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俺の山でデスゲームをするんじゃない  作者: 鍵っ子
俺のホームパーティを邪魔をするんじゃない
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幕間:おじいちゃんはどうしていたのか その三

『グォオオオオオオオオ!』


 モニターから響き渡る咆哮が、スピーカー越しにでも室内を震わせている、気がした。


「――もう回収部隊の事は諦めて、撤収の準備をするぞ」

「りょ、了解しました! 急ぎます! 全員撤収準備! 五分以内に完了させろ! 死にたくなければ全力だ! 一分の遅れが我々の命の危機に直結すると思え!」


 その絶叫にも近い指令に、迅速に動き出す人員達。無言だった。困惑する事すらなく全員が団結し、手早く撤退に向けて動き始めた。リーダーと呼ばれていた男すら、他の人員と協力している。


「急げ……まだだ……まだ死にたくないっ!」

「チクショウ、アイツら、下手打ちやがって……俺たち迄巻き込むんじゃねぇ!」


 そして、彼ら全員、仲間であるはずの回収部隊の心配をしている物は誰も居ない。この連携は、自己保身の極みの果ての産物だった。


「――待ってください、オメガは回収部隊を相手にしていません!」

「なにっ!?」

「サメ型実験体を伴って……此方へと突っ込んで来ています! 直線です! この速度では到着するのに……五分、いえ、もしかすればそれ以内に! ……ちょっと待ってください、何か持っているような」


 ――ゴゥン!


 直後だった。室内がぐらりと大きく揺れる。


「っ!? なんだっ!?」

「分かりません……護衛部隊……! 何があったか、報告しろ!」 


 外には、当然ながら室内の人員を守るための人員が居る。回収部隊とは別に。先ほどは哀れ、と言われていた男たちが、常に防衛準備を整えている。そんな彼らから、焦ったような声で返事が届く。


『ほ、報告します……! い、石です!』

「石!? 石がどうしたというんだ! しっかり報告しろ!」

『石です! トレーラーを直撃したんです! ものすごい勢いで飛んできた石が……!』


 その直後、再びの衝撃。先ほどよりもさらに凄まじい衝撃に、準備に右往左往していた影達が一斉に体勢を崩し、倒れ込む者も出てきてしまう。


「がっ……い、石だと……!?」

「くっ、モニターが、今ので幾つか……」

「そもそもドローン以外のモニターは使っていないだろうに……! それは無事か!」

「は、はい……」

「ならそれで様子を伺えと……?!」


 その時、モニターに写っている光景を見た彼らは、愕然とした。画面内のΩが、走りながら何かを構えている。それは……人の頭ほどの、石だった。


「まさか、さっきの衝撃は……Ωの投擲!?」

「い、石で!? この機体は軍隊からの横流し品を改造した、特注品だぞ……!?」


 ――彼らは、移動しつつ、何処にでも移動できる、大型トレーラーの中に居た。そんな大型車両を山の麓、町からは離れた炉端に留めていたのだが……それが、投石の一発で揺れたのである。


「ご、護衛部隊! 迎撃しろ! アレを絶対に近寄らせるな!」

「オメガ接近! 護衛部隊……接触します!」


 当然護衛部隊も、全員銃火器と全身装備で武装した兵士だ。日本でバレれば一発アウトのソルジャー達だが、しかし今はそれを考える事すらせず、即座に迎撃の命を下した。それ程に、現状が危機的だと察して。


『撃て―ッ!』

『近寄らせるな! 近寄られたら此方の負けだ! ハチの巣にしてやれ!』


 凄まじい数だった。日本で展開されて良い光景ではない。紛争地帯ですら、もう少し火力も落ちるやもしれない程の、一斉射撃。怪物へ向けられた文明の最新の利器は……


『――ヌグゥゥゥゥゥゥウウ!』

『直撃……したぞ馬鹿な!? なんでまっすぐ進んで来れる!?』


 しかし、明確な効果を上げる事も真面にできず……オメガは真っすぐに護衛部隊に向かい、その片手を悠々と振りかぶった。まるで、城門すらあっさりと砕けそうな……戦槌の様に見えた。


『『『いやぁああああっ!?』』』


 先ず一薙ぎで三人が弾き飛ばされる。室内……否、車内が戦慄するまでもなく、更にもう一撃、右から続く左のもう一薙ぎが、続いてもう二人を天高く吹っ飛ばす。


『ああぁぁ――ぁぁぁあああああ!?』

『――(がしっ)』


 そして天から降ってくる律儀に回収する鮫が一匹。死人は出す積りではないようだ。捕まった人物たちが速攻で悲鳴を上げてはいるが、その鮫が一瞬で捻って、静かに黙らせている。

「なんて暴れ方だ……も、もう護衛部隊が三分の一近く削られるなんて」


「まだ逃げる、準備が整わないのか……!? どうなっている! 状況を報告しろ!」


 流石に自分達もそろそろ逃げ出さなくては危ない。その危機感から声を張り上げるがしかし……返事は帰ってこない。


「――おい、どうした!?」

「り、リーダー……運転席の方を確認したのですが、運転手が気絶している様です!」

「なんだとぉ……!?」


 最早逃げる足も残っていない。そうなっては、後はリーダーが思考を必死に回してみても逃げ切る手段が全く見当たらず。


「り、だー」

「なんだ! 今必死にここから逃れる手段をだなぁ……!」

「そ、そそそそ、そ、と……!」


 そう言われ、リーダーが覗き込んだモニターの中で……遂に、最後の護衛の人員が空を舞ったのが見えた。余りにも、あっと言う間の決着。もはや、社内の中で、言葉が交わされる事は無くなっていた。


上から降ってくる男の人を回収するだけの簡単なお仕事。

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