第33話 遠回りが増えたので、消した
最近、
ノアは気づいていた。
「……遠いな」
目的地は、
変わっていない。
道も、
ある。
だが――
遠回りが増えていた。
理由は、
分かっている。
主要街道沿い。
古いダンジョン。
魔物の増殖。
「……護衛代、
高いな」
商人の愚痴が、
増えていた。
「ノアさん」
リリアが言う。
「物流に、
影響が出始めています」
「でしょうね」
「どうします?」
ノアは、
即答した。
「……面倒なので」
「消します」
以上。
翌朝。
ノアは、
一人で街を出た。
目的地は、
街道脇のダンジョン。
誰も、
止めない。
最近、
そういう扱いだ。
入口。
魔物の気配、
濃い。
「……増えすぎ」
転移。
一階、
飛ばす。
二階、
飛ばす。
三階、
通過。
魔物は、
何が起きたか
理解する前に消えた。
最奥。
増殖核。
巨大。
脈打っている。
「……これが
原因か」
鑑定。
【街道影響型ダンジョン核】
【放置時:物流阻害・魔物拡散】
「……完全に
邪魔だな」
転移。
核の上。
手を伸ばす。
収納。
ダンジョンは、
静かになった。
崩壊もない。
暴走もない。
ただ――
終わった。
その日の夕方。
街道。
護衛が、
首を傾げる。
「……静かだな」
「魔物、
いなくないか?」
馬車は、
止まらなかった。
三日後。
商人が言う。
「護衛、
要らなくなったな」
「……安く済む」
数字が、
素直に下がった。
ハブリス。
ノアは、
宿で横になっていた。
「……やっぱり」
天井を見る。
「遠回りは、
良くない」
それだけだ。
誰も、
ダンジョンが
消えたことを
知らない。
だが――
流れは、
止まらなくなった。
この日。
ハブリスを中心とした
交易は、
詰まらなくなった。
線は、
切れない。
面は、
崩れない。
経済圏は、
静かに
完成へ向かっていく。
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