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ワガママ無双 ~面倒くさがりが転生したら、必要なスキルが勝手に生えて街と国ができていた件~  作者: 七瀬ミコト


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第25話 街を広げる素材が、また増えた

 翌朝。


 ノアは、少しだけ後悔していた。


「……会談、

 思ったより

 疲れたな」


 怒鳴られたわけでもない。

 縛られたわけでもない。


 ただ――

 人と話した。


 それが、致命的だった。


「……ダンジョン、

 行くか」


 現実逃避は、

 行動に限る。


 向かったのは、

 昨日とは別の坑道口。


 昔からあるが、

 「深いだけ」で

 敬遠されていた場所だ。


「……誰も

 潜ってないな」


 理由は簡単だ。


 面倒だから。


 中に入る。


 静か。


 魔物の気配はある。


 だが――

 動きが遅い。


「……建築向きだな」


 意味は、

 本人しか分からない。


 魔物が出る。


 岩の塊みたいなやつ。


 硬い。

 重い。


 普通なら、

 相手にしない。


 だが――


「……壊せば

 素材だな」


 転移。


 真上。


 落下。


 粉砕。


 破片は、

 全部収納。


 さらに奥。


 壁が、

 やけに整っている。


 鑑定。


【素材:高密度魔石岩】


【加工適性:建築・防壁】


「……またか」


 嫌そうに言いながら、

 目は逸らさない。


 次々、

 魔物を処理。


 解体?

 しない。


 収納。


 収納。


 収納。


 奥。


 広い空間。


 柱。

 床。

 天井。


 全部、

 同じ素材だ。


「……城壁、

 いけるな」


 つぶやきは、

 完全に職人目線だった。


 帰還。


 転移。


 ハブリス。


 街の外れ。


 ドン。


 ドン。


 ドン。


 巨大な岩塊が、

 地面に並ぶ。


 通りがかった鍛冶屋が、

 止まった。


「……は?」


 次に、

 建築職人。


「……城壁?」


 次に、

 測量係。


「……計画、

 引き直します」


(引き直すのか……)


 リリアが、

 頭を抱えた。


「ノアさん……」


「はい」


「街、

 また広がります」


「でしょうね」


 否定しない。


 その日のうちに。


 城壁拡張案が

 更新された。


 石を切る必要がない。

 組むだけ。


 魔力耐性も高い。


 工期は、

 半分以下。


 夕方。


 街の外周が、

 また一段、

 外へ伸びた。


 人は驚いたが、

 すぐ慣れた。


 最近、

 そういう街だ。


 夜。


 宿の部屋。


 ノアは、

 ベッドに倒れ込む。


「……もう」


 天井を見る。


「城壁、

 完成形で

 いいんじゃないか」


 もちろん、

 そんなことはない。


 だが――

 今日は、

 考えない。


 この日。


 ハブリスは、

 要塞都市の

 下地を手に入れた。


 計画ではない。

 防衛のためでもない。


 ただ――

 ノアが

 面倒から逃げただけだ。


 それが、

 街を強くした。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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