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ワガママ無双 ~面倒くさがりが転生したら、必要なスキルが勝手に生えて街と国ができていた件~  作者: 七瀬ミコト


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第42話 善意は、持ち帰ると重くなる

 その街は、

 良い街だった。


 真面目で、

 勤勉で、

 困っている人がいれば

 助けようとする。


 だからこそ――

 急いだ。


「カリクス方式を

 導入する」


 街の評議会で、

 そう決まった。


 視察団が持ち帰った報告書には、

 こう書かれていた。


・中央集約しない

・現場判断を尊重

・物流を止めない

・象徴を置かない


 どれも、

 正しい。


 部分だけ見れば。


「まずは」


「役所の権限を

 減らそう」


「住民自治を

 前に出す」


「物流は、

 民間に任せる」


 決定は早かった。


 善意だった。


 だが。


 順番が、

 抜けていた。


「……誰が

 決めるんだ?」


 倉庫で、

 声が上がる。


「今まで通りで

 いいだろ?」


「いや、

 自治だって言ったじゃないか」


「自治って、

 誰の?」


 答えは、

 出なかった。


 別の場所。


「道の補修、

 どうする?」


「役所は

 口出すなって」


「じゃあ、

 誰が金出す?」


 誰も、

 悪くない。


 だが、

 止まった。


 市場。


 価格が、

 揺れた。


「安くしていいのか?」


「責任は?」


「後で怒られないか?」


 不安が、

 戻ってきた。


「……おかしい」


 評議会の一人が、

 呟く。


「仕組みは

 合っているはずだ」


 合っている。


 だが――

 その街の重さに

 合っていなかった。


 三日後。


 視察団が、

 緊急会合を開いた。


「……助言を」


「カリクスに

 求めるべきでは?」


 沈黙。


「……無理だ」


 誰かが言った。


「断られた」


 事実だった。


「なぜ?」


「同じ仕組みなのに」


 答えは、

 出ない。


 その頃。


 ハブリス。


 ノアは、

 市場で魚を選んでいた。


「……今日は

 脂、

 多いですね」


 平和だ。


「ノアさん」


 リリアが、

 小声で言う。


「外の街で」


「少し、

 混乱が」


「……ですか」


 それだけだった。


「行きませんか?」


 迷いながら、

 聞く。


 ノアは、

 首を横に振った。


「行くと」


「余計に

 壊れます」


 静かな声だった。


「……見捨てる、

 わけでは」


「ありません」


「順番を、

 飛ばしただけです」


 それ以上、

 言わなかった。


 一週間後。


 その街は、

 元の形に戻した。


 自治は、

 段階的に。


 物流は、

 責任者を決めて。


 時間は、

 かかった。


 だが――

 前より、

 理解は深まった。


 評議会の議事録に、

 一文が残った。


「仕組みは

移せない

だが、

考え方は

参考になる」


 それが、

 正解だった。


 夜。


 宿の部屋。


 ノアは、

 ベッドに転がる。


「……善意って」


 独り言。


「軽いと、

 運べるけど」


「重いと、

 落ちるな」


 この日。


 カリクス経済圏は、

 助けなかった。


 だが。


 誰も、

 滅びなかった。


 それが――

 ノアの選んだ

 最善だった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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