最終話 面倒くさがりの国
朝。
市場は、いつも通りだった。
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「魚、安いですよ!」
「パン焼けた!」
「遠回り便、問題なし!」
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戦争の話は、もうほとんど出ない。
代わりに、
値段と天気の話が戻ってきた。
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ノアは、いつものように歩く。
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「……静かですね」
リリアが言う。
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「遠回り、減りましたから」
ノアは答える。
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「世界が変わりましたよ」
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少し考えてから、言う。
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「……遠回りが減ったなら」
「悪くないですね」
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城壁の上から見下ろす。
点だった街。
線で繋がり、
面になり、
いつの間にか、国と呼ばれるようになった。
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だが――
ノアは変わらない。
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「次、ダンジョン行きますか?」
リリアが聞く。
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「……面倒が溜まる前に」
それだけだった。
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子供たちが、地面に円を描く。
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「ここが、ノアんとこ!」
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笑い声が広がる。
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世界は救われたわけではない。
英雄も、生まれていない。
ただ、
**面倒が少し減っただけだ。**
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それで、十分だった。
ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。
この物語は、
「最強になって世界を救う話」ではなく、
「面倒を増やさない話」を書きたくて始めました。
ノアは戦いません。
演説もしません。
誰かを殴って世界を変えることもありません。
ただ、
遠回りを減らし続けただけです。
その結果、
街が繋がり、
面になり、
国になりました。
もしこの物語を読んで、
少しだけ肩の力が抜けたり、
「まあいいか」と思えたなら、
それが一番嬉しいです。
またどこかで、
ノアとリリアがダンジョンに行く日常を書くかもしれません。
その時は、またよろしくお願いします。
ありがとうございました。




