第27話 真似した街は、だいたい失敗する
ハブリスの噂は、
早かった。
城壁。
碁盤目。
分散運営。
「これをやれば、
うまくいくらしい」
そう信じた街が、
一つあった。
街の名は、レグナ。
かつては、
この一帯の中心だった街だ。
「城壁を広げろ!」
「道を真っ直ぐに!」
「市場を整理しろ!」
命令は、
上から一気に降りた。
だが――
素材がない。
「石が足りません!」
「職人がいません!」
「住民が反発しています!」
当然だ。
ハブリスは、
順番を守っていない。
条件が揃ったから、
自然に広がっただけだ。
結果。
城壁は途中で止まり、
道は中途半端に塞がれ、
市場は混乱した。
「……なんでだ」
レグナの役人が、
頭を抱える。
一方。
ハブリス。
ノアは、
市場で串焼きを食っていた。
「……うまい」
平和だ。
「ノアさん」
リリアが、
苦笑いで言う。
「レグナ街が」
「……何かやりました?」
「ハブリス式を
真似したそうです」
「……あー」
察した。
「結果は?」
「失敗です」
「でしょうね」
即答だった。
「助けを
求めてきています」
「……面倒ですね」
だが、
放置もできない。
放置すると、
余計に面倒になる。
「どうします?」
リリアが聞く。
ノアは、
少し考えた。
本当に、
少しだけ。
「……真似しなくて
いいって
言ってください」
「それだけ?」
「それだけです」
返答は、
それだけだった。
【ハブリスは、
真似する街ではありません】
【条件が揃っただけです】
【無理はしないでください】
それを見たレグナの人間は、
しばらく沈黙した。
そして――
やっと気づいた。
「……順番か」
「そうだ」
「形じゃない」
「中身だ」
数日後。
レグナは、
拡張を止めた。
代わりに――
交易路の整備に
力を入れ始めた。
それが、
正解だった。
ハブリスは、
何もしていない。
命令もしていない。
ただ――
間違いをしなかっただけだ。
夜。
宿の部屋。
ノアは、
ベッドに転がりながら呟く。
「……街作りって」
「真似すると、
面倒になるな」
自分は、
真似していない。
楽な方を選んだだけだ。
この日。
ハブリスは、
真似できない街になった。
そしてそれは、
真似される以上に
強い評価だった。
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