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面倒くさがりが転生したら、必要なスキルが勝手に生えて国ができていました 〜「面倒だから」で鑑定も転移も収納も。気づけば街が経済圏になっていた件〜  作者: 七瀬ミコト


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第34話 人が、流れる

 朝。


 ハブリスの宿屋。


「……え?」


 主人が、

 帳簿を見て声を上げた。


「連泊、

 増えてるな」


 泊まっているのは、

 商人だけじゃない。


 職人。

 冒険者。

 家族連れ。


 目的地が、

 ここじゃない人たちだ。


 市場。


「今日は、

 こっちで働いて」


「明日は、

 向こうの街」


 そんな会話が、

 普通に交わされている。


 鍛冶区。


 若い職人が言う。


「材料は、

 ハブリスで」


「加工は、

 実家で」


「売るのは、

 港町だな」


 誰も、

 疑問に思わない。


 リリアは、

 少し戸惑っていた。


「住民登録、

 どうしましょう」


「……何が?」


 ノアは、

 聞き返す。


「ここに住んでいるのか」


「通っているのか」


「分からない人が、

 増えています」


「……どっちでも

 いいのでは?」


 即答だった。


「……困りませんか?」


「困る人は、

 いません」


 事実だ。


 夕方。


 街の外。


 小さな村から来た親子。


「ここで働いて」


「日が暮れたら、

 帰る」


「危なくない?」


「道、

 明るいから」


 街灯が、

 いつの間にか増えていた。


 別の街。


 村の寄り合い。


「若いのが、

 出ていく?」


「いや」


「行き来してる」


 言葉が、

 変わってきていた。


 夜。


 宿の部屋。


 ノアは、

 少しだけ考える。


(……国境って)


 いや。


 考えるのをやめた。


「人が動くと」


 独り言。


「面倒が

 減るな」


 仕事が、

 一箇所に固まらない。


 不満が、

 溜まらない。


 その夜。


 商人ギルドの記録。


「近隣都市間で、

人の往来が

日常化している」


「生活圏が、

事実上

一体化しつつある」


 まだ、

 名前はない。


 だが――

 境界は、

 もう曖昧だった。


 この日。


 ハブリスを中心とした

 地域は、

 “一緒に暮らす場所”に

 なり始めた。


 点でも、

 線でもない。


 面だ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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