41.グリムリーパー初邂逅
「ちょっ、なに、む、ムリムリ、こん――」
『はい、大ヒールっと。いやあ言いたくないけどやっぱ旦那ちゃんはこういうの向いてないねえ。まさか保険金で破算なんてしないよね?』
「さすがにそんなことはないけど…… その前に心が折れそうだ」
『ランダムターゲットっぽいのになんで何回もタゲられるんだろうな? もしかして一番弱いやつに向かってくるとか? ほら、次はあっこのテイマー本体がやられてるしそういうのあるかも?』
『そういう不吉なこと言わないでくれる? ウチの大切な旦那ちゃんの心が折れたらどうしてくれんのよ!』
「いやまあこんなの相場で予想の逆に動いて大損したときと比べればなんてことないけどさ。でもなんでオレばっかりって思うのは確かだな」
すでに十回は転がっているだろうか。参加している人数は軽く見ても五十人くらいいそうなのに、なぜかオレは集中して狙われていた。。
グリムリーパーはその名に恥じず、首切り攻撃をしてくるのだが、ある程度の範囲のプレイヤーを即死近くまで切り刻んでくる。
戦うためにステータスを高めている普通の戦士職でもそれだ。つまり生産職のオレにとっては確実に即死攻撃だった。
戦闘の仕組みはあまり詳しくないが、ダイターのような重装戦士系はダメージ軽減、チックのような俊敏系だと回避判定が入り攻撃を早々喰らわない。
そしてオレや魔法職、テイマーなどの軽装なやつらは逃げることもできず受け止めることもできない。
魔法ならテレポートで逃げて、テイマーならペットに肩代わりしてもらう手がある。しかし生産スキルは、こと戦闘に関していえばまったく役に立たないのだ。
仕方ないのでしばらくは遠巻きに観察して攻略方法を練ることにした。直接戦闘は専門家の二人に任せるのが吉である。
どうやら似たようなことを考えている奴らはそこそこいて、グリムリーパーの攻撃範囲ギリギリから魔法や爆弾、弓でヒットアンドアウェイがいいようだ。
オレもいつもなら爆弾を持ってくるのだが、かぼちゃ集めの準備中だったので荷物はほとんど置いてきている。
それに特効武器ができたからと調子に乗って、水晶のつるはしを握りしめてきたのがすべての元凶なのではないだろうか。
それにしても集団戦専用ボスだ。体力の減りがかなり遅くて時間がかかる。最終的には四十分ほどかかってようやく討伐された。
『シャリーン』
「お、なんか湧いた! 転がりまくった甲斐があったのか!?」
『ウチも湧いたー グリムリーパーのコインだって。なんかポイント的なアイテムっぽくない? まさか記念品じゃないよね?』
『おれもコインだ。プロパなにもないな。記念品かもしれねえ……』
「コインってのも湧いたけど、なんか証書が湧いてるな。死亡証明書だって…… イヤミかコレ」
『まあまあ、もしかしたら失った保険金くらいで売れるかもしれないよ? それくらい邪魔にならないし取っておけばいいじゃん』
「まあそれもそうだけどなあ。もうちょっと気の利いたものにできなかったのかね」
『そこはセンスの悪いレイバ運営だし? なにかしらドロップするだけで大英断だと思うよ。死亡証明書はアレだけど…… あはは……』
チカの突っ込みに鋭さがなく、それがオレを余計にむなしい気分にさせた。




