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俺の山でデスゲームをするんじゃない  作者: 鍵っ子
俺のホームパーティを邪魔をするんじゃない
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幕間:おじいちゃんはどうしていたのか その参

『落ちてきた奴を拾っておくれ』


 ――そう言われた後に始まった、目の前に広がるこの光景を、何と形容したモノなのか……というか、形容したいのだがし難いと言えば良いのか。悪夢でも普通に見そうな光景だなぁ、等と現実逃避寄りに考えている。


『ほれぇい! どうしたどうした! ワシを止めるんじゃないのか! 悪党共! やって見せるが良い! 出来ねば……お主達の後ろに居る者達は砕け散るばかりぞ!』


 老牛が一声かけて腕を振る度に、屈強な兵士が簡単に天を飛ぶ。多分回収し損ねたら間違いなく死ぬと思うので、大人しく拾っている鮫が、そこにいた。


『えっと、これで……』

『最後じゃい! 寝とれぇ若造者!』


 正直、米軍の特殊部隊だ、と言われても普通に信じそうな重武装の兵士たちに、拳一つで立ち向かうという異常性だけでもいっぱいいっぱいだというのに。


『前時代的とか、そういう問題じゃありませんよね』

『なんか言ったかのう!?』

『いえなにも……はい、コレで全員おネンネしましたよ』

『っしゃぁ! 後は本丸を落とすだけじゃが……まぁ貝の如く立てこもっておるな』


 そりゃあアレだけしっかり装備させた護衛の兵隊がなんの盾にもならずあっというに無効化させられたのである。立てこもる……というか、二度と外に出たくなくなるのも分かる気がした鮫だった。


『しかし、どうするんですか。此方が目的だったならここまで立て籠もってしまうと』

『まぁ、こじ開けてしまっても良いんだが……それより、向こうからぱっと開けさせた方が話が早いかのう』

『えっ?』


 そんなトラックに、老牛はひょいと飛び乗って……握りしめていた拳を緩めてパーの形にした。一体何をしようというのか、と思ってみているその視線の先。


『さーて……和太鼓を叩いた時の事を思い出してやるかのう』

『えっ???』


 この状況に似つかわしくない単語に思わず疑問詞の量が三倍ほどになった。


『えっ、和太鼓?』

『スゥ―ッ……』


 平手が振り上げられ、そのまま巨大なトレーラーの箱の側面に。一瞬の停止の後、容赦なく、真っすぐに、一気に振り下ろされて。


『ダラララララララッ! ドララララッ!』


 本当に太鼓みたいな演奏が開始された。金属と有機生命体が触れあって出るような音ではない重たい、ドドド、ではない、ドンッ、ドンッ、ドンッという打撃音が、絶え間なく連続で響き渡る。


『えぇ……』


 何だこの宴会芸。と一瞬思ったが、しかし冷静に考えて内部に居る人間は外にここまで響くこの重厚な音を……そこまで考えて青ざめない筈の顔をちょっと白くした。


『あ、あの……中の人って、これ』

『一点から破壊しようとしても苦労するが、全体をじわじわと締め上げるように責めると案外早く堕ちる。まぁ、若い頃の経験からの教訓という奴じゃな』


 早く出てきた方が良いんじゃないかな、と口には出さないが、憐みと共に彼はそっとトレーラーを眺めた。結構な勢いでガンガン振動しているのが、恐怖しか煽らない。このまま中に居たら、間違いなく後に残る障害が。


「っぁああっ!?」

「し、しぬ……しんじゃう……っ!」


 ……などと思ってたら、どうやら限界を迎えたらしい中の人達が、後方の扉から零れ落ちて来た。ボトボトッ、と言った感じで。一人ずつ。ちょっと笑いそうになったが、それをギリギリで堪えた。


「ん、なん、なんだ……一体……あの、物凄い……うぎぎ」

『おぉ、漸く出て来たのう……粘ったではないか、えぇ?』

「あっ……」


 目と目が合う。その表情の変遷を……なんと言えばいいのか。一瞬、初めて叩かれた時の子供かと思わんばかりに目を丸くして、そこから長年の債権を抱えた債務者にも見えるスゴイ顔に変化した。一気に三十歳近く歳を取ってしまった。


「は、はっ……! お、Ω……! まって! 食べないで!」

『いや、食わんが?』


 牛頭さんもそうだが、普通に別種族の言葉を理解してるって凄いなー……とか考えてる間もなく、一人の男が他の人間を指さしながら喚いた。老牛は相手の言葉を理解できていても、相手には老牛の言葉は唸り声や鳴き声にしか聞こえない、怯えても当然ではある。


「こ、此奴らは食っていい! 食いでもあるぞ! 俺なんかより全然! 本当だ! 取り敢えず齧って見てくれ! 一度でいい! 俺より先ずこっちを!」

『いや? 食わんが?』

「リーダー!? 貴方ちょっと! ちょっと! 生贄にするとか止しましょうよ! 時代錯誤ですよ! 現代らしく、統括責任者がまず責任を取って!」

「それこそ時代錯誤だろうが! 現代的な生き方をするんであれば、全員で責任を取るべきだろうが! 大丈夫だ、お前らが食われた後、俺もちゃんと腹に収まってやるから!」

「「「絶対腹に収まる訳ないだろうが! 逃げるのが目に見えるぞ!」」」

『いや?? 食わんが??』


 それだとしてももう我慢するのが限界だった。片方しか言葉が通じていないからこそ起きるすれ違いの悲劇。余りにも相手の側が哀れで。


『しかし……コレは』


 この滑稽な光景、ここで鮫の脳裏に閃き走る。この状況を上手く利用すれば……自分の体の諸問題など、色々解決できるのではないか、と。


『――おじいさんおじいさん』

『んー、困ったのう。こっちの言葉が分からんとなると、説得も……ん? なんじゃ?』

『ここは私に任せてくれませんか。上手い事、丸く収めて見せますよ』

そもそもミノタウロスが肉食っていう風潮が苦手。アイツら牛だろぉが!

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