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最速の剣士と最強の魔女  作者: バラクーダ


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第一話 荒野の二人

 人類に魔王が討たれ、数十年が立ち世界は平和になるものだと思われていた。だが現実とは甘くなく、今度は残った魔物による人類への無差別攻撃と人類同士の醜い権力争いに平和とは程遠い惨状へと成り果てていた。国同士の戦争により大量の死者を出し、貧富の差や戦争孤児等の問題に戦いで負けた国の兵の野盗化が深刻だった。それはこの国でも同じであり、魔物からの攻撃に他国からの侵略に忙しい毎日を送っていた。荒れ果てた大地を進むふたりの人影。格好からすると冒険者と思われる二人組は、今正にその洗礼を受けていた。

「ちょいと、そこ行くお二人さん。命が惜しければ出すもん出していきな」

定型文である。もう聴き慣れたセリフに二人は立ち止まる。砂避けのフードを目深に被り、黙って立ち止まる。あっという間に周りを数十名の野盗が取り囲む。

「おい!聞いてるのか!有り金・・・ ってお前ら女か!それは話が変わってくるぜ」とリーダーと思しき男が下衆な台詞を吐く。二人はフードを脱ぐ。先頭を歩いていたのは年の頃は二十歳前後と思われる美女で、長い黒髪に凛とした切れ長の目が特徴的な見た目の装備からすると剣士だった。後方についていたのは同じ年頃のこちらも美女で淡い赤色をしたショートボブの杖を持ったおそらく魔女であろうと思われた。二人は溜息をつくと、剣士がリーダーの男に言う

「ねぇ、急いでるんだけど。邪魔しないでもらえると有難いのだけど」と言い魔女の方が

「本当に毎回毎回、虫のように沸いてきますねこいつら」と続ける。それにキレたリーダー男が

「こいつら、馬鹿にしやがって!野郎ども構いやしねぇやっちまえ!但し殺すなよ。たっぷり楽しんだ後に人買いに売り払ってやる!」魔女の方が杖を構え臨戦態勢に入ると、剣士は言う。

「私がやるわ」

「いいの?ルミナス。じゃあ任せるわね」と言い杖を下ろす。ルミナスと言われた剣士はスラリとした細い剣を抜く。

「ミラベルは休んでて頂戴。こんなのまともに相手してたら日が暮れちゃうわ」と言うと野盗の中へ進んでゆく。野盗共は下衆な笑いを浮かべていた。その刹那、一瞬の風が吹く。ルミナスは剣を振り鞘へと収める。野盗共は不思議な顔でルミナスを見つめる。次の瞬間、野盗共の首が飛ぶ。

「終わったわよ、ミラベル」お疲れ様と言うと、微笑みながらミラベルはルミナスの横に行く。そして唯一生き残ったリーダーの男へと問う。

「で、アジトは何処かしら。あなた達人買いとも繋がりがあるのでしょう?何人か捕まえてるのではなくって?」と言うミラベルの目は笑っていなかった。

「ひぃ!化物!」と男は言うと一目散に逃げようと向きを変えて走り出す。その目の前にルミナスが居た。男は完全に戦意喪失で、アジトの場所まで案内するのだった。

思った通り、アジトには数人の人達が囚われており、それらを解放すると

「ここから街は近いわ。送り届けてあげるから心配しないでね」とルミナスが言う。囚われてた人達にも笑顔が戻り安堵の涙を流すのだった。

「なぁ、もうアジトの場所も教えたし何もない。これからは悪い事はしないで真面目に生きていくから見逃してくれよぉ」とリーダーの男が懇願する。ミラベルは微笑みを浮かべながら

「そうね、あなたの役目も終わりよ。さっさと消えなさい」と言うと荒野を指さした。

「本当にすまない。もう二度と悪事には手は染めねぇ。ありがとう」と言うと荒野へと走り出した

その後ろ姿にミラベルは

「アイスランス」氷の槍が現れ、男の身体を突き刺す。男は一瞬で絶命すると満足気にミラベルは

「悪党に次があるなんて、そんな馬鹿な話あるわけ無いでしょ」と言い放つのだった。

ルミナスはやれやれという感じで微笑むと

「じゃあ、街に行きましょうか」と囚われてた人達と荒野へと歩き出す。荒野に風が吹き枯れ木の枝が折れる。今やこれが日常なのである。そうして、ルミナス達は囚われていた人たちを街へと送り届け衛兵に託すと、今日の宿を探すのであった。


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