、山岳警備隊の何人かが無事遭難者を確保。その際、顔等をマスクで隠した不審な人物を何人も目撃したとの事。遭難者の不自然な格好やその数から考え、関連性があると見て複数犯による何かしらの事件と判断し、警察との連携捜査と相成りました。念のため、ご報告させて頂きます』



 ったく、人の山で何をしてくれているのやら。本当に。


意味深な事が書いてありますが、大丈夫。ギャグ小説ですよ。

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